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いまこそテレワークに取り組む !

いまテレワークが注目を集めています。Tele(離れたところで)+Work(働く)という意味で、インターネットなどを活用し、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方が実現できます。 サービスも充実し、多くの企業で導入が進んでいます。中小企業でも導入できるその方法とは・・・

(掲載日 2020/03/19)

テレワークで働き方改革と生産性向上の実現を図る

1、テレワークのメリット

 働き方改革や、東京オリンピック・パラリンピックに向けた交通渋滞の緩和などを目指し、テレワークを推進する動きが活発です。

 以前は、育児や介護などの事情がある社員の在宅勤務が主でしたが、最近は、全社員を対象にワークライフバランスと、生産性向上をめざす導入が増えています。人材採用・人材確保のため労働環境を良くする目的での導入も増えていますし、新型肺炎の感染拡大対策でテレワークが推奨されたように、災害発生時の事業継続計画(BCP)としても、注目されています。

 総務省が昨年公表した調査結果によれば、テレワークを導入している企業(従業員100人以上)は19.1%で、導入予定を含めると26.3%となっています(平成30年通信利用動向調査)。予定を含めて4社に1社がテレワークを導入という結果ですが、中小企業でのテレワークの普及は大企業に比べるとまだまだ進んでいるとは言えません。中小企業では、IT活用について技術面や費用面の問題で自社の導入は困難とお考えの経営者もいらっしゃるようですが、近頃はクラウドのITが進化し、安価で手軽に利用できるため、テレワークの環境も整備しやすくなっています

2、テレワークを可能にするクラウドサービス

 テレワークには、在宅勤務の他、モバイル勤務サテライトオフィス勤務のパターンがあります。いずれの場合も、現在事務所で行われている業務を社外でもできるようにすることが必要です。その際の課題は「①書類・伝票など情報の共有と受け渡し」「②上司・同僚・部下など社員間のコミュニケーション、会議、打合せ」の2つをどのようにIT化すればよいかということでしょう。


①書類・伝票などの情報共有と受け渡し

 「①書類・伝票などの情報共有と受け渡し」について、まずは、社内業務のITシステム化によりペーパーレスとすることが必要です。

 基幹業務のシステム化で十分なペーパーレスを実現できていない場合には、テレワーク化したい業務からクラウドのサービスを利用して、ペーパーレス化を図ります。
 例えば、受発注の台帳をEXCELで管理し、納品伝票や請求書を作成しているような場合、クラウドでWEBのデータベースアプリを簡単に作成できるサービスを利用して、受注から請求書作成までをクラウド上でシステム化することが可能です(下図)。

(筆者作成)


クラウドにすると、インターネットで外部からの操作が可能となり、対象業務のテレワーク化も容易になります。
 また、部分的なシステム化であっても、データの出力機能などを使い、会計システムへの入力作業を省力化できるなど、後続業務の作業効率化も図れます。クラウドサービスの多くは初期費用が無料または少額で、月額の利用料で使えます。


 一方、すでに業務システムはあるが、事務所内でしか操作ができないといった場合もあるでしょう。こうした場合は、リモートデスクトップのサービスを使います。リモートデスクトップは社内のPCをインターネットで社外から操作する機能です。社外にファイルを持ち出す必要がなく、PCを紛失して情報が流出するリスクも回避できます。一般に月額数百円程度ですが、Googleから無料のサービスも提供されています。

 また、社内のファイルサーバで業務用の文書ファイルを共有している場合、クラウド上でファイルを共有管理するサービスや、クラウド上でドキュメント作成の共同作業ができるサービスがMicrosoftやGoogleなどから提供されているので、それらを使うことでリモートでの業務が実現できます。


②上司・同僚・部下など社員間のコミュニケーション、社内の会議、打合せ

 「②上司・同僚・部下など社員間のコミュニケーション、社内の会議、打合せ」には、WEB会議サービスやチャットツールを利用することで制約の解消を図ることができます。

 最近は安価で手軽に使えるWEB会議サービスが多数提供されてきているため、インターネットにつながるノートPCがあれば、社外でも簡単にリモートでの会議が開催できます。WEB会議サービスはPCやスマートホンのアプリを使ってインターネットで画像と音声による通話ができるサービスです。最近では画質や通話品質が安定し、多人数がそれぞれの場所から同時に接続して通話したり、表示画面を共有できる使い勝手のよいWEB会議サービスが、無料または月額数千円で利用可能であり、利用が広がっています。
 また、iphoneのFaceTimeや、LINEのビデオ通話は無料で使えるテレビ電話機能ですが、これらを使って、自宅から会社の会議に参加したり、画面を通しての面談も可能です。

 離れていると、部下に直接声をかけて指示はだせません。携帯電話やメールといった連絡手段もありますが、チャットツールを上手に使うと職場の報連相を効率よく行うことができます。
 チャットはLINEが有名ですが、最近は企業向けにビジネス用のチャットツールのサービスが普及していて、いずれも月額の利用料で、または無料で利用ができます。チャットツールは短いメッセージを素早くやりとりでき「ちょっと、あれどうした?」といった会話はもちろん、グループの全員と会話ができるので、「誰か知ってる?」と全員に質問を投げたり、社内の関係者全員での議論もできます。画像やファイルの共有、掲示板、スケジュール共有などの機能もあり、職場の壁にあるホワイトボードの代わりに情報を共有することができます。

 その他、タイムカードに代わってスマートホンやPCで出退勤を記録する出退勤管理もクラウドで提供されています。

3、テレワーク導入のポイント

 技術的な解決策がみつかれば、その後の主な検討ポイントは、以下の4項目となります。

1)自社の業務フロー分析とその見直し
 現状の業務全体の流れを詳しく見渡して、「このデータ入力は本当にここで必要か?」「この承認作業は毎回必要か?」などムダを省くための議論を業務の担当者を交えて行います。テレワークは移動の時間を減らすだけでなく、IT活用で業務の流れをスリム化する絶好の機会です。
 また、在宅勤務で集中しやすい環境にしても、携帯電話で頻繁に連絡がきて、その対応に追われるようでは逆効果です。上司も部下も互いに効率の良い時間の使い方を考えて、報連相の方法を見直すことが、生産性を高めるためのコツです。
 他方で、離れて働く社員が孤立したり、疎外感を感じることがないよう、事務的な連絡だけでなく「顔が見える人間的なコミュニケーション」の機会を組み込むことも重要です。在宅勤務中心なら、全体会議や、業務報告へのフィードバック面談で出社する機会を設けたり、WEB会議でも業務以外の気軽な話ができる会合や面談を設定します。遠距離のテレワーク勤務者のため、WEB会議で定期的なリモート宴会を実施している企業の例もあります。

2)社員の意識改革
 管理者でも一般社員でもそれぞれに思い込みがあるために、新しい仕事のやり方には懐疑的で、消極的という場合があります。テレワークは職場から離れて1人で働く自律的な働き方なので、社員自身の意識やモチベーションが低ければ上手くいきません。検討段階から担当者に参加してもらい、当事者意識を持って推進側にまわってもらうなどの工夫が必要です。

3)情報セキュリティの確保
 テレワークの範囲、運用方針が定まれば、情報セキュリティの確保を検討します。情報セキュリティは、ITサービスおよび機器の選定とその運用設計の際に、情報漏洩などのリスクを洗い出して対策を検討し、機器の取扱や運用ルールを定めておくことが必要です。
 テレワーク実施前には社員教育をして、情報セキュリティに対する知識と意識の向上を図ることが必須条件です。セキュリティを強化したクラウドサービスでも使い方を間違えればセキュリティは保てません。一般に情報セキュリティ事故発生の原因の多くは情報を扱う人に紐づきます。情報セキュリティに取り組む場合には、手始めにIPA(独立行政法人情報処理推進機構)の「中小企業の情報セキュリティ対策ガイドライン」を参考にするとよいでしょう。

4)就業規則の整備
 最後に、正式にテレワークをスタートするためには、就業規則の整備が不可欠です。厚生労働省が公開している「テレワークモデル就業規則〜作成の手引〜」、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」の活用をお勧めします。

4、さいごに

 テレワーク導入を契機に、社員各自が業務の目的と遂行方法を正しく理解し、生産性向上を意識しながら自律的に働くスタイルを実現することで、強い組織をつくることができます。ワークライフバランスと組織力強化の両立を目指し、全社員の意識改革と人材育成に取り組むこと。それが、テレワーク導入で成果をあげるための大切なポイントです。

著者プロフィール

馬場 正博(BBIコンサルティング 代表)

中小企業診断士/ITコーディネータ
東芝グループでIT/IoTの技術担当として多くの企業向けに様々なソリューションの提案、導入に従事後、独立。イノベーションを軸とした経営改善計画の策定支援、IT利活用支援、人材育成、情報セキュリティ、テレワークなどのコンサルティングを提供している。人を大切にする経営学会会員。

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