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【飲食店必見】経営改善の方向性を示す5つのチェックポイント

飲食業はコロナ禍で大きな影響を受けた業種のひとつです。ウィズコロナ・ポストコロナ時代が到来するなか、事業の継続および経営改善を実現するためにチェックしていただきたい「5つのポイント」があります。貴社はしっかりと対応できていますか?ぜひ今すぐご確認ください。

(掲載日 2022/10/26)

今ここで再確認! 飲食店経営のチェックポイント

ここ2年ほどの間で、飲食店を取り巻く事業環境は、今までにないくらいの急激な変化に見舞われました。来店客数が減少したお店、売れ筋商品が変化したお店、利益が急減したお店など、店舗毎にその課題は様々です。これらの変化に対応し、経営状況を改善していくために、以下の5つのチェックポイントについて、確認や見直しを検討・実施してみましょう。

①「ドメイン」の再確認・再設定をしましょう!


「ドメイン」とは、企業や事業者が自ら定めた「事業を実施する範囲や領域」を指し、事業運営を行ううえで重要な意味を持ちます。これを分かりやすく言い換えると「誰に(顧客)、何を(商品・サービス)、どのように(独自性のある手法)、を決めること」となります。例えば、今までの駅前立地の居酒屋ですと、「近隣に勤める会社員に、打ち上げや忘年会等の各種宴席を、大人数で利用可能な座敷席や飲み放題プランにて提供する」だったのではないでしょうか。

しかしながら、最近では、大人数での宴席等が大幅に減少することでの売り上げ減少に悩む居酒屋事業者は多く、その環境変化を踏まえたドメインの再確認・再設定が重要です。例えば、顧客ターゲットを「近隣に勤める会社員」から「近隣に住む家族連れ」とした場合、そのドメインは「近隣に住む家族連れに、家族の記念日や団らん・パーティーの場を、小さな子供でも安心なお座敷席や子供向けメニューを充実させて提供する」と再設定されるのではないでしょうか。これにより、新たなメニュー開発の方向性や店内設備の変更等、やるべきことが明確になるのです。


②「売り上げの公式」に基づいて、売り上げを向上させましょう!


経営状況を改善していくためには、まず「売り上げの向上」が重要になります。売り上げには公式があり、それは「売り上げ=客数×客単価」になります。即ち、売り上げを向上させるためには、①客数を増やす、②客単価を上げる、③その両方を増加させる、ということが重要です。その手法を細分化すると、以下のようになります。


③「原価率」はもちろんですが、「利益額」を意識しましょう!


ドメインを再設定し、売り上げの公式を意識することで、売り上げの向上を目指しますが、それに合わせて「コストの削減」も意識しなければなりません。

そのために重要な指標として、「原価率」が挙げられます。原価率は、提供する商品の量や品質に大きな影響を及ぼすものであるため、しっかりとした管理が必要になります。特に、「計算上の原価率」と「実際の原価率」の差に注意しましょう。実際の原価率が計算上の原価率よりも大きくなれば、利益をひっ迫し、赤字の原因にもなってしまいます。その差を生む原因としては、以下の2点が挙げられます。


*食材ロスの発生

せっかく仕入れた食材を無駄(ロス)にしてしまえば原価率は上がります。それを防ぐためには、「適切な在庫管理」と「適正な発注」が重要になります。まずは、食材の在庫に関して厳格な数量管理を行い、無駄のない必要な量の発注を行うことが重要です。そして、「先に仕入れた食材は先に使う(先入れ先出し)」という基本を徹底します。また、在庫管理を行う倉庫や冷蔵庫については、こまめに清掃を行う等の衛生管理を実施し、食材の傷み等を防止するようにしましょう。


*オーバーポーション

オーバーポーションとは「作りすぎ」を意味します。例えば、販売見込み数を見誤ることで不必要な量の仕込みをしてしまうことが挙げられます。また、営業中においても、常連客向けについつい大盛にしてしまったり、味見と称して1品サービスをしたりすることも該当します。こういったことを無意識・無計画に行ってしまうと、これらも原価率を上げる要因となります。

そして、「利益額」も意識しましょう。飲食業界では、どうしても「原価率」に目が行きがちですが、最終的に事業者の手元に「いくらお金が残るのか」が最も重要です。例えば、テイクアウトで「おにぎり」を販売する場合、以下のような状況において、どちらの商品に注力して販売すればよいでしょうか。
おにぎりAおにぎりB
販売額(税抜)100円150円
原価率30%50%
原価額30円75円
粗利益額70円75円
仮に同数が売れるのであるならば、原価率の高い「おにぎりB」に注力して販売したほうが、手元に残る「粗利益額」は多くなります(※実際には、顧客層や中身の具材等の条件により、販売数量等の結果は変化します)。

④攻めも大切だが、守りも大切!


ここまでは、売り上げの拡大や経費削減といった事業者自身が意識的に行う「攻め」の部分を中心に述べてきましたが、やはり「守り」も大切です。では、「守り」とはなんでしょうか。それはいわゆる「新しい生活様式(ニューノーマル)への対応」を指します。

コロナの影響はなかなか終息が見えません。こういったなか、「感染対策」の実施・継続は今後も必要な施策となるでしょう。意識すべきは「クラスターを発生させない」ということです。お客様はもちろん、従業員への対策も必要で、「お客様同士」「お客様と従業員」「従業員同士」という3つの切り口から必要な対策を検討・実施しましょう。また、実施している対策は必ず店内やホームページ等にて表示・明示し、お客様に安心感を与えましょう。


⑤補助金・助成金等の活用を検討しましょう!


飲食店事業者のうち、この2年ほどの間で各種の協力金や支援金を受けた方も多いのではないでしょうか。このように、補助金や助成金、給付金は「国・地方公共団体・民間団体など」から支出されるもので、原則的に返済不要であるため、その活用について検討しましょう。

しかしながら、注意すべき点もあります。時短協力金や支援金等は、一定の要件を満たす事業者は申請すれば基本的には誰でも受けられます。一方、補助金や助成金の多くは、その対象や目的はさまざまであり、予算が決まっているので、申請内容の審査がある等、必ずしも希望者全員が受けられるとは限りません。そのため、その内容や申請等については、身近な専門家(中小企業診断士等)の活用もご検討ください。


まとめ


今回は、飲食店経営の改善に向けた5つのチェックポイントについてご紹介いたしました。

皆様ご存じのとおり、昔から「食」は「生きること」であるのはもちろん、「楽しみ」であり、「団らんの場」であり、「コミュニケーションの場」でもあります。

そういった場を提供している飲食店を、これからも応援していきたいと思います。

著者プロフィール

大村貴志(+M Consulting Labo 代表)

BtoC事業者(飲食、小売り、サービス等)を中心としたマーケティング支援を得意としており、最近は、飲食業の方からの支援依頼が多い。また、各種補助金に関する支援でも実績多数。公的機関の登録専門家や経営相談員、研修・セミナー講師としても活動中。
中小企業診断士、1級販売士、内部監査士、認定経営革新等支援機関

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