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「1on1ミーティング」で“高い成果を上げ続ける”チームを作る!

コロナの感染拡大を経て、多様な働き方がより広がっています。働き方の異なる社員が増えた事で、一人一人の状況や問題を把握しづらくなった、と感じている方も多いのではないでしょうか。そのような中でも、従業員のモチベーションやパフォーマンスを向上させる有効な方法とは…

(掲載日 2021/08/05)

“高い成果を上げ続ける”チームを作る ~Withコロナ期の今こそ取り入れたい「1on1ミーティング」とは~

「1on1ミーティング(以下、1on1MTG)」 をご存知でしょうか?

一言でいうと「マネジャー(上司)と部下が1対1で定期的に行うミーティング」の事です。

昨年以降、新型コロナウィルス感染症対策の一環として、働き方を多様化する企業が増えてきました。テレワークやサテライトオフィスの活用が進み、勤務状況を把握しづらい社員が増加したことで、労務管理に悩んでいる経営者もおられるかと思います。

そのような中でも、従業員の働く意欲を向上させるために役立つのが「1on1MTG」です。マネジャーと部下によるコミュニケーションの“場”を定期的に設けることで、業務状況の把握、信頼関係の深化、パフォーマンスの向上などの効果が期待できます。グーグルやヤフーといったIT企業、パナソニックや日清食品といった大企業で既に活用が進んでおり、最近では中小企業やスタートアップ企業にまで、導入が広がってきています。

一方で、多忙な企業で導入していくには、具体的な実施方法のポイントを押さえておく必要があります。当コラムでは、Withコロナ期の今こそ取り入れたい「1on1MTG」について、その効用と、効率的な実施方法をご紹介します。


<「1on1MTG」をオススメしたいチーム>


なぜ、いま1on1MTGが注目されているのか?

それは、事業環境が激しく変化している今こそ「チームの成長」に効果的だからです。変化の中でチームが成長するには「新しい事へのチャレンジ」が不可欠。そのためには「新しい事」を計画し「検証と内省」を繰り返す事、つまり「PDCA」サイクルが重要になります。チームのマネジャーと部下による1on1MTGは「PDCA」サイクルの“場”として活用していく事が可能です。特に、以下に挙げた項目のうち1つでも「チームのマネジャーの想い」と一致する場合は、1on1MTGの実施をオススメします。

○ 部下の成長を促したい
○ チームの活力を高めたい
○ ES(従業員満足度)を向上させ、離職率を最小化したい
○ 組織の活力を高め、イノベーションを起こしたい
○ 社員が生き生きと目的を持って働ける職場環境を作りたい


そしてこれらはすべて、「1on1MTGがもたらす効用」であるとも言えます。


<ビジネス市場の環境変化>


ビジネス市場は、「顧客ニーズ」「差別化要因」「働く人」それぞれ、時代と共に変化し、Withコロナ期の現在、さらに変化と厳しさが増してきました。

図 ビジネス市場の環境変化~成長期→成熟期→Withコロナ期(筆者作成)


このような環境変化の中、企業が成長を遂げる為には、新たな収益を生みだすための「新しい事へのチャレンジ」がポイント。チャレンジを繰り返していくには、マネジャーと部下の関係性の質を向上させるなど、「チームの活力を高めるための何らかの取り組み」をしていきたいところです。


<チームの活力を高めるキーワードは「心理的安全性」>


「チームの活力を高めて、新しい事にチャレンジし、パフォーマンスを向上させていきたい」

これらはすべての企業の関心事と言えますが、そのために必要な事として何が挙げられるでしょうか?

その答えとして、あのグーグルが数年に及ぶ社内リサーチで見出したキーワードが「心理的安全性」でした。

リサーチの結果、心理的安全性が高いチームは、
「たとえ個々人の能力が劣る場合でも、心理的安全性が“低い”チームに比べて高い成果を上げ続ける」
ということが判明したのです(*1)。

「心理的安全性」は、1999年に米国ハーバード大学のエイミー・エドモントン教授が論文(*2)で提唱した、学術的にも一定の知名度がある概念で、
「『この職場なら何を言っても安全』という感覚をメンバーが共有している度合い」
のことです。

1on1MTGは、その“度合い”を高めるための効果的な手段となり得るのです。グーグルは心理的安全性を高める為には、
「管理職が部下と話すとき、ポジティブな学びの姿勢でものごとの改善解決に焦点をあてる事」
をポイントとして挙げています(*1)。このポイントを実行するコミュニケーションの“場”として、定期的な「1on1MTG」を活用してはいかがでしょうか。


<今こそ再認識したい「PDCA」の重要性>


これからの企業の成長に不可欠な「新しい事へのチャレンジ!」。そのためには、「新しい計画(P)」の立案が必要です。そこで再認識したいのが「PDCA」の重要性です。

図 PDCA概要(筆者作成)


このPDCAの「C」の手段として「1on1MTG」を活用することができます。

PDCAは「P」で始まります。「P」を適切に設定する事が重要なのです。適切な設定のために、以下の2点を意識して行う事をオススメします。

① 成果目標を明確にする…何をいつまでにどれくらいのレベルで。
② 行動目標を明確にする…成果目標を達成するために必要な行動を、指標と共に明確にする。


<目標の達成を見据えた「1on1MTG」実施方法>


組織の活力を高める「心理的安全性」の確保に効果的である「1on1MTG」。それを、これからの成長に必要な「新しい事にチャレンジ!」し、「PDCAサイクル」で回していくための“手段“として実施いただくのが、より有効な活用方法です。

では、具体的な実施方法として「概要」及び「実施要領」の例と、「実施時の留意点」について、紹介します。

1. 概要(目的/内容)(例)
あらかじめ「目的」と「内容」を明確にすれば、「効果的な1on1MTG」を“効率的”に実施していくことができます。以下が「目的」「内容」の例となります。
(ア) 目的
① 部下の成長を支援する事
② 組織のパフォーマンス向上に有効な「心理的安全性」を高める事
(イ) 内容
① 『行動目標(P)』の進捗(D)を部下に話してもらい(C)、
② それを踏まえて今後の最適アクション(A)を共有する

2. 実施要領(例)
実施頻度、時間、テーマ、部下とマネジャーそれぞれの臨み方を明確にしておくことが成功のポイントです。以下がその例となります。
(ア) 実施頻度:隔週一回
(イ) 時間:30分
(ウ) テーマ:行動目標(P)
(エ) 部下に話してもらう事(C~A)
① 現状:行動目標の進捗状況(計画とのギャップ)
② 対策:ギャップが生じた要因の特定、その対策の具体化
③ 再計画:対策を反映した行動目標への取り組み
(オ) マネジャーがすること…基本は「聴く」「問いかける」
① フィードバック:内容を聴く。「どうして?」「ほかには?」などを問いかける
② フィードフォワード:今後の活動について問いかける

3. 実施時の留意点
(ア) 部下に「自分の考えや思いに気づいてもらう」事がポイントです。
(イ) そのためのマネジャーの役割は「聴く」「引き出す」(≠「教える」)です。
(ウ) 否定、肯定、指示をするのではなく「受け止める」という態度で接する事です。


これらのポイント、「それってコーチング?」と気づかれたのではないでしょうか。

そうです。実は「1on1MTG」は“コーチング”の要素を取り入れて実施すると効果的である事が実証されているのです。そこで、1on1MTGにおける「コーチング」の効果についても紹介します。


<1on1MTGにおける「コーチング」の効果>


コーチングは「伝え方の手法」の一つです。「ティーチング」と対比される事が多いですね。以下のように対比すると分かりやすいです。

●「伝わるようにする」のがコーチング

●「伝えようとする」のがティーチング


出典 「コーチング・ワークショップ」(高木善之 著 PHP研究所 2009年)をもとに筆者作成


● 1on1MTGにおける「コーチング」の効果
1on1MTGを、コーチングで実施した時と、ノンコーチングで実施した時の、効果の違い…コーチングを研究している企業による2,600人以上のビジネスリーダーを対象とした約3年間の調査では以下のグラフのような結果が出ています。

出典: 株式会社コーチ・エィ(COACH A Co., Ltd.) コーチングのポータルサイト「Hello, Coaching!『1on1を成功させる、たったひとつのこと』」(2019年4月23日) https://coach.co.jp/view/20190423.html


紺色のグラフが1on1MTGを「コーチングで実施」、灰色のグラフは「ノンコーチングで実施」です。
縦軸は、ポジティブな状態変化の度合いです。

1on1MTGを「コーチング」で行うと、そうでない場合に比べ、2倍以上のポジティブな状態変化をもたらせる、という調査結果でした。

では、どのように「コーチング」すればよいのでしょうか? コーチングは数えきれないほどの書籍があるほど奥が深いものです。しかし、1on1MTG実施の際は、以下の4つのスキルを意識していただければ十分に効果を発揮できます。

出典 「コーチング・ワークショップ」(高木善之 著 PHP研究所 2009年)をもとに筆者作成


●単に「見る」のではなく、関心を持って「観る」
●単に「聞く」のではなく、耳を傾けて「聴く」
●結論を急がずに「思い」を問いかける
●受け入れられなくても、受け止める

…仮に受け入れがたい事を話されても、「あなたの考えはこうなんだね」と、まずは受け止めましょう。


<まとめ>


「1on1MTG」は、以下のポイントを押さえておけば、すぐにでも実施いただけます。
・「テーマ」「実施頻度」「時間」を決めておく。
・マネジャーは「コーチング」の4つのスキルを念頭に、聴き役に徹する。
・PDCAの「C」の場である事を意識し、「A」(今後のアクション)を共有する。

心理的安全性を高めることで、チームのパフォーマンスを向上させることができる「1on1MTG」…ぜひトライしてみてはいかがでしょうか。



参考文献
*1 「Google re:Work『チーム』」 https://rework.withgoogle.com/jp/subjects/teams/
*2 論文「Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams」 Author: Amy Edmondson
* 「コーチング・ワークショップ」(高木善之 著 PHP研究所 2009年)
* 株式会社コーチ・エィ(COACH A Co., Ltd.) コーチングのポータルサイト「Hello, Coaching!『1on1を成功させる、たったひとつのこと』」(2019年4月23日) https://coach.co.jp/view/20190423.html

著者プロフィール

倉岡 悌二(中小企業診断士)

OA機器販売会社にて35年間、BtoB営業関連業務を担当。うち20年間はマネジャーとしてチームのパフォーマンス最大化に従事し、中小企業の「ビジョン構築」「戦略立案」支援にも取り組んでいる。「経営計画立案」「マネジメント育成」「SFA/CRM導入~活用定着を通じた営業チーム生産性向上」の各種支援が得意分野。公認内部監査人(CIA)

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