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活力向上ハンドブック

活力向上ハンドブック経営力アップのための70のビジネスメソッドと10の財務指標
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人材・組織(人材の育成)

経営者(または管理者)は、社員の特徴や能力を把握し、具体的な目標を本人に提示している

 日本の賃金体系は年功序列賃金といわれてきましたが、実際の運用はかなり能力主義的になされてきました。つまり、短期間の評価ではなく時間をかけて個人を格付評価する慣行が色濃かったのです。グローバル化が一層進んだ90年代半ば以降は、能力を重視する点では変わらないのですが、社会の変化に柔軟かつ迅速に対応する必要性から、潜在的能力を重視し時間をかけて評価する形から、顕在的な能力を重視する形へと移行してきました。

 このような状況を鑑みると、人材育成においては、本人が身に付けた技能や知識を見える化して、客観的に評価し、それによって昇進・昇格、昇給を決めていくことが重要です。さらには、新たな技能や知識を身に付ける機会、教育を受ける機会の提供もこれと対応させていくことが重要でしょう。経営者や管理者には、従業員の特徴や能力を把握して、人材育成の機会を提供していくことが求められます。

 人事考課では、(1)各人にどのような職務活動が期待され要求されているのかといった職務基準と、(2)従業員として必要な能力とはどのようなものであるかといった職能要件基準を明確にすることが前提になります。その職務基準と職能要件基準に照らして、各人の職務活動や能力を分析、評価した上で人事考課に結び付けるのです。

 人材育成では、このような各人の技能や知識の見える化による評価に加え、将来の目標について具体的に提示することも重要です。若者が辞めてしまうのは、賃金や労働時間の問題だけではありません。むしろ、自分がこの企業で働き続けたときにどのようなキャリア(職業経験)展望があるのか、ということを見通せないことに不安を感じて、辞めてしまうケースが圧倒的に多いのです。経営者は将来このように育ってくれればと夢を描いているはずですが、若者本人にそれがうまく伝わっていないことが多いのです。同期の若者同士で固まってしまい、仲間内の限られた情報だけで、先輩や上司に素直に相談をしないで誤解したまま辞めてしまうのです。

 若者に対しては、入社3年で一人前、5年で後輩指導ができる水準、10年でやっと本格的な中核的な従業員になるといったキャリアモデルを明示することが重要です。このようなキャリア展望を与えることが、本人にとっても大きなインセンティブ(動機づけ)になるわけです。

 日本の企業は一生懸命仕事をして成果を上げると、給与やボーナスに反映させるよりも、よりチャレンジングな仕事を担当させることが多いです。「仕事のご褒美は仕事」ということですが、本人にとっては説明を受けないと、「一生懸命にやったのにかえってきつい仕事をやらされている」と、その意味が理解できないものです。チャレンジングな難しい仕事を担当することで自分自身が成長すること、成長して皆が認めれば昇進・昇格を通して給料も高くなるということを、機会あるごとに経営者や先輩が体験を交えて伝えていくことが、若者の理解を深めて、やる気を起こすことにつながります。それが見えれば、自分なりの夢も持てるようになるのです。

Case Study

育成目標はきちんと共有する

 N社は全従業員の基礎的な能力レベルの向上に長年取り組んでいる。オペレーターや検査員、梱包員などの職種に社内の資格制度を設け、従業員に取得を促す。クレーンの取り扱いなど業務に関連する社外の資格が必要な場合には、企業が費用を負担して資格を取らせ、取得後は手当を支給している。(スリッター加工・63人)

 O社は自主学習を基本としているため、従業員に「常に自分で能力を磨け」と口を酸っぱくしている。自己目標管理制度を充実させており、従業員には4か月ごとに目標を立てさせている。例えば営業なら今度の4か月はフィルターの勉強、設計ならこの4か月でこの技術を取得して成果を発表する、といった具合だ。同社では、4か月に1回のペースで社内報を発行している。ここには全従業員が自分で書いてまとめた学習計画をのせて、自己目標管理制度の発表会もあわせてやっている。(振動計測装置製造・23人)

Step Up

(1)仕事に関連した公的資格取得に奨励金を出している

 建設業では技能士の有資格者を工事現場に配置することが義務化されているとか、IT企業では情報処理技術者の有資格者が多いことで、受注の際に技術水準を明示しやすいといった理由から公的資格の取得を奨励し、処遇にも反映する企業が多いです。製造業では一部の資格(造船の溶接とか)を除いて有資格者でなくてはできない仕事が少ないため、国家技能検定などの資格を取得しても、取得時に報奨金を出す程度で、給与に反映しているところは意外に少ないのです。

 技能検定の取得のために勉強をして、その結果、より高度な仕事ができるようになり、成果を上げた段階で報いるとする企業が多くあります。それは「資格取得だけに奔走する資格マニアは評価しない」との考え方です。とはいえ、動機づけとしての公的資格取得を奨励しており、取得時には一時金だが奨励金を支給する企業はかなり多いです。

(2)入社時の導入教育で中長期的なキャリアの展望を示している

 中小企業の場合は、導入教育の段階で中長期的なキャリア展望を明確に示すことは難しいでしょう。しかしながら、ローテーションを含めた担当職務の拡大、成長に伴って拡大する責任と職務権限などを、機会あるごとに示すことはできるでしょう。

 その意味では先輩従業員の役割のお手本を導入教育のなかで例示するために、先輩従業員に入社後の経験を話してもらうなどにより、緩やかに示すことはできるでしょう。将来の姿が見えるかどうかで、夢の持ち方も変わってきます。

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