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はじめよう! 原価計算

「原価計算はよくわからないから・・」と敬遠していませんか? 原価計算に取り組めないのには理由があります。その理由を理解して、簡単に取り組めるようになるには・・・

はじめよう原価計算

原価計算はなぜ必要なのか?

企業に訪問させて頂きますと様々な相談や悩みを伺います。

例えば、儲かっていると思ったのに蓋を開けたら儲かっていなかった

こんな経験はありませんか?それは、しっかりと原価計算ができていない可能性があります。


それでは、少し質問させて頂きます。


● 原価計算では、材料費以外にも労務費、経費を計上していますか?

材料ロスなどを考慮していますか?

● 経費には、設備の期間費用である減価償却費を考慮していますか?


これらの質問に全て“Yes”と答えられない場合は、現状の原価計算の仕方を見直す必要があります。




また、得意先から売値を下げてくれと言われ、それに従わざるを得ない


そんな悩みはありませんか?

原価計算ができていないと、適正価格の根拠が示せずに得意先に納得してもらう価格提示が難しくなります。

これらの悩みを解決するためにも、しっかりと原価計算を行っていきましょう。

原価計算ができていないと起こる「6つの問題」

それでは、原価計算ができていないと、どんな問題が起こるのでしょうか?


●1つ目の問題は、原価が正確に把握できていないため、適正価格の判断がつかなくなります。

そのため、どの商品がどれだけ儲かっているか、損しているか分からなくなります。その状況で商売をしているということは、非常に危険な状態と言わざるを得ません。

また、適正価格の判断がつかないと、価格交渉の際に不利になります。
特に、下請けの中小企業などに多く見られる問題です。
また、中小企業にとっては、材料費や人件費などの上昇を製造原価に価格転嫁することは難しく、得意先へ価格上昇の根拠を上手に伝えなければ価格交渉は困難を極めます。


しかし、原価計算ができていれば次のような対応が可能となります。

原価の上昇要因が外部的なものであれば、企業努力で対応可能な範囲を超えていることを示し、一方、原価の上昇要因が内部的なものであれば、予め企業努力で対応可能な範囲を設定した上で、価格交渉に臨むことができます。
更に、得意先より求められている品質水準を達成するために必要なコストを示し、それを下回る厳しい価格では安定した品質と供給を保証できなくなることを伝えることで、価格交渉を有利に運ぶこともできます。



●2つ目の問題は、見積価格計算の精度が悪くなります。

一般的には、見積提示段階でその受注の利幅が決まってしまうため、いかにこの見積の精度を上げていくかが企業の損益のカギを握ります。
しっかりと原価計算を行い、見積価格計算にフィードバックすることで、見積価格計算の精度を向上することができます。



●3つ目の問題は、どの商品がどれだけ儲かっているか、損しているか分からないため、どの商品をどれだけ売っていくかの効果的な意思決定ができなくなります。

つまり、企業としての商品・販売戦略に活かすことができません。
どんぶり勘定の原価の把握で商品・販売戦略を立てている場合は、知らず知らずのうちに赤字商品を大量に売り続けているかもしれません。



●4つ目の問題は、原価の構成要素(材料費、労務費、経費等)にどれだけ費用がかかっているか分からないため、どの製品をどのように改善していくか意思決定することができません。

つまり、他社製品や自社の同類の製品と比較して、どの原価の構成要素の費用が高いのか低いのかの判断ができません。
そのため、原価の高い構成要素の費用はどこで、何が原因で高くなっているか、どんな対策を取れば低減可能なのかなど、原価低減に対する問題点の把握ができません。
結果として、効果的な原価低減活動が難しくなります。



●5つ目の問題は、製品の統廃合の検討ができなくなります。

もし、しっかりと原価計算ができていれば、原価低減の検討も可能となります。
その際に、原価低減を検討しても収益性が改善しない商品については、“生産中止”や“製品の統合”を検討することができます。
また、製品の統合については、同類の製品を統合することで販売数量を増やし、1個当たりの固定費を下げることで収益性の改善が可能であれば、検討の対象となります。



●6つ目の問題は、生産性向上のための設備投資の評価が難しくなります。

具体的には、設備投資により製品原価に含まれる減価償却費の見直しを行う必要がありますが、今の受注価格のままで設備投資費用を回収できるのか、価格を見直す必要があるのか、その場合に販売計画への影響がどうなるのか、などの分析・評価が難しくなります。
つまり、新しい設備の導入の前に、正確な投資判断ができないということになります。




このように、しっかりと原価計算ができていないと、経営に直結する様々な問題が生じます。
逆に、しっかりと原価計算が行えていれば、このような問題を全て解決することも可能です。

原価計算から享受できるメリットについては、次のようにまとめることができます。


適正価格が把握できる(効果的な価格交渉も行える)

見積価格計算の精度が向上できる

効果的な商品・販売戦略が立案できる

原価低減活動が可能となる

製品の統廃合の検討が行える

・生産性向上のための設備投資の判断が行える


原価計算を拒む「4つの理由」

それでは、なぜ、しっかりとした原価計算が行えていないのでしょうか?


●1つ目の理由は、原価計算の複雑さにあります。

一般的に、製品は1つ作るのにも、様々な材料を使用し、複数の工程で加工されます。
加工には、様々な機械や設備を使い、工程間には在庫も残ります。これらを加味して原価計算することは難しいことが上げられます。



●2つ目の理由は、原価計算には生産管理と会計の両方の知識が必要となり、これを理解している人材が少ないことが上げられます。

例えば、労務費を製品別に計算するには工数情報が必要となり、工程間では歩留り情報などの生産管理の知識も必要となります。
費用を製品別に按分するには、勘定科目などの会計情報も必要となってきます。
部門や工程間での共通に発生する費用は配賦するルールなどが必要となってきます。
これらを加味して原価計算する必要があり、一定レベル以上の生産管理と会計の両方の知識が必要と言えます。



●3つ目の理由は、原価計算導入における費用対効果の問題が上げられます。

例えば、製品毎にかかる労務費を算出するには、作業時間を取得しなければ算出できない場合があります。
そのため、作業時間の取得作業という余計な作業とコストがかかるので、生産性を落とし更にコスト高にしてまでやる必要を感じないと考えている経営者もいます。

しかし、しっかりと原価計算ができていなければ、前述した経営に直結する様々な問題が発生します。
ちなみに、作業時間などの情報取得方法については、企業の状況によりますが、工夫すれば余計な時間とコストをあまりかけずに取得することも可能です。
その点を経営者がしっかりと理解しておく必要があります。



●4つ目の理由は、原価計算の重要性が分かっていても運用が難しいことが上げられます。

運用には新たに作業時間や投入量・産出量の情報を取得する作業が発生することも多く、特に現場に負担がかかってきます。そのため、現場の理解なしには進めることが難しくなります。
原価計算をやる必要性とメリットを現場に理解してもらうことが、効果的な運用のカギを握ります。


 このような理由もあり、導入や運用が難しいため、しっかりとした原価計算ができていない企業は少なくありません。

しっかりとした原価計算を行うために

それでは、どうやってしっかりとした原価計算を行えば良いのでしょうか?


やはり、原価計算は複雑で難しいこともあり、最低限の知識は必要と思われます。
セミナーの参加や書籍の購入、専門家の派遣などを検討してみるのも良いでしょう。特に専門家と共に行うことが最終的にはコストも時間も節約できます。
公的支援機関には、無料の専門家派遣制度もあり、中小企業活力向上プロジェクトもその1つです。
是非、活用を検討してみてください。


また、一般社団法人東京都中小企業診断士協会城東支部の製造業革新研究会では、製造業の効果的な支援方法について研究しており、実践支援を通じて役立つツールを開発しています。
当研究会では、製品別原価計算が行えるツール「コスト倶楽部」を開発し、その簡易版をWEB上(http://www.costclub.jp/)で公開しています。
簡易的な製品別原価計算ツールですが、無料で利用することができます。

なお、WEB版で算出される製品別原価はあくまで参考値ですので、その点をご理解の上ご利用ください。

著者プロフィール

江崎 泰将(経営相談所スリーエイチ 代表)

<得意業種>
・製造業、運送業
<専門分野>
・経営計画策定と実施支援(経営会議参加によるフォローを含む)
・管理会計の導入
・原価計算及び原価管理
・創業支援
・資金管理(資金繰り、資金調達支援)
・事務業務効率化(エクセルのマクロ機能を用いた集計・分析ソフトの開発)

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