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選ばれる求人票を作るための5つのポイント【記載例あり】

求人票は、企業と求職者を繋ぐ橋渡しです。求人票の記載内容で採用の成否は大きく左右します。はたして、求人票に何を、どのように記載すればよいのでしょうか。今回は、求職者に選ばれるための「求人票の作成方法」を紹介。記載例も交えながら、5つの重要項目を解説します。

(掲載日 2025/03/12)

中小企業が人材採用を成功させる求人票の作り方

はじめに

中小企業の人材採用は、大手企業と比較してリソースに制限があるため、困難だと感じる経営者や採用担当者も多いのではないでしょうか。採用活動には時間や費用といったリソースが必要であり、その効率的な使い方が採用成功に大きく影響します。適切な人材を採用することが企業の成長や競争力の向上に直結することを考えると、その重要性は計り知れません。

本コラムでは、中小企業が採用活動で成功を収めるために、求職者に分かりやすい求人票の作成方法を紹介します。具体的には、募集要項や仕事内容の記載方法、企業の魅力の伝え方など効果的な求人票作成のためのポイントを詳しく解説します。


求人票の重要項目

本コラムでは、求人票作成にあたって特に重要な以下の5つの項目を中心に解説していきます。

・求人票タイトル
・募集職種・仕事内容・魅力
・応募資格
・企業の魅力・特色
・労働条件の詳細(年間休日数、給与、勤務時間、福利厚生など)

これらの項目を中心に誰にでも分かりやすく魅力的な求人票を作成することが、採用活動の成功に繋がります。

質の高い求人票が、自社に適した人材の獲得を後押しします


求人票タイトル

求人票のタイトルは、求職者が最初に目にする最も重要な部分です。どれほど優れた企業でも、求人票タイトルが魅力的でないと、候補者は求人の詳細を閲覧することなく次の求人票を見に行ってしまいます。例えば、以下の2つの求人票のタイトルを比べてみましょう。

①「製造メーカーで営業職を募集!」
②「ベース給与25万円~+インセンティブ/製造メーカーで新規開拓を行うセールス職を募集」


多くの求職者が②のタイトルに目がいくかと思います。

大前提として、転職活動中の候補者は数多くの求人票を目にしており、その中で注目を集めるためには、タイトルで「気になる求人」だと思わせる必要があります。

②の求人タイトルは今現在の月額給与が25万円より低い候補者にとっては魅力的に映りますし、また新規開拓の営業経験者または新たに挑戦したい求職者が応募したくなるような内容になっています。


募集職種・仕事内容・魅力

仕事内容を記載する際は、抽象的な表現ではなく、できるだけ具体的に記載しましょう。例えば、次のような表現にすることで、応募者は自分がどんな業務を担当するのかが明確にイメージできます。

■記載例

顧客ニーズを最前線で捉え、新規顧客の開拓から既存顧客のフォローまで広範囲に担当するマーケティングツールの営業職です。提案先は人事部門や営業部門、さらには経営層への提案も行っていただきます。お客様への提案方法、営業戦略の構築などは各営業担当者の裁量に任される部分が非常に多く、自分で考えた営業戦略で担当企業を攻略していく醍醐味が味わえます。お客様が長年お持ちの課題を解決するために分析と仮説を繰り返し、経営課題解決まで伴走できます。


「新規開拓・既存顧客のフォロー」「商談相手」「自分で考えた営業戦略で担当企業を攻略していく醍醐味が味わえる」など業務内容とその魅力を明記することで、応募者は自分がその仕事に適しているかどうかを判断しやすくなります。職種の魅力の記載は忘れがちなのですが、なぜそのポジションが魅力的なのかを明示することで、応募者はその職種に対してより強い関心を持つことができます。


応募資格

応募資格はできるだけ定量的に記載することが大切です。例えば、「営業経験2年以上」といった定量的な要件を記載することで、自分が求人に応募する資格があるか一目見て分かります。逆に、「論理的思考力がある方」といった定性的な表現は、応募者がその基準をどう判断すれば良いか分からず、応募を躊躇させる原因となります。具体的なスキルや経験を求めることで、より多くの応募者を集めることができます。

求人票でよく見られる抽象的に記載された応募資格とその改善策を下記に記載いたします。

■抽象的に記載された応募資格
・仕事に対して積極的に取り組んでくれる方
・顧客に対して柔軟で臨機応変に対応できる方

■改善例
・積極的に仕事に取り組み、社内の改善提案を2回以上行った経験がある方
・マニュアルに沿わない柔軟なクレーム対応を2回以上行った経験がある方


求人票でよく見られる抽象的な応募資格では、「本人に指定の行動ができる意思が今現在あるかどうか」が要件になっていますが、これだと応募者が実際にできるかは分かりませんし、応募するかどうかの判断もしにくいです。そのため改善例ではこれまでに指定の業務経験を持っているかどうかに置き換え、応募者が応募資格に該当するか判断できる軸を設けています。


企業の魅力・特色

自社の魅力を伝えることも求人票作成の重要なポイントです。特に中小企業の場合、大手企業に比べて規模や資金面で劣っているため、自社の独自性や特色を強調することで他社と差別化を図っていく必要があります。

例えば、金属加工企業であれば、以下のような具体的な記載が有効です。

■記載例

当社は、車載部品や医療機器向けの高精度な金属加工技術を強みとしています。他社にはない最新のマシニングセンタやレーザー加工機を使用した精密加工を行っており、国内外の大手メーカーとの取引実績があります。精密加工に携わることで、技術者としてのスキルをさらに磨ける環境が整っています。

また、社内の意見交換が活発で、現場の声を経営に反映するフラットな組織が特徴です。年齢や役職に関係なく、若手社員が新しいプロジェクトを担当し、リーダーシップを発揮する機会も豊富です。


このように、業界における専門性や独自の技術力、さらに企業文化に触れることで、応募者に対して企業の魅力を効果的に伝えることができます。


労働条件の詳細

労働条件の記載は、求人票で最も注意を払うべき部分の一つです。給与や勤務時間、休日などについて不明瞭な点があれば、後々トラブルの元となります。求人票に記載する際は、年収のレンジや各種手当、福利厚生の内容などを具体的に明記するようにしましょう。

また、福利厚生に関しては、例えば「通勤手当」「資格取得支援制度」「健康診断」など、どんな支援があるのかを詳しくかつできるだけ多く記載することが応募者の安心感を高めます。

ポイントを押さえた求人票が求職者の応募意欲を喚起します



まとめ

求人票は、企業と求職者を繋ぐ重要な橋渡しの役割を担っています。特に中小企業の場合、大手企業にはない魅力や特色をしっかりと伝え、応募者にその魅力を感じてもらうことが成功のカギとなります。求人票を作成する際には、抽象的な表現を避け、具体的で分かりやすい内容にすることが、採用活動を成功に導く第一歩です。

適切な人材を引き寄せるために、本コラムで紹介したポイントをしっかりと押さえて効率的に求人票を作成し、競争の激しい採用市場で他社と差別化を図りましょう。

著者プロフィール

川畑 良太(中小企業診断士)

大手電動工具メーカーで法人向けルート営業を経験後、IT企業や大手部品メーカーで採用・育成・労務など幅広く人事を経験。IT系の中小企業では採用戦略から実行までを担い、社員数を20名から50名に成長させた実績がある。現在は中小企業診断士として、中小企業向けに経営コンサルティングや採用・育成、労務支援などに従事している。

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