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活力向上ハンドブック

活力向上ハンドブック経営力アップのための70のビジネスメソッドと10の財務指標
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人材・組織(組織運営)

社員の経営参加(参画)の仕組みを構築している

 人間はどうしたらやる気を起こすのでしょうか? A.H.マズロー(Maslow)の欲求5段階説では、生理的欲求→安全・安定の欲求→社会的欲求(集団への帰属)→自尊(認められたい)の欲求→自己実現の欲求と段階があり、下位の欲求が満たされるとより上位の欲求を求めると説明されました。最上位の欲求が自己実現で、みずからなり得るところのものになろうとする欲求です。

 高い達成意欲に恵まれた人びとの特徴は、適当に難しく、だが達成可能な目標をみずから設定します。そして、成功の報酬よりも自己の内面・個人的達成感を重視します。もちろん報酬を拒絶するわけではないですが、達成それ自体に比べて報酬はそれほど重要なものとは考えていないのです。受け取った金銭や賞賛よりも、難しい問題を克服して解決して得た達成感を重視するのです。そして、前段階の欲求が完全に満足されない限り、次の段階の欲求が最優先欲求ということにはなりません。豊かな今日の社会では、社会的欲求、自尊の欲求、自己実現の欲求などの欲求に比べて、生理的欲求や安全・安定の欲求は大きく満たされているのです。

 D.マグレガー(DuglasMcGregor)は、労働者は本来怠け者で、金銭で刺激し、監督を厳重にして細々と命令しないと怠けるもの(X理論)と、労働者も一定の条件のもとでは、みずから進んで創意を発揮し働くもの(Y理論)との2つのタイプに分けて論じています。つまり、X理論では、大多数の人間は命令されることを好み、責任を負うことを好まず、なによりも安全・安定を望むものだと仮定します。したがって、人は金銭と金銭以外の形の手当、および罰への恐れによって行動を動機づけられると考えます。X理論を是とする管理者は、統制を厳しく行い、細かく指示・監督する必要があると考えます。一方、Y理論では、人間は適当な動機づけさえあれば、基本的に自律的に職務を遂行するものであり、かつ創造的であると考えます。そこで、管理者は個々人の内にある潜在的可能性を触発することをめざさなくてはなりません。正しく動機づけられることによって、誰でも努力を組織目標の達成に向けながら、しかも自己の目標を最上のやり方で達成することができるようになるのです。

 人間はだれでも心の中にいろいろな要求(動因=motive、drive)を持っています。そのなかのなんらかの要求が、仕事の達成から得られることが期待される成果と結び付けば、やる気が起きるものです。どんな要求が仕事の達成とどんな誘因で結び付くのかを説明したのが、要求(動因)の理論と誘因の理論です。人間の内的要求にはいろいろなものがあるのですが、そのうちのどれが最も強いかは、生活水準や個性によっても異なります。したがって、動因を「やる気」に発展させる誘因も、個々人が持っている最も強い要求に合致しなくては、有効な誘因にはならないのです。そこで内的要求にどんなものがあり、何が一番強く現れるかということについて、現在最も一般化している説が2つあり、一つは本人の期待(例えば、昇給や昇進)であり、もう一つの期待が上司の期待です。多くの場合、部下は上司の期待に沿って行動します。優秀なマネージャーほど、部下を信頼し、部下に高い業績を期待できるという能力を持っており、部下を信頼して新しいものに積極的にチャレンジさせ、それを支援するのです。マネージャーは「思いつきで言うな」「対案なしに反対するな」が基本です。

 認められることが動機づけ要因として最も大きいのですが、それは目標設定から最終的な意思決定(PDCAサイクル)への参加の度合いが強く作用します。

Case Study

企業と従業員の一体感をいかにつくるか

 Z社では持株制度を設けており、全員に同社の株を持ってもらい、利益を配当している。決算賞与は毎期営業利益の10%を出している。こうした報酬制度は従業員のやる気と連動しており、この仕組みを通じて従業員は、企業は自分の持ち物、共同体であると思うようになるようだ。

 業績は株主でもある従業員に全て公開している。月別の決算書も全員に発表している。「受注・売上表」も発表しているが、これは企業の状況がすぐにわかるため従業員にとって影響が大きいという。毎月この表を全員に配っているが20年前から続けている取り組みだ。接待営業や接待ゴルフなどは一切やらないため、接待費はゼロを計上。税金も規則だからしっかり払う。モノづくりも納税も社会貢献としてやっており、どっちも同じなので両方ともしっかりやっていくという。(振動計測装置等製造・23人)

Step Up

(1)従業員の参加意識を高めるために、従業員に経営情報を積極的に公開している

 自分が経営に参画しているとの意識は企業のいろいろな情報にアクセスできる立場にあるかどうかで大きく変化します。部外者ではなく当事者であるとの意識を植え付けることで、参加意識はいやが上にも高まります。それには従業員に経営情報を積極的に公開するのが効果的です。今、企業はどのような部分で伸びていて、どのような部分が弱いのかといったことが全員に徹底できていれば、全社的な対応が素早くなります。

 日米の成長型中小企業を調べた結果、従業員に経営情報を公開しているほど、業績の良い企業が多いことが統計的にも確認されています。(八幡成美「成長型中小企業の人事・労務管理」『アメリカの陰と光』日本労働研究機構(現 独立行政法人 労働政策研究・研修機構、2001年)

(2)重要事項の決定には、社員代表や労働組合の役員と協議をしながら決めている

 労働者には労働基本権が憲法で保障されており、団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)は労働三権として知られています。高度経済成長下では毎年のように繰り返された春闘でのストライキとか、労使紛争が起こりましたが、連合が結成され、経済も安定成長路線へと切り替わり、それほど過激な運動はなくなりました。むしろ、労使協議の場を通じてインフォーマル(非公式)な情報ルートとして労働組合ルートも重視され、労使は協調的な関係を構築してきました。また、労働組合がない企業でも社員代表制によって選ばれた従業員が経営者と話し合うことで、実質的な労使協議の役割を果たすようになっています。大規模な出向・配置転換や事業の再編などで従業員の理解を得るためにも、労働組合や社員代表との事前協議が無用な混乱を防ぐものです。

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