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価格交渉の基本

得意先からの減額要求に苦労されていませんか? しかし、得意先のある特性をつかむことで有利な交渉を進めることは十分に可能なのです。そのある特性とは・・

価格交渉の基本 ~得意先からの値下げ要請への対応と得意先への増額要請の手順

1.価格交渉の現状

 中小企業の場合、製造業であればある程度固定化された顧客に、一定の金額で製品を納品しているケースが多いでしょう。サービス業でも、対法人であればやはり同様に、顧客に対し価格を決めてサービスを提供しているケースも多いと思われます。

 このような場合、価格の決め方は大きな問題になります。

 商売であれば、選ぶ権利は買うサイドにある以上、買い手の力が大きいことが通例です。特に中小企業の場合得意先の方が大手企業で、またそのような特定顧客への依存度も高く、先方からの価格引き下げの要請(減額要請)にどのように対処するか、が大きな課題になってきました。

 一方でこの数年間、人手不足もあり最低賃金も年々上昇している中では、減額要請対応どころか、逆に顧客に増額要請をしなければならないケースも多発していることでしょう。

 しかし現実には、中小企業の多くが減額要請をお断りするにせよ、増額を要請するにせよ、その具体的な手法がわからずに苦慮している・・、何よりもその結果、取引にまで影響が出れば、経営に多大な打撃を受けることから、二の足を踏んでいるのではないでしょうか。


 そこで一度、価格交渉の具体的な対応につきお教えしたいと考えます。

 ここでは最も事例的に多いと思われる、「中小企業の製造業者が」「発注元から減額につき依頼を受けた」あるいは「増額を要請せざるを得なくなった」ケースを想定します。


 教科書的に言えば、この問題の戦略的解決法は、付加価値商品の開発にあります。市場にニーズの高いオリジナル商品を開発すれば、自然に増額も実現でき自社の利益も増大します。

 更に言えば戦術的な解決方法は、生産効率化と顧客層の拡大にあります。効率化が進めば減額に対応しても利益は確保できますし、新規に顧客が開拓でき特定顧客への依存度が低くなれば、交渉もやりやすくなっていきます。

 無論長期的にはこれらも必要でしょうが、恐らく中小企業の経営者の多くは、目前に迫った交渉にどう対応するかという戦闘的な側面が重要でしょう。この際大切なのは、得意先の交渉の窓口である方、つまり購買担当者の特性を知ることです。

2.購買担当者の特性

 多くの場合、中小企業の経営者や営業担当者は、購買担当者にやりにくさを感じているのではないでしょうか。得意先の最も大切なキーマンなのですが、その分何かあれば「納期を早めろ」「品質を上げろ」と要求ばかりして来て、万一不具合でもあれば「すぐに来い」「代替品を至急手配しろ」「改善報告書を1週間以内に出せ」と大騒動になり、それで年に1回か2回は減額要請をつきつけられるのですから、無理はないかもしれません。

 ただ購買担当者にも、その企業の中で、そうしなければならない事情があります。

 購買担当者のミスの結果、1つでも部品の欠品があったり、不具合品が出れば、会社のライン全体が止まってしまいかねません。会社が通常に動く状態を維持する上では、購買とは「うまくいって当たり前」「何かあれば大問題」という存在になります。

 そういう購買担当者の習性として、「冒険はしたくない」ということがあります。例えば従来取引のあるA社から同じ部品を購入し、結果的に不具合が発生すれば、「責任はA社にある」と言えば社内でも一応認められます。

 しかしA社よりも安価、あるいは高品質ということで新規にB社に発注した結果、不具合が生じればどうでしょうか。「お前がこんな会社に発注するから、こんなことになったんだ」と責任を追及されるのは、購買担当者自身です。

 中小企業の経営者の多くは、「減額を認めなければ取引をはしない」「増額するくらいなら取引を中止する」と言われることを危惧されると思いますが、そこまで乱暴な購買担当者はさすがにそういないとお考えください。無論競合他社が多数存在している場合など、それぞれ事情はあり一概には言えませんが、取引を打ち切るということは購買担当者本人も、「その取引分を代替させ、しかもトラブルを起こすことなく対応できる相手を決めるか、探さなければいけない」というリスクを負うことになるからです。

 購買担当者が取引を本当に打ち切るのは、寧ろ対応における誠意に疑問を感じる場合です。私自身ある大手企業で購買を担当していた時期、取引をゼロにした経験がありますが、それは品質不具合が発生したこと自体はまだしも、その改善報告内容に疑問を感じ、これでは今後も不具合が続発すると判断したケースです。不具合が改善されないまま再度発生すれば、今度こそ購買担当者が責任を取らされるのですから、これは当然のこととなります。

3.減額を要請された場合の対応

 ではそういう購買担当者に対し、どのように中小企業は交渉に臨めばいいでしょうか。

 基本的な考え方は「絶対に決裂するような交渉はしない」これに尽きます。

 例えば得意先の購買担当者に呼び出され、行ってみると「現在単価100円の商品を、90円にしてほしい」という内容であったとします。この場合の基本的な対応は、以下となります。


  1. 「原価計算などもあるので、一度検討します」とその場を辞去。

  2. 過去の金額の推移を確認する。例えばかつて120円であったものをそこまで下げてきたのであれば、もう大きな減額をすることはできないという答えもしやすくなる。

  3. できる金額を確認する。購買担当者の顔を立てる意味で、98円とか99円とかゼロ回答は避けることが、通常は現実的。ただ(ii.)のようなケースで本当に採算が厳しくなれば、ゼロ回答もやむを得ないこととなる。

  4. 先方に納得してもらうためのデータをそろえる。
    決算書を毎年要求してくるような得意先なら、人件費が増加していることも説得しやすい。その他原材料費など、製造原価が上昇し経営を圧迫しているデータには現在は事欠かないので、極力用意する。

  5. 実際に回答する際には「私も何とか要求に応じたいのですが」「どうしても今の状況ではこれが精一杯でなんです」「何とかこれでお許しください」というスタンスで臨む。
    相手を立腹させる要素を与えないことが、最も大切。

  6. 無論相手が納得せず二度・三度の交渉になることの方が多いとして、(v.)のスタンスを守って粘り強く対応する。


 当方がきちんと誠意を尽くし、申し訳ないという姿勢を前面に出しつつ交渉していけば、購買担当者も取引打ち切りとまではなかなか言えません。そういうことを口にした結果、万一本当に打ち切りになれば、先に述べたように自分自身もリスクを背負うことになるからです。

4.増額を要請する場合の対応

 当方から増額要請をするような場合には、この姿勢はさらに重要になります。

 取引に影響が出ることを防ぐには、「こんなことを本当は頼みたくないのだが、やむを得ない」ということを、先ず先方に理解していただく必要があるからです。

 増額要請の手順も、減額お断り時と基本的には変わりませんが、以下の点は特にご注意いただければと存じます。


  1. なぜ増額を要請せざるを得ないかについては、きちんと書面にする。

  2. 購買担当者にはご迷惑になるかもしれないが、お願いしなければならない状況にあることを理解してほしいという点は何度でも強調する。

  3. できれば2名で訪問する。
    例えば社長のご子息が同行すれば、その目の前で購買担当者としてもあまり厳しいことは言えなくなる。

  4. 増額要請は、受け入れらないケースも多いと思われる。
    それでも例えばこれをやることで、購買担当者に「減額要請がしにくくなったな」と思われるだけでも、効果があったかもしれないと前向きに考えていく。


 無論上記は一般的な考えであり、実際の交渉に際しては、相手も状況も違う以上、千篇一律にはいかないことが寧ろ普通でしょう。

 ただ基本的な手順と、「得意先からの要求をお断りし」「あるいは当社からの要求にご理解をいただき」つつも尚且つ「交渉決裂など取引に影響が出るような事態は絶対に避ける」という根本的な考え方につき、ご理解いただければ幸いに存じます。

著者プロフィール

齊藤 拓 (さいとう たく)(齊藤コンサルティングオフィス 代表)

大手ビール会社で営業職に10年間、購買職に3年間在籍。その後コンサルティング会社では顧客開拓で実績を上げるとともに、市場環境の調査にも精力的に従事。それらの経験、特に売る方と買う方の立場を熟知している点、多くの経営者と知見を得た点を生かしての、営業・購買・マーケティング・市場調査を専門分野とする。

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