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人材・組織(人材の採用・定着対策)

採用したい人物像の基準が具体的になっている

 採用が難しいからといって、漠然と成り行きに任せて採用していては、良い人材を確保することは難しいです。人員計画と経営戦略が連動していなくては、企業変革を実行するとしてもその担い手が社長しかいないという深刻な状況になってしまいます。どのような人が欲しいのか、人材ニーズのコンセプトを明確にし、そのコンセプトに沿って基準を具体的に設定しておく必要があります。そのために、まずは現在の企業内での人材の厚みがどのようであり、どのような分野の人材の層に弱みがあるのかを十分認識する必要があります。どのような専門分野の技術者がどのような部門で働いているのか、といった社内人材の技術マップを作成することで、専門人材の偏りを確認することができます。そこから、欲しい人材像の基準を具体的に考えていくことが重要です。

 人材配置において大事なのは、まずは経営戦略をマクロレベルからミクロレベルまで展開した上で、ミクロレベルの経営戦略との対応づけを考えながら人材の質と量を決めることです。その際に、その末端組織に必要とされる人材と、それをとりまとめてリーダーとして活躍することが期待されている人材とに分けて考える必要があります。

 とはいえ、欲しい人材の詳細仕様が明確になったとしても、そのような理想的な人材を確保することは難しいのが現実です。中途採用であれば、今までの経歴・経験をベースとして実績からある程度評価することができますが、新規学卒者の場合には採用してからのトレーナビリティ(訓練可能性)を重視した採用とならざるを得ません。むしろ、将来的には伸びるであろうとの期待を込めて採用し、採用してから意識的に育てることにならざるを得ません。

 大事なのは、このような人材を求めているということを明確にし、かつ採用の基準を設定した上で、日常的に採用候補者を探し続けることです。そして、基準をクリアする良い人に出会ったら、そこで多少無理をしてでも採用しておくことです。中小企業の場合はいくら良い企業であっても、新卒の学生を採用するには大企業に比べると知名度の点でハンディがあるものです。中途採用であっても、欲しい人材に出会える機会は多くありません。そこで、仕事の上でのつきあいとか、知り合いの知り合いといった緩い関係でつながっている人のなかで、たまたま、これぞと思う人材に出会ったらといった場合に、本来の採用時期でなくても確保するといった柔軟な採用戦略を持つべきでしょう。

 採用時期を意識的にずらすことも一つの戦略です。多摩地区にあるFAソフト開発関係の企業では理系人材を採用するために、国立大学の大学院の入試が終わった時期にポイントを合わせて各大学に求人票を出して採用しています。つまり、大学院に落ちて経済的な理由などから大学院進学をあきらめた人材に狙いを定めているわけです。多くの企業は新卒採用を既に締切っている時期ですので、学部卒ですが国立理科系大学に進んだ優秀な学生が確保できているとのことでした。

 また、留学生で優秀な人材も狙い目です。日本の就職活動の慣行になじめないで、出遅れ気味になった留学生の中にも、優秀な学生が少なくありません。しかし、彼らの中には、いずれ国に帰りたいと考えている可能性もあるので、そのようなことを念頭に置くことが必要です。いずれにしても、欲しい人材のタイプを明確にしておくことが、学生に対してもどのような人材が求められているのかが明示され、好感を持たれるといえるでしょう。

Case Study

欲しい人材に合わせた採用方法を編み出せ

 L社は製品がユニークなら、入社試験も興味深い。試験の課題は模型飛行機の製作あるいは電球のスケッチなどだ。入社試験の1週間前に課題を示す。企業の期待は、就職希望者が与えられた時間内にどれだけ考えてくれるかだ。この期待に応えられなければ一流大学の卒業生も容赦なく不採用になる。スケッチを課すのは実践的な意味もある。営業マンが医師に説明する際、絵を描くと相手は理解しやすい。また医療現場の濃密なやり取りは臨場感をもって社内に伝えるため、報告には必ず絵が添付される。同社は自ら考え、手を使ってモノをつくる、言わば“職人”を人材と考えている。ゆえに教育方針、育成方法も独特だ。(脳外科用手術顕微鏡等製造・42人)

 M社の新卒の採用は、募集定員を決めて採用するのではなく、同社の要求に合った人を採用するようにしている。このため、定員をオーバーする場合もあれば、一人も採用しないこともある。(各種計測機器製造・94人)

Step Up

(1)日常の活動の中で採用候補者を探している

 中小企業の場合、知名度の点から大企業のように、大量の応募者の中から選ぶことは難しいのが現実です。しかし、興味を持つ人は必ずいます。口コミであったり、英語ではウィークタイというのですが、親類とか友人からの直接の紹介ではなく、そのまた友達とか、どこかの研修会で知りあった人からの情報などで再就職に成功する例が多いとの報告があります。日本でも緩やかなつながりによる再就職者がかなり多いのが実態で、特に優秀な中小企業ではどこからともなく評判を聞きつけて、思わぬ人が採用できるチャンスが訪れることがあります。

 結局、日常的な活動のなかで良い人がいたら無理をしてでも採用してしまうとの意気込みが必要です。そのような心がけがないと、なかなか思うような人を採用するのは難しいでしょう。

(2)欲しい人材を採用するために、自社の魅力をわかりやすく伝えることができている

 採用活動は人材の需要と供給のマッチングです。ミスマッチを防ぐには、どのような人材が欲しいのかを明確に打ち出すことと、どのような人が欲しいのかをわかりやすく伝える必要があります。新規学卒者に有効なのはインターンシップなどで職場体験をしてもらうこととか、OB、OGから先輩として体験談を話してもらうことです。現実の世界について少しでも実感を持って理解してもらうことが入社後の定着にもつながります。学生側に自社の魅力をどうしたらうまく伝えられるのかを、若手従業員に考えてもらうのも効果的です。学生の就職活動ではインターネットの情報に頼りすぎていますが、大勢採用する大企業と違ってWebに費用をかけるよりも、学校に出向いて、キャリアセンターの職員に欲しい人材のタイプを明確に伝えて、興味を持った学生と丁寧な面談をする方がよほど効果的です。

(3)将来の人員構成を考慮して、計画的な採用を行っている

 無計画な採用をすると、ある年代だけに塊ができて、その後の人員計画に大きく影響してしまいます。景気の良い時も不景気の時も安定的に一定人数を確保することができれば理想ですが、これはなかなか難しいでしょう。しかし、組織の運営を考えると、年齢構成を念頭において計画的な採用をしないと、技能継承の面などに大きな影響を与えることになります。また、せっかく採用してもすぐに辞められてしまっては、意味がありません。一度に複数人を採用することが難しいという企業も少なくありませんが、高齢化していて新人との年齢が離れてしまうような場合は、1人採用予定のところを頑張って2人採用すると、新人同士がお互いに励まし合って、定着が良くなるといったことが見られます。技能継承を考えているような企業にはこのような複数人採用が定着を高める上で有効です。

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