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新規事業を考えてみませんか?

商品のライフサイクルが短くなっている昨今、新規事業の必要性は増すばかりです。とは言っても新規事業を考えるのは至難のワザ。そこで、新規事業を考えるためのフレームワーク、思考法を紹介します。どう差別化するのか? 顧客は何を求めているのか? 新規事業のヒントが満載です。

(掲載日 2021/08/25)

新規事業考案のためのフレームワーク

技術進歩が速くなり、プロダクトライフサイクルが短くなっている状況に加えて、コロナウイルスによる生活環境変化の影響を受けて、これまでうまくいっていたはずのビジネスモデルが通用しなくなっています。そのような中、多くの企業で新規事業を立ち上げる必要性に迫られていると思います。そのような環境下、政府も補助金などを通じて、世の中に合致したビジネスの転換を求めている節もあります。

とは言っても、すべての企業にとって新規事業開発は簡単なことではありません。そこで本稿では、新規事業を考えるうえでヒントになるフレームワークをいくつか紹介します。

1 非顧客層分析


新規事業におけるターゲットを分析する上で考えなければならないことは、現在は顧客ではない人たちの分析です。現在の顧客だけをセグメンテーション化しターゲットとすると、新規事業の対象顧客が小さくなってしまうためです(*1)。そのため、現在顧客となっていない層の分析を行い、いまの商品・サービスが持っていない要素はどんなものか探ります。

例をもとにどのように分析を行うか考えてみましょう。下記の例は、ファストフードの非顧客層を分析したものです。
非顧客層は次の3つのグループに分けることができます。
第1グループ:現在でも自社の製品・サービスを利用しているが、他に代替品もないので仕方なく使っており、他に優れた製品があればすぐに利用をやめるグループ。
第2グループ:業界の製品・サービスをあえて使用しないと決めた顧客グループ。
第3グループ:これまで全く顧客の対象とみなされないグループ。

表 ファストフードの非顧客層分析(例)

それぞれのグループについて、特徴はどんな人達か、非顧客の理由はなにかを考えます。
そうすることで、これまでとは違った顧客を知ることができます。例をみると、ファストフードを使っていない人達について、どのようなものを提供すれば、お店に来てもらえるのか考えることができます。

例えばお腹が空いているのに、ファストフードで飲食しない第2グループの人たちはどうしてファストフード店を使わないのでしょうか? テーブルを広くすればどうか? 健康的なメニューを追加したらどうか? など、いろいろな角度から要因を考えることができます。

また、もっと角度を変えて、そもそも飲食店に用がない第3グループの人たちに来店してもらえないかも考えることができます。例えばコーヒーを出して、喫茶店感覚で利用してもらう。利用してもらえば店の認知度も上がるのではないかといった考え方です。これまで考えたことのない顧客を考えてみましょう。

2 戦略キャンバス


戦略キャンバスは、各社サービスの特徴をグラフ化するもので、一目でそのサービス・商品がどのように差別化されているかを把握することができます。

例えば、個人食堂A社と近くにあるファストフードB社があるとして両店を比較します。どの部分で優位があり、どの部分で負けているのか把握します。あくまで自社が他社と差別化されているかがポイントであり、すべての要素で相手を上回っていればよいわけではありません。あとから説明するERRCグリッドを使うことで、他社との差別化や、新たな市場を作ることができます。

例えば、A社は、B社に比べて価格は高く、会計手段も限られる一方で、味がよく(おいしさ)、接客の良さ(愛想)が強みとしてあります。戦略としては、価格は高くても、いごこちがいいような内装にしたり、ファミリー向けにしてみたり、健康に気を使った食事メニューを追加してみたりすることで、大きく差別化でき、B社の非顧客層を取り込むことができる可能性があります。このように、他店と差別化しながら、新たな市場がないかどうかを探ることができます。

3 効用マップ


サービス・製品が顧客にとってどんな効用があるのか、つまりなぜその商品・サービスが買われるのかを考えるものが効用マップです。買い手が商品を認知、購入し、利用するまでの便利さ、有用さや、逆に不便さ、不都合さを見つけます。

例に挙げているものは、ファストフード店のものです。表の横の欄顧客が商品サービスを購入・利用するまでの行動表の縦の欄評価項目について自社のものを記入し、それぞれを×、△、〇で評価します。「顧客の生産性」といった観点で見た場合、ファストフード店の場合は、「配膳」と「片付け」については多くの店がセルフサービスです。よって×が付くと思います。一方で、素早く食べられることが顧客の効用として考えられます。「シンプルさ」は、「注文会計」ではメニューが多くて顧客が混乱するかもしれません。「片付け」については、ごみの分別が必要な店では顧客にとってシンプルとは言えないはずです。

評価し終わったら、×の部分を〇にする方法がないかどうかを考えます。ここでは、すべてを〇にすればよいといったわけではありません。他社にはない効用が〇になっていればチャンスとなります。例えばファストフード店に健康にいいといったイメージや、行って楽しいといったお店はあるでしょうか? 実際に、モスバーガーは、食材にこだわっているといったブランドイメージがあり、マクドナルドは家族での来店を促すために子供の遊ぶスペースがあり、行って楽しめるような店舗の開発など戦略を立てています。

このように、他店にはないものを考えることによって、新たな市場が生まれ、新製品、新サービスが生まれるヒントとなります。

4 ERRCグリッド


新規ビジネスを行うにあたって、戦略立案のためにERRCを考えます。ERRCとは、Eliminate(取り除く)、Reduce(減らす)、Raise(増やす)、Create(付け加える)の頭文字をとったものです。

Eliminate(取り除く):業界で、あたり前のように商品・サービスにあるもので、取り除いても価値に影響がないもの。
Reduce(減らす):業界で、あたり前のように商品・サービスにあるもので、減らしても価値に影響がないもの。
Raise(増やす):業界で、あたり前のように商品・サービスにあるもので、思い切って増やすことで価値に影響があるもの。
Create(付け加える): 提供される、付け加えることによって、価値が増すもの。

新商品・新サービスについては、非顧客層分析、戦略キャンバス、効用マップについても、何を減らして何を加えるかといったERRCの視点が大切になります。

例えば、先ほどから例として出しているファストフードでは、「レジ機能」や、「駅前の立地」といったものを取り除いて、「メニュー」や「従業員」を減らし、逆に「高単価の商品」に絞り(増やし)、「ラグジュアリーな空間」と「大きなテーブル」を置く(付け加える)ことも考えられます。その店舗では、競合が駅前にあり、並んで注文することが嫌な客に訴求することができ、家族連れにもアピールできます。競合他社が提供していない効用をターゲットに提供できる可能性があります。もちろん、成功するかどうかは、外部環境や投資可能額など様々な視点が必要になります。

一方で、アイデアを出すために、ERRCグリッドの視点をもつと、新規事業の案は出やすくなります。
 

5 最後に


フレームワークを使い、現在販売している商品・サービスを踏まえながら新規事業について戦略を立てることで、シナジーを生かした市場創造が可能です。上記のフレームワークに加えて、環境分析も行いながら新規事業を創りだしてください。


<参考文献>
(*1) W.Chan Kim & Renée Mauborgne,2005, Blue Ocean Strategy : How to Create Uncontested Market Space and Make the Competition Irrelevant, Harvard Business Review Press(有賀裕子訳, 2005, 「ブルーオーシャン戦略」ランダムハウス講談社)

著者プロフィール

青柳 元訓(東京都中小企業診断士協会城東支部)

金融機関にて、企業再生、融資、株式投資、ニューヨーク勤務を経験。事業再生、金融アドバイス、新規事業開発が専門。 中小企業診断士、証券アナリスト、宅建など20以上の資格を保有。大学院にて起業家についての研究を行っている。

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