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活力向上ハンドブック

活力向上ハンドブック経営力アップのための70のビジネスメソッドと10の財務指標
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戦略・経営者(市場・競合の把握・SWOT分析・戦略的経営行動)

社員のアイディアや集めた情報を汲み上げ、新事業・新製品の開発や顧客開拓に役立てている

 新事業や新製品の開発は容易ではありません。せっかく新しい製品を開発しても、売り出してみるとパッとしないケースは、大企業でもしばしばみられます。このような新事業や新製品の失敗には、いくつかの要因が考えられます(図)。

 第1に製品自体の問題です。アイディアが良くても、技術が追いつかずに期待した性能が達成できなかったり、製造価格や開発コストを過小評価したために販売価格が高くなりすぎたりすれば、新製品はなかなか市場で認めてもらえません。

 第2に、市場情報の不足です。まず、市場規模自体を過大評価してしまうと、どんなに良い製品でも売上は予定通りいきませんから、投資が回収できなくなります。また、販売するターゲットの選定が適切でなければ、製品は売れません。そのほか、予期しない競合他社の参入や政府の規制によって、市場が分割されたり縮小されたりすることも考えられます。

 第3に、経営陣の判断ミスです。技術や市場に関する情報が適切に経営陣に届いていても、先入観による思い込みや過度の自信から、不都合なデータを無視してしまうことは、意外に多いものです。

 こうした失敗を避けるためにも、経営者はみずから情報収集を心がけるだけではなく、従業員の収集した情報を汲み上げる必要があります。直接顧客と接する営業担当者は、経営者の知らない重要な市場のトレンドを感じているかもしれません。開発担当者や製造担当者は、技術上の問題点に早い時期から気がついているはずです。彼らが、技術や市場に関する情報を積極的に観察して、タイムリーな情報提供や経営者へ意見を述べることができるような仕組みを作ることが経営者には求められます。こうした従業員の意見の活用は、新製品の企画段階でのアイディア収集や、新たな顧客の開拓にも、もちろん有効な手段です。

 もっとも、仕組みができていても経営者がそれをうまく活用しなければ意味がありません。最初は情報や意見が集まっても、それが全く活用されないということがわかれば、従業員も次第に何も言わなくなってしまいます。従業員の意見を無視した上で、自らの判断ミスによる開発の失敗の責任を、開発担当者や営業担当者の責任にしてしまったりすれば最悪です。最終的には従業員の声を聞く姿勢を経営陣が持てるかどうかというのが、情報を活用する上での重要な鍵であるといえるでしょう。

Case Study

社内にある優れたアイディアをきちんと掘り起こせ

 P社では新しい技術が入ってくると、それを咀嚼する部門があり、それをベースに社内へ広げるための勉強会がルーチンの仕事として頻繁に行われている。(溶接機の輸入/加工・100人)

 マニュアル通りにモノを作るのであれば、どこの大手メーカーでもできるが、町工場には町工場なりの独自のモノづくりに関する発想がある。R社では、VA提案が採用されれば金一封が出るので、従業員にもどんどんアイディアを出すように言っている。モノづくりの発想はモノを実際につくって、じっくりと眺めてみることで良いアイディアが生まれてくる。机上で図面を見ながら考えているだけではわからないと社長は指摘する。(プラスチック金型製作/射出成形・13人)

 Q社の技術開発は現場の作業者と開発担当者、設計担当者の協働作業で進められる。新分野の製品開発に関しては、「重要案件制度」を設けている。これは顧客からの新たな依頼に対して全社的に取り組むための対策会議を設置するというものだ。この制度により担当の部門だけに任せることはせず、部門横断的に課題の解決にあたり、役員も加わって陣頭指揮を執っている。(ねじ/冷間圧造部品・270人)

Step Up

(1)営業で得た情報が社内の他の部署にもスムーズに伝わる体制ができている

 営業担当者が情報を持っていても、経営陣や開発担当者に伝わらなければ意味がありません。市場に関する情報を積極的に観察するよう指示を出すとともに、定期的に各部門の担当者レベルも含めたミーティングを行ったり、開発チームに各部門から代表者を参加させたりするなど、タイムリーな情報収集が可能になる仕組みを作ることが求められます。新製品の不振の責任を、営業部門と開発部門とで押し付け合っているような企業は、こうした情報伝達がうまくいっていません。逆に、「売れる」新製品を開発している企業は、両者の連携もきちんと行われているのです。

(2)アイディアの創出を促すため、幹部や従業員に外部の展示会や勉強会へ参加させている

 新製品のアイディアを生み出すためには、市場や業界に関する情報や基礎的な知識が欠かせません。展示会は最新の市場トレンドを把握する絶好の機会です。また、商工会議所、中小企業団体、金融機関、大学などが主催する、経営や技術に関するさまざまな講演会や勉強会も大いに役立ちます。経営者がこうしたイベントに積極的に参加することはもちろん重要ですが、必要に応じて従業員もこうしたイベントに参加させ、アイディアを創出する能力の底上げを図っていくことが求められます。

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