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「5S」本当にできていますか? そして知っていますか? 本当のねらい

整理、整頓、清掃、清潔、しつけ。子供でも知っているこれらの言葉は5Sと呼ばれて、ビジネスの現場でもよく使われます。しかし、子供のころから言われていることだから、基本的なことだから、と出来て当たり前と思ってはいないでしょうか? 「5S」の本当のねらいとは・・・

(掲載日 2021/03/15)

「5S」本当にできていますか? そして知っていますか? 本当のねらい

●5Sとは

 5Sに取り組んでいなくても、一度は聞いたことがある方は多いと思います。簡単に説明すると、5Sとは、職場環境の維持改善で用いられるスローガンで、職場において徹底されるべき事項を5つにまとめたものです。
 5つの項目である、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」をローマ字で表記した頭文字がSで始まるので「5S」と呼んでいます。特に、「整理・整頓・清掃」「3S」と呼びます。
 工場に行くと「5S」のポスターをよく見かけます。生産性向上、品質向上はもとより、危険な道具を扱うことが多い製造の現場では、5Sを強化することで事故防止にもつながります。そして「5S」は、製造業だけの取り組みでありません。IT系、サービス業、飲食業などすべての業種で取り組めます。「5S」ができている程度で組織の状況が分かります。
 今回は、「5S」の本当の目的について説明します。

●日々のムリ、ムラ、ムダ

 会社でこんな人を見かけませんか?(実は、自分でもそうしているかもしれません。)はさみやホチキスなど文具をいつも探している人。共有資料をいつも探している人。
 この方たちに共通していることは、「いつもムダな作業をしている」ということです。さらに、このような方は、すぐに誰かに聞く傾向があります。誰かに聞けば自分で探す時間の節約になるかもしれませんが、ムダをさらに拡大させています。自分で探すムダ、誰かに聞くムダ、聞かれた人は手を止めて話を聞くムダ、教えるムダ等々。はさみやホチキスを使うために、大の大人2人がかりで、ムダな作業をしていることになります。
 人は仕事をしていく上で無意識のうちに、様々なムリ、ムラ、ムダを発生させており、そして日々、それらを繰り返しているのです。

●5Sは経営管理手法である

 整理、整頓、清掃は、特別なことではなく、どの企業でも当たり前のようにやっていることです。では、「当たり前にやる整理、整頓、清掃」と「5Sの取り組みとしての整理、整頓、清掃」は、何がちがうのでしょう。
 5Sと、単なる整理、整頓、清掃との違いは、5Sは、「整理、整頓、清掃を徹底する」「徹底するために時間と労力をかける」「キレイにする手順やキレイな状態を維持するための仕組みや改善ノウハウがある」ということです。
 そして、この中で最も重要なのが、「整理、整頓、清掃を徹底する」ことです。徹底することが、経営的に意味のある成果につながるからこそ、時間と労力をかけて取り組むのです。
 企業には様々な人が働いています。様々な人に徹底させる、維持させるのは容易なことではありません。5Sは、改善活動ですが、重要な経営管理手法でもあります。

●取り組んでみよう「5S」

 それでは、「5S」のそれぞれの取り組みについて、もう少し説明します。


「整理」とは、不要なものを処分することです。

 処分する前に必要か不要か区別をします。不要であるという判断をすることが重要です。使用目的が明確でないものは処分します。
 必要か不要かの判断は人によりバラツキがあるので、「徹底する」ために基準を決めます。例えば、申請書は、5年を過ぎたらシュレッダーで廃棄する。材料は、1年以内に使用しなければ廃棄する等、具体的な基準を決めれば人によるバラツキもなくなり、誰でも判断できるようになります。
 不要なものが存在していると、それを除けたり、「コレ何だっけ?」と触れて確かめたり、あるいは間違えて使用してしまうなど、無用な作業(コスト)を負担することになります。不要なものは迷わず処分しましょう。
 整理の対象は物理的な物に限りません。たとえば、スペース、仕事、情報、時間など、いろいろなものが対象になります。整理することで、行動のムダがなくなります。5Sの取り組みは、まずは、整理から始めます。


「整頓」とは、使いやすい場所に使いやすい状態でいつも同じ様に置くことです。

 整然ときれいに並べるということだけではなく、誰でもすぐに使いやすい状態になっているかどうかが重要です。「誰でも」ということですので、新人でも迷わず分かりやすく使えるようにするために、置く場所、置き方を決めましょう。さらに、迷わないようにするためにラベルなどで表示をしておきましょう。

「清掃」とは、きれいに掃除して、すぐに使えるようにすることです。

 単に掃除するだけの意味合いではありません。単なる掃除といっても、人により力の入れ方が異なります。きれいになっている状態の判断も人により異なります。清掃は、誰がやっても同じように、整理整頓が維持できるようにします。そのために基準を決めます。道具など使い終わったら使ったその都度、元あった場所に、元の置いてあった状態と同じように、同じ向きに戻すようにします。不要なものがあれば掃除します。
 いつも同じ基準で清掃することを繰り返すことで、習慣化され維持されるようになります。


「清潔」とは、正常な状態の職場を維持することです。

 清潔は、3S(整理・整頓・清掃)を誰でも、いつでも、維持できるように仕組みをつくり、職場を正常な状態に保つことです。整理・整頓・清掃を維持し続けることで、正常な状態を保とうという気持ちにさせることです。
 たとえば、床の色を明るい色にすると汚れが目立つので、汚さないような作業を心がけるようになります。また、ものを置く場所にラインを引き定位置が分かるようにしておくと、ラインからはみ出すと一目で置き方の違いに気が付けます。
 ポイントは「決められたことが誰でも確実に守られ、維持できるようにする」ことです。


「しつけ」とは、整理・整頓・清掃・清潔を習慣づけることです。

 「しつけ」とは、決められたことが当たり前にできる状態にすることです。自然と行動できるように習慣づけをすることです。
 ルールは、文書で示すだけではなく、仕掛けを用意します。たとえば、写真や絵などで正常な状態を掲示しておき、日常的に目に入るようにすると、正しくない状態に違和感を感じるようになります。
 習慣づけて定着させることで、自然とルールが守られ、自主自律的に5Sを推進できる人材を育成します。

●企業の成長のために

 「5S」を徹底して取り組むことで、仕事のムリ、ムラ、ムダの原因を排除でき、それにより生産コストが下がり、生産性が高まるとともに品質も安定し、収益性の改善に大きく貢献します。さらに、品質を高めれば、取引先からの信頼性が向上し関係性が強化でき、固定客の増加に貢献します。
 企業の強みの中で模倣困難なものは、醸成に時間と労力を要する「組織力」という経営資源です。「5S」は、当たり前のことを当たり前にできる個々の人々が、基本的な考え方・行動が行える集団となり、それが組織的な強みとなり競争力の強化に結びつきます。

 「5S」活動はトップも含め会社全体で行わなければ効果が出ない取り組みです
 さて、貴社の5Sの程度はどの程度でしょうか。


<参考>
・5S 基本と実践がよ~くわかる本(石川秀人著 2019年7月 秀和システム)
・5Sの基本が面白いほど身につく本(大西農夫明著 2017年12月 KADOKAWA)
・図解 よくわかるこれからの5S(吉原靖彦著 2019年6月 同文館出版)
・「5S」によるコストダウンの進め方(吉原靖彦著 2009年9月 中経出版)
・コンサルソーシング株式会社「5S活動に取り組むメリットと目的をいろいろな角度から考えてみる」 https://www.consultsourcing.jp/5625
・コンサルソーシング株式会社「5S活動:清掃・清潔・躾とは~その進め方とツール・事例」https://www.consultsourcing.jp/5934
・ビジネス+IT「トヨタ式「5S」とは何か、なぜ整理・整頓をして業績が伸びるのか」https://www.sbbit.jp/article/cont1/27007

著者プロフィール

福田 まゆみ(一般社団法人 東京都中小企業診断士協会 中央支部)

IT活用による業務改善、補助金等申請支援、販売促進支援、セミナー講師など

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