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「経営」をスリム化する!<後編> 業務スリム化で業務革新!

スリムな経営には、財務・業務・事業の視点があります。後編では、無駄の廃止という業務のスリム化が、業務効率化と品質管理さらに業務革新に発展し、事業のスリム化にもつながること、そして、単なるダウンサイジングではなく質的な変化をもたらす流れを、ぜひご理解ください。

(掲載日 2020/11/16)

業務スリム化で業務革新!

1.業務のスリム化


 業務のスリム化とは何でしょう。前編でもお話しましたが、生産体制や商品・サービス提供に無駄がない企業は、業務が効率的でスリムな経営だといわれます。つまり、業務のスリム化とは、業務から無駄を探し出して取り除くことに他なりません。では、無駄な業務とはどんなものでしょう?

■利益の上がらない業務(商品・サービス)
業歴が長くなれば、経営理念や戦略とは関係なく、利益が上がらないどころか赤字の業務を、ただ従来通り続けていませんか?

■本来不要な、または重複する業務(作業)
本来不要な業務(作業)を、または同じような業務(作業)を異なる部署で重複して、見直すこともなく行っていませんか?

■過剰品質の業務(商品・サービス)
お客さまからは求められていない過剰な商品・サービスを、コストを掛けて(結果的に競争力を低下させて)提供していませんか?

 業務のスリム化は、個別業務の費用削減だけでなく、限られた経営資源の有効活用につながり、事業全体の効率化を実現することにつながります。では、無駄をなくして業務効率化を実現するにはどうすればよいか…、具体的方法を次に紹介します。


2.業務効率化と3M


 業務効率化とは一般的に業務上の無駄を無くすことですが、製造の現場ではさらに詳しく分解して、「ムリ」「ムダ」「ムラ」(これを3Mといいます)を無くすことが業務効率化の基本とされます。因みに、ムラがあると、ムリをし、ムダが出るといわれます。

ムリ (無理)必要とされるもの(目的)に対し、供給(手段)が下回り、負荷がかかっている状況
ムダ (無駄)必要とされるもの(目的)に対し、供給(手段)が上回り、余っている状況
ムラ (斑)バラつきがあり、ムダとムリが交互に現れる状況

その「ムリ」「ムダ」「ムラ」を無くす方法について考えてみましょう。
(1) 「ムリ」を無くす

 過剰品質をやめる
顧客も求めていない品質の商品・サービスを提供しようとムリをしているなら、やめるべきです。

 限られた資源を活用できる範囲に収める
会社全体の効率と優先順位を考え、トータルで歪みのないよう必要な業務に資源を投入します。

 ボトルネックを解消する
業務の流れのボトルネックとなる箇所にヒト・モノ・カネを優先的に割り振り、ネックを解消します。  

 逆に「ムリ」でなくする
別の方法はないか?前提を変えれば実現できることもあります。ムリな業務にこだわらず、柔軟な発想から新しい機会が生まれることがあります。


(2) 「ムダ」を無くす

 ジャスト・イン・タイム
「必要なモノを、必要なときに、必要なだけ」調達することで、在庫管理の負荷だけでなくコストも削減できます。

 余剰在庫を無くす 
仕掛品も含めて在庫はムダの温床です。在庫増加の場合はその原因を究明し、解消しなければなりません。

 余剰人員を解消する(配置換え・削減) 
余剰人員は業務効率化で生じた場合も含めてそのままにせず、全体の業務の流れを見直して配置換えや担当業務調整などによって、適正な人員配置にします。

 過剰な品質提供の見直し
顧客が望む以上のものを、資源を余分に使って提供していないか確認し、もしそうであれば仕様も含めて提供品質を見直します。

7つのムダ   よく知られるトヨタ生産方式では、次の7つのムダを徹底して削減します。
①つくり過ぎのムダ   ②手待ちのムダ   ③運搬のムダ   ④加工そのもののムダ
⑤在庫のムダ      ⑥動作のムダ     ⑦不良品をつくるムダ
 (大野耐一「トヨタ生産方式」1978より) 


(3) 「ムラ」を無くす

 作業を標準化する 
作業をマニュアル化し業務プロセスを標準化することで、作業におけるムラの発生を防ぎます。

 業務の繁閑を無くす 
マーケティングの活用で需要を予測し、計画的な生産・販売によって、業務の繁閑を低減します。また、従業員の多能工化(複数の業務をこなすこと)によって、繁閑のムラに対応します。

 環境を整備する
安全で安心して働ける作業環境を整備・維持し、作業に集中することでミスの発生を防ぎます。

 人的エネルギーのコントロールに気を付ける
従業員のやる気のムラは、仕事の成果に大きな影響を与えます。日頃からモチベーション維持に注意し向上に努めます。

3.業務効率化と品質管理


 かつて業務効率化は品質管理と天秤にかけられましたが、今や品質を犠牲にして効率化を図ることはありえません。むしろ、効率化実現のためには業務のやり方や流れの改善が必須であり、業務品質の管理と密接な関係にあります。ちなみに、企業の存続に必須とされる顧客満足(CS)は、常に商品・サービスの品質改善を求め続けることから、企業活動としての総合的品質管理が重要となります。つまり、コスト削減も含めた業務効率化(=生産性向上)が、品質を向上させる原動力となり、顧客満足向上にもつながって企業の存続を担保するのです。

総合的品質管理(TQM) ・・・組織全体で品質と生産性の向上を図る手法で、製造から企画・販売・サービス・人事まで、トータルに品質向上に取り組み成果をあげます。


 なお、業務効率化(スリム化)は、単発的な取組みではなく継続する仕組みとして定着することで、品質管理を通じて業務そのものを見直し、あるべき業務へと変化する業務革新に発展します。



4.事業のスリム化


 事業のスリム化そして業務革新によって、これまでの事業が不要または改革が必要になることがあります。もとより、赤字を出し続けてきたような事業や環境の変化に対応できていない事業、経営理念に合わない事業もあります。これらの事業は、企業としてスリム化の対象になります。これが、事業そして組織のスリム化です。

 事業のスリム化に際しては、本当に必要な事業か?、組織か?を慎重に見極める必要があります。そもそも何を目的とした事業で、経営理念とどう関わるのか、事業の将来性・収益改善の見通しはどうなのか、そして選択と集中の観点から限られた経営資源を投入するのに相応しいか、をよく検討します。そのうえで、不要と判断した事業(組織)は、思い切ってスリム化します。

 ただ、事業スリム化は、単なるカットやダウンサイジングではありません。企業をあるべき姿にするための、真のリストラクチャリング(再構築)なのです。事業全体の価値(収益)をどこで上げるかバリューチェーンで捉えて、必要な部署に資源を投入することなのです。

 スリムな経営は継続して初めて効果が表れます。スリムな経営(体制)を維持し、リバウンドしないよう、経営課題としてスリム化を継続しなければなりません。まず、経営者が自ら実行し、躾(ルール通り正しく行う習慣) を社内に定着させる必要があります。製造部門だけでなく企画・管理部門もスリム化するとともに、原材料・資金・人材など経営資源の削減・改善による業務効率化から、それを継続的に実現する業務革新へと発展させることで、本当の企業体質強化につながります。

 自働的に業務革新を継続し、業務品質を維持・向上することで、顧客満足を獲得することができ、企業の存続・発展と将来の収益も確保されるという大きな構図の中で、企業スリム化を捉えてください。


5.まとめ


 後編は、企業の利益拡大には「経営」のスリム化が重要で、業務スリム化=業務効率化はムダの削減だけでなく、品質管理を通じて新たな利益を生み出す業務革新にもつながり、企業の存続と将来の利益を確保するという、大きな流れをお話しました。
 経営のスリム化は、まずは経営者の皆さんの行動から始まります。ぜひ先頭に立ってスリム化に取り組み、皆さんの会社を力強い企業に進化させてください。

著者プロフィール

吉本 準一(吉本経営オフィス)

中小企業診断士/証券アナリスト/日本経営診断学会理事
メガバンクと関連会社に約40年勤務し、千数百名の社長さんから、融資・運用・営業・総務・人事など多岐に亘る相談を受ける。経営診断の延長で「三方よし」も研究しつつ、経営の根幹たる経営戦略から内部管理、人材育成、事業承継まで、経営者の皆さんと共に現場で活動中。

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