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IoTでビジネス新発想 ~事例で見るIoTのビジネスモデル~

モノをインターネットに接続するIoTは今や当たり前に利用される技術となっていますが、IoTを活用すると、これまでにはない新発想のビジネスを始めることも可能です。サービスの発想によるIoTビジネスとは・・・

(掲載日 2020/01/30)

「サービス」の視点から考えるIoTのビジネスモデル

1.商品を通じてお客様に「サービス」を提供する

商品をお客様に販売するとき、お客様は実際には何を購入しているのでしょうか?
例えば乗用車を販売するとして、お客様は何が欲しかったのでしょうか?

「自動車を購入するのだから、その車が欲しかったに決まっている」
と言う前に、なぜお客様は「車」が欲しかったのかを考えてみて下さい。

単に車を所有することに意義や喜びを感じるお客様もいらっしゃるかもしれませんが、多くの場合には「どこかに移動するため」に車を購入しているはずです。つまりお客様が購入しているのは「移動する手段」や「移動すること」であると考えることができます。


自動車に限らず、商品を販売する場合、お客様が実際に購入しているのは、その商品を使用して「何かをすること」であると考えることができます。
テレビであれば、「情報を得ること」や「楽しい時間を過ごすこと」あるいは「一家の団欒の時間を持つこと」かもしれません。また、洗濯機であれば、「衣類を綺麗にすること」や「気持ち良い生活を送ること」であると考えられます。

つまり商品を販売することは、その商品を通じてお客様に「こと」、言いかえれば「サービス」を提供していると考えることができるのです。


そして商品がお客様に提供するサービスは、お客様ごと、さらにはお客様の置かれた状況ごとに異なります。

例えば自動車の例では、同じ移動する手段と言っても、毎日の買物のための移動、家族旅行のための移動、ビジネスのための移動、純粋に車の運転を楽しむための移動など、状況によって提供されるサービスは異なっており、それぞれにふさわしい商品が使用されることになります。


しかし、一旦商品を販売してしまうと多くの場合、売り手はその商品がサービスを提供する現場に立ち会うことはできません。
つまりお客様が実際にどのようにその商品を利用し、どんなサービスを受け取っているかを知ることができないわけです。
そこで、顧客アンケート調査などを通じて、お客さまから実際の利用方法や感想などを聞き出すわけですが、お客様の負担にならない範囲で、多くの顧客に細かな質問を行うことは困難です。

2.IoTを活用してサービス提供の現場を知る

Internet of Things(モノのインターネット化、以下IoT)技術を利用したビジネスを考える場合に、重要な点のひとつは、

「IoT技術を利用することで、商品(モノ)がお客様にサービスを提供する現場に立ち会うことができる」

という点です。


IoTは、モノをネットワークに接続することで、ネットワークを通じてモノから情報を収集し、またモノを制御する技術です。商品(モノ)をネットワークに接続し、情報を収集することができれば、その商品が実際に利用されている「現場」のデータを集めることが可能になります。

例えば最近の自動車は「コネクテッドカー」として、ネットワークに接続されているものが増えています。コネクテッドカーでは、運転中に交通情報などの提供を受けられると同時に、自動車の状態(走行状況、エンジンやその他のシステムの状態など)をメーカー宛に送信しています。
メーカーではそれらの情報を分析することで、自動車に異常が無いか、メンテナンスの必要な部分は無いか、などを知ることができ、必要に応じて適切な保守サービスなどをお客様に提案することができます。

まさに、商品である自動車がお客様にサービス(移動)を提供している現場の情報を収集して活用していることになります。

3.IoTにより「サービス」を高付加価値化する

お客様が商品を使用しているとき、つまり商品がサービスを提供している現場の情報を収集できれば、上記のような保守サービスの提案だけではなく、商品のよりよい利用方法をお客様に提案したり、新商品のために必要な改善点のヒントを得ることも可能になります。

例えば、米国のゼネラル・エレクトリック社では、自社が製造したジェットエンジンにセンサーを内蔵し、利用状況のデータを収集することで、航空会社に対して、より効率の良い航空機運行方法のアドバイスをするビジネスを行っています。一部品であるジェットエンジンという商品の販売を超えて、利用現場(サービス提供現場)である航空機の運航サポートをビジネスにしているわけです。

また、寝具の製造販売を行っている西川産業株式会社では、主力商品である寝具が提供するサービスの現場、つまりお客様の睡眠の情報を得るために、活動量計をお客様に着用していただき、そこから得られる睡眠のデータを活用しています。
睡眠時の姿勢や寝返りの回数などのデータから睡眠の状況などを可視化するアプリケーション「睡眠環境解析サービス」を作成し、その測定結果に基づきお客様に対して、専門家による睡眠環境改善のアドバイスを行っています。(*1)

寝具という商品は、それ自体での差別化が難しい商品です。しかし、この事例のように商品そのものではなく、商品が顧客に提供する「サービス」に対して直接改善(差別化)を行うことにより、お客様にとっての付加価値の向上を実現することが可能となります。

これらの事例のように、IoTを上手に活用することで、商品がお客様に「サービスを提供する現場」から直接データを得て、さらにそのサービス自体を改善することが可能となります。

4.サービスの視点から発想する

商品の付加価値向上や新ビジネスを考える際には、「商品(モノ)がお客様にサービスを提供する」という視点で、そのサービスの改善や高付加価値化を考えると、それまでにない新しい発想が生み出される可能性があります。

さらに、このような視点でIoTを活用すれば、IoTで収集するべきサービスの「現場」がどこにあるのかどのようなデータを収集すべきなのかどのように「サービス」を改善すべきなのかが明確になります。

自社の販売する商品が、どのようなサービスを顧客に提供しているのか、いちど考えてみてはいかがでしょうか?



(*1)事例出典:2017年版ものづくり白書 P73 西川産業株式会社
「寝具の製造販売」から「睡眠環境コンサルティング」事業へ

著者プロフィール

新井 一成(新井中小企業診断士事務所 代表)

中小企業診断士
NECで通信機器の設計開発に従事後、経営企画を担当。その後アラクサラネットワークスにて経営企画、マーケティング等に従事。IT/IoTを活用した業務改善や経営革新、ビジネスモデル開発などを中心に企業支援、セミナー講師などを行う。近著:IoTビジネスいちばん最初に読む本(共著)。

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