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身近なところから「国際化」に取り組んでみよう!

「国際化」に関心がある方もない方も、知らず知らずのうちにもう「国際化」に取り組んでいるかもしれません。どのような企業にとっても考えておかなければならない「国際化」を優しく解説します。

中小企業の国際化戦略

 「国際化」というと、海外工場の建設のような大きなプロジェクトを思い浮かべる場合も多いと思いますが、社会全体の国際化が進行する中、外国に行かなくても、身近なテーマはたくさんあります。そこで、取り組みやすいところから、中小企業の国際化のステップを見ていきます。

ステップ1:日本に来る外国人に対応する

 最も目につきやすく、身近なテーマと言えるでしょう。訪日外国人の数は、2017年には約2,870万人と急増しており、宿泊業や、小売業、飲食業のタイプによっては、50%以上が外国人顧客というケースも一般的になってきました。積極的に外国人顧客を取りに行く、という戦略もありますが、受け身の対応であっても、サービス業である以上は、最低限の心の準備はしておく必要があります。

 この場合の主要な対応内容は言語面になります。「日本式お風呂の入り方」のように戸惑いやすい部分にはなるべく多言語で表示を付けてあげる必要はありますが、外国人顧客は主として「日本を体験しにきている、あるいは日本で生活している」ので、あまり過剰に対応する必要はありません。不特定多数のお客様が来店する店舗にあっては、見た目で判断するとかえって失敗します。いかにも欧米人、という見た目のお客様がきたので英語で話しかけたら、「英語を話さないロシア系の日本人」かもしれないのです。誰にでもまずは日本語で応対し、日本語が通じなければ見た目に関わらず英語に切り替える、というのが基本的な対応になるでしょう。例外的に、明らかに特定の国の人の訪問が多いとわかっている場合のみ、その言語が話せるスタッフを用意しておく、という対応はありえます。

 いずれにせよ、相手が日本人でも外国人でも、「公平に、まごころを持って」接していればよい、という割り切りが大切です。

ステップ2:日本で外国人を雇用する

 外国人雇用も中小企業にとってますます重要なトピックになってきました。サービス産業はもちろん、製造業も外国人労働者なしには成り立たなくなりつつあります。
 この場合の考える順序は、「理由、法律、言語、文化」になります。

 まず、「なぜ外国人労働者を雇おうとしているのか」という理由が最も大切です。「日本人の応募がないから」という消極的な理由でもやむを得ないとは思いますが、労働者が応募したいと思うような魅力的な職場を用意できているのか、まずは環境の見直しから始めましょう。日本で雇用する以上、最低賃金をはじめ、外国人労働者も日本人労働者と同じ権利を持っています。技能実習生という制度を活用する場合でも、「外国人=低賃金で使える」という安易な思い込みは禁物です。
 よりポジティブな理由としては、「外国人にスキルの高い人材が多い」という場合もありますが、外国人を雇用することによって、経営者や従業員一人一人が「多様な人の生き方」に敬意を払うことを学び、将来の国際化への重要な一歩とすることができます。

 次に、外国人を雇用する場合には、対象者がどの在留資格を持っているのか、社会保険や年金はどうしたらいいのか等、法律的な問題が出てきます。この分野に詳しい専門家に一度は相談し、法令遵守を確保する必要があるでしょう。

 言語については、職場の共通言語は日本語であることを念頭におくと、業務に必要な日本語レベルはどの程度なのか、基準を設定しておくとよいでしょう。また、英語よりも、被雇用者の母国語への対応のほうが必要度は高くなります。

 実際に雇用すると、文化的な行き違いも出てくることでしょう。最も典型的な例として、「9時出社」の従業員が「9時10分」に来たら、勤労意欲がないのかと思いがちですが、実はやる気は十分にあって、ただ、決められた時間前に必ず来ていることの大切さが習慣づけられていないだけ、ということは大いに考えられます。むやみに叱責するのではなく、ここでのルールを今から学習してもらえばよい、というおおらかさが必要になります。
 「言わなくてもそれくらいわかるだろう」は通用しない、という実感が次のステップにつながる学びとなります。

ステップ3:海外から物・サービスを買う

 日本には輸入品や海外からのサービスがあふれていますが、多くの場合は専門の商社等があり、日本人が購入しやすい形で提供してくれています。そのため、海外から直接物を買う、という場面に会う企業はそれほど多くありません。

 ところが、近年のe-コマースの発展により、自社が必要とするものを売っている海外企業を見つけることは容易になってきています。場合によっては、ウェブサイト上で発注までできてしまうかもしれません。
 しかし、発注するということは一つの契約行為であり、決済方法や輸出入の条件、関税やリスク負担等、留意しなければならない点が様々に出てきます。そもそも、日本の法規制に照らして輸入が可能な物品なのかどうかの確認から始めなければなりません。

 このような観点から、輸出入手続きや決済は商社にまかせてしまうのも有力な方法ですが、貿易が自社の本業に近かったり、将来的に自社開発の製品を海外で委託生産したい等の考えがあるのなら、多少手間がかかっても自社で直接取引に取り組み、社内にノウハウを蓄積するのも一つの考えです。

 言語は英語で通用することが多いですが、相手方がオンリーワン企業であり、どうしてもその相手から買いたい場合、相手方企業の言語での対応を考える必要があります。

ステップ4:海外に物・サービスを売る

 海外への輸出・サービス提供は、二か国語でウェブサイトを開設したときに始まっているかもしれません。海外から直接引き合いがあるかもしれないからです。

 より積極的に海外に販売していこうとする場合には、マーケティング的な観点が最も重要になります。自社製品が提供する価値そのものは日本でも外国でも変わらないとしても、国によって使われ方が違うかもしれません。また、ベンチマークとなる競合品や代替品となると、国によって全く違うので、自社製品に競争力があるのか、市場ごとの見極めが必要となります。

 複数国に販売を展開していく可能性を見据えると、軸となる使用言語はやはり英語であると考えられます。自社の提供する商品・サービスの魅力について、英語でスクリプト(原稿)を作り、経営者や海外事業担当者が何度も説明の練習をしたうえで、展示会等に臨むとよいでしょう。機能面だけでなく、製造されるまでのストーリーにより相手の心をつかむ工夫が必要です。

 輸入の場合と同じく、取引の詳細は商社に委ねたほうが安心・確実とは言えますが、中長期的な成長と利益を考えると、戦略的に直接取引に取り組む方法も考えられます。

 いかがでしょうか。上記のようなステップを経て、海外に出店したり、海外で生産を行ったり、等の直接投資が長期的な目標となるかもしれません。
 それぞれのテーマに応じて、「社員教育」「資金計画」「作業時間の確保」等の課題が出てくるので、自社の業種・業態を考慮して優先順位を見極める必要があります。特に言語対応は時間がかかるので、業務に必要な内容を絞りこみ、トレーニングや文書翻訳等を計画的に行っていくとよいでしょう。

 5年程度先までの事業計画の中に「実現すべきこと」と「そのための行動計画」を盛り込み、まずは取り組みやすいところから始めていきましょう

著者プロフィール

青木 知雄(ビヨンド・コンサルティング代表)

旅行業や外資系小売業の不動産・投資計画部門・調達部門等を経て独立。海外企業の日本進出プロジェクトの計画立案・パートナー開拓・商談サポート提供の他、日本と海外の橋渡しにフォーカスをおいた企業コンサルティングや海外の経営者向けのセミナー等を行っている。中小企業診断士・AIBA認定貿易アドバイザー。

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