地球環境に配慮した事業運営に積極的に取り組んでいる
省資源の取り組みは3Rに大別
近年、消費者の環境意識の高まりを背景に、企業活動においても環境への配慮が重要になっています。このため中小企業においても、とりわけ省資源、省エネに取り組む企業が少なくありません(下表参照)。このうち省資源に関しては、リデュース(Reduce, 廃棄物の発生抑制)、リユース(Reuse,再利用)、リサイクル(Recycle, 再資源化)の3つに大別できます(下図参照)。これらは一般に「3R」と称されています。
① リデュース:
製品を生産する際に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を少なくすることです。例えば、切削加工油を循環させて節約するケースや商品のパッケージを簡素化するケースなどがあります。リデュースに取り組むにあたっては、製品の設計や生産工程などを大きく見直さなければなりません。このため外注先や納入先などサプライチェーン全体で取り組む必要があります。また下請け企業として部品などを製造している企業の場合は、受注先からリデュースに関する要請を受けることを想定し、工程などを見直してリデュースの可能性を洗い出す必要があります。
② リユース:
使用済み製品やその部品、梱包材などを繰り返し利用することです。コピー機のトナーカートリッジやリターナル容器の再利用などが典型例です。これらのリユースに取り組むには、デポジット制など使用済み製品などを回収する仕組みを築く必要があります。しかしいきなり大がかりな仕組みづくりに取りかかるよりは、まずは段ボール箱の再利用やコピー用紙の裏面の利用、中古品の購入など、できることから手がけていく姿勢が重要です。
③ リサイクル:
廃棄物などを原材料やエネルギー源として利用することです。例えば、焼却処理していた麦芽カスを飼料として畜産業者に譲渡したり、製材時に発生する木くずをボイラーの熱源にしたりするといった取り組みがあります。その結果、廃棄コストが不要になるだけでなく、飼料や重油のコスト削減にもつながります。これらの取り組みにあたっては、自社の生産工程などからどのような廃棄物が発生するのか、それをどうすれば再資源化できるのかを検討する必要があります。
2000 年に制定された「循環型社会形成推進基本法」では、3Rの優先順位を環境負荷の小さなものから「①リデュース」、「②リユース」、「③リサイクル」と定めています。しかし、中小企業が3Rに取り組む際にはこの順番にとらわれず、できることから着実に手がけるべきです。
Case Study
環境対策で参入障壁を築く
G社では、包装は脱工業時代の消費社会にとって、従来以上に必要かつ重要な役割を担っているとの認識を持っている。容器は絶えず進化しており、最近では環境配慮型になってきている。環境配慮型といっても、リサイクルや簡易包装などいくつかの分野に分かれている。同社でも、顧客に対して環境配慮型の商品を提案したり、廃棄物のコンサルタントを紹介したりする。また同社の関連会社では、実費をいただいて廃棄物を処理するサービスも行っている。
( 包装資材紙工品総合卸売・40人)
H社では顧客が工場で使った後の薬剤を回収した後、自社の工場で必要な成分を分離して、再度材料にしてリサイクルしている。こうしたリサイクルをやっているのは同社だけという。
(化学工業薬品製造・84人)
Step Up
(1)ISO14001またはエコアクション21などの環境マネジメントシステム(EMS)の認証を取得した、あるいは取得を検討している
EMSの代表は、国際規格であるISO14001です。その認証を取得すれば、企業イメージや信用力は高まります。しかし認証取得には数百万円の費用がかかるだけでなく、多くの人的資源も必要となります。
中小企業でもEMSに取り組めるような国内規格として、
- エコアクション21(http://www.ea21.jp):環境省が策定
- KES環境マネジメントシステム・スタンダード(http://www.keskyoto.org)
- エコステージ(http://www.ecostage.org)
- グリーン経営(http://www.ecomo.or.jp):運輸事業者が対象
があります。
以上のほかにも、「環境社会検定試験(eco検定)」(東京商工会議所)を従業員に取得させるなど、自社の身の丈にあった方法で環境へ配慮することが重要です。
(2)自社の活動分野において3Rに関連する法令を理解している
企業の活動分野に応じて3Rに関連する法令はさまざまです(下図参照)。どのような法令が適用されているのかを理解する必要があります。