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外国人スタッフが働きたくなる会社づくりとは

労働人口が減少する日本にとって、外国人スタッフの必要性はますます高まっています。人手不足の解消だけでなく、事業開発や組織活性化にもつながる外国人スタッフ雇用のポイントを説明します。多様性を活かし、みんなが幸せになれる、そんな会社づくりを一緒に考えてみましょう

(掲載日 2021/09/01)

成功する外国人スタッフ雇用

1.外国人スタッフ雇用の理由


①日本国内での外国人スタッフ雇用の理由
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、日本政府は様々な国の人に対して、入国制限を実施しています(執筆時現在。外務省Webサイト『新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について』|https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/fna/page4_005130.html)。しかし、依然として以下の理由で外国人スタッフ雇用の必要性は高いままです。

・人手不足の解消のため
・現地法人管理・立上げ準備、海外市場向け営業、などの海外事業要員として
・デパート販売品や不動産賃貸サービス、などの来日・在留外国人対応要員として
・デザイナ-やエンジニア、などの優秀な人材・多様な人材の確保のため

 つまり、人手不足対応のみではなく、企業の事業開発や組織活性化に外国人スタッフが大きな役目を果たすのです。感染対策が落ち着いた後に向けて今から準備をしておきましょう。


②外国人スタッフの雇用パターン
 外国人スタッフの雇用パターンには、1)外国人の日本への招聘、2)国内留学生の新卒採用、3)国内就労中外国人の中途採用、4)技能実習生の受入れ、5)アルバイト・パート(資格外活動)があります。今回は、このうち1)、2)、3)、を対象として説明します。

2.外国人スタッフの採用


①採用がうまくいかない理由
 多くの企業が外国人スタッフの採用に苦労しています。外国人スタッフの採用がうまくいかない理由のひとつは、必要人材要件が曖昧なまま漠然と採用活動をしていることです。これにより、応募者にとって、企業・仕事内容が合わない、処遇・労働条件が合わない、求人ルートが合わない、求人内容が曖昧、といった問題が生じます。


②人材要件定義の基本的な考え方
 募集にあたっては、「人ありき」ではなく、「ポジションありき」を基本にしましょう。まず採用してから適切なポジションに当てはめるのでなく、事業戦略に必要なポジションを決めてから要件に合う人を採用しましょう。ポジションが決まったら、汎用知識・汎用スキル(日本語・英語力など)、専門知識・専門スキル(法律、設計など)、適性(明るい、仕事が正確など)の要件を定義します。


③求人内容
 求人については、曖昧な条件でなく、具体的・詳細に条件表示しましょう。例えば単に「営業職、給与・時間応相談」ではブラック企業を連想されかねません。「職務内容・給与・手当・就業場所・休日・残業・福利厚生・教育・昇進」についてはっきりと表示することが必要です。求める国の人の言語で記載すればさらに効果があがります。つまり外国人目線が大事ということです。


3.外国人スタッフの定着


①定着しない理由
 残念ながら、外国人スタッフの場合、日本人のように「仕事に不服でも何年か我慢する」ということがあてはまらないことが多いようです。定着しない理由は以下です。

・給与、福利厚生、残業、などの処遇と労働条件に関する問題
・「成長が実感できない」「評価が不透明」などのキャリアに関する問題
・「上司が嫌い」「うまくコミュニケーションできない」などの人間関係の問題


②キャリア志向の背景
 東アジア・東南アジアの人は、日本人に比較して、働くことで成長したい人の割合が高いという調査があります。つまり、日本人より成長意欲が高い傾向にあると言えます。

図1:働くことで成長したい人の割合(%) N=各国1000人

出典:パーソル総合研究所 APAC就業実態・成長意識調査(2019年)
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/research/activity/data/apac_2019.html
をもとに筆者作成




③キャリアアップの道筋と透明な評価
 外国人スタッフに対し、入社時や定期面談の際に、権限の範囲・仕事内容・昇格基準・昇格までの期間、といったことを可視化して具体的に説明することで、キャリアアップに対する不安を軽減することができます。例えば以下のような昇格要件表を作成することをお勧めします。

表1:昇格要件表(例)

出典:堀之内克彦『中小企業の「人事・賃金制度」はじめに読む本』(すばる舎、2016年)をもとに筆者作成




④人間関係重視の背景
 東アジア・東南アジアの人は、日本人に比較して、会社より人との関係を重視する傾向にあります。つまり、信頼できる人と仕事をしたい、ということです。
  

図2:個人重視の度合い(数字が小さいほど人間関係重視、満点=100)

出典:『多文化世界』(G.ホフステード, G. J. ホフステード, M. ミンコフ/著、
岩井八郎, 岩井紀子/訳、有斐閣、2013年)をもとに筆者作成




⑤人間関係
 人間関係をよくすることの基本は「面倒見」です。これは日本人新規採用者にとっても必要なことですが、異国の地で働き心細い思いをしている外国人スタッフにとっては、なおさら大切です。職場へ馴染めるよう手助けをしましょう。まずは「声掛け」です。出社時・就業時・退社時にひとこと声をかけてあげましょう。家族のことも気にしてあげると喜ばれます。制度としては以下の例があります。

・ブラザー、シスター制度:
所属先の年の近い先輩社員が指導支援します。仕事に関連した指導に向いています。

・メンター制度:
所属先以外の年の近い先輩社員(メンター)が指導支援します。同じ部署の先輩には話しにくい内容の相談ができます。

 また、次のような交流会も人間関係をよくするために効果的です。相手への関心を大切にしましょう。ただし、宗教的タブーや時間外の強制参加はしない、などの配慮が必要です。

・日本語や日本文化、あるいは相手の言葉や文化に対する勉強会
・誕生会や会社記念イベントでの懇親会
・家庭訪問


4.外国人スタッフの退職


①就業規則の説明徹底でトラブル回避
 残念ながら、日本人に比較して外国人スタッフの離職率が高いことは事実です。そして、退職時にトラブルが発生することもあります。例えば「解雇理由に納得しない」「引き継ぎの感覚がなく、その場限りで退職する」「不当解雇を理由に訴えられる」といったことです。そのような事態を避けるためのひとつの手段として、スタッフの入社時に就業規則の説明を周知徹底しましょう。母国語に翻訳し、職場のルールとして説明するのです。就業規則に記載するべき内容は以下です。

・記載が必須の項目:勤務時間、休日・休暇、賃金・昇給、退職・解雇、など
・制度があれば記載が必須の項目:退職金、賞与、表彰・制裁、など
・記載が任意の項目:企業理念、評価する人材、など


②退職後のネットワーク
 最近は日本人もそうなりつつありますが、特に外国人スタッフにとっては同じ企業で働き続けることは当たり前のことではありません。退職を悪いことと捉えるのでなく、今後の事業展開のチャンスと捉える前向きの姿勢が大切です。外国人スタッフの早期退職や母国への帰国を自社のネットワーク拡大の好機と捉え、退職後も良好な関係を維持したいものです。


 ここまで述べた内容は、外国人スタッフのためだけでなく、自社の事業開発と組織活性化につながります。グローバル化が必須の時代、多様性を活かして、みんなが幸せになれる会社づくりを行いましょう!

著者プロフィール

北谷 康生(東京都中小企業診断士協会城南支部国際部)

中小企業診断士/AIBA貿易アドバイザー/日本経営品質賞アセッサー
大手素材メーカーにて、国内・海外向けマーケティング・営業、ASEAN・中国製造販売現地法人立上げ、新規事業開発に携わる。ASEAN法人では初代社長を経験。国内・海外向け販路開拓と現地進出、および新規事業開発の支援が得意。

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