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5 財務管理(業績管理)

月次試算表に基づいて、最新の財務状況を把握している

試算表は企業の健康状態を示す健康診断書

 試算表は、仕訳帳から総勘定元帳の各勘定への転記が正確に行われているかどうかを検証するための集計表です。同時に、試算表は各企業で設定したすべての勘定科目を一覧できるため、経営管理上も有効に活用できます。そのため、金融機関からの融資を受ける際にも、決算書のほかに直近の試算表の提出を求められることが多いのです。試算表は決算時には必ず作成されますが、毎月末や週末など必要に応じて作成されます。特に、月次試算表は企業の月々の健康状態を示す健康診断書のようなものとして活用したいものです。

月次試算表から財務上の動向をチェック

 試算表には合計試算表、残高試算表、合計残高試算表の3種類があります。合計試算表は各勘定科目全体の増減の動きを示し、残高試算表は各勘定の特定時点の残高を示します。合計残高試算表は両者をひとまとめにした表(下表参照)です。残高試算表は貸借対照表と損益計算書を合わせたような表になっていることから、企業における最新の経営状態、すなわち財政状態や経営成績を知りたい時に最も役立つ資料といえます。月次試算表から自社の経営について次のような点をチェックします。

①売上高の動向はどうか?
 当月の売上高について、前月と比べた増減、前年同月と比べた増減、前年同月累計額と比べた増減、予算の達成度合いなどをチェックしていきます。そしてさらに、商品別・部門別・店舗別などに売上高が区分されているならば、それぞれの動向をチェックし問題点を発見します。

②利益の動向はどうか?
 当月は利益が出ているのか損失が出ているのか、前月と比べた増減、前年同月と比べた増減、前年同月累計額と比べた増減、予算の達成度合いなどをチェックしていきます。そして、損失が出ている場合には、どこの得意先あるいはどの商品の売上が不足しているのか、どのような費用が増えているのかなどについて原因分析を行います。利益が出ている場合にも、どのような販売促進活動により売上高が増えたのか、どの費用が削減できたのかの要因分析を行うことが重要です。

③現金・預金残高などの動向はどうか?
 まず、現金・預金の残高と増減をチェックします。現金・預金の減少が続いているようであれば、どのような原因で資金が流出しているのかを確認すると同時に、取引銀行の担当者に相談するなど早急な対策を講じなければなりません。同時に、売上債権(売掛金や受取手形)の増減、買入債務(買掛金や支払手形)の増減、売上債権と買入債務のバランスなどのチェックをして資金の動きを確認します。また、在庫(棚卸資産)の増減についても、販売できない不良在庫が増えていないかどうか注意が必要です。

Case Study

機敏に動くため、最新の情報をいち早く

 A社は1カ月が経過すると部門別目標に対する月間の達成度が出てくるようになっている。この計算処理の流れは連携プレーになっているため、一つひとつが正確に処理されなければならない。しかし現実にはデータの修正が必要になってくる。月間の数字が固まると累計の数字が出てくる。さらに昨年対比も出てくるため、これらのデータをもとに活動実績の評価が行われる。また月間の締めができると、顧問のコンサルタントが5つの部門ごとの分析、評価を行い損益が出てくる。つまり月次の決算となる。ここまでシステム化したのは、すぐに実績をつかんで目標対比を確認して、かつ損益をチェックするためだ。
(包装資材紙工品総合卸売・40人)

Step Up

(1)不良在庫の有無の確認と処理を定期的に行っている

 在庫の増加は現預金が棚卸資産に置き換わるわけですから、当然資金繰りを圧迫します。また、在庫が増えれば在庫管理の人件費や保管料など在庫に伴う関連費用も増加します。在庫増加の大きな要因として不良在庫の存在があります。棚卸資産は必ず売れるという保証はありませんので、販売予測の精度の悪さ、発注方法や在庫管理の不備によって不良在庫が発生します。まず、棚卸資産の整理整頓をして何がどのくらい、どこに保管されているのかを把握し、販売できない不良在庫があれば処分します。次に、自社の適正在庫高と保管方法のルールを決めて、在庫の動向を定期的にチェックすることが重要です。

(2)売上債権(売掛金や受取手形)の経過日数管理を得意先ごとに行っている

 現金商売の業種は別にして、一般に売掛金や受取手形(売上債権)による信用販売は売上高を伸ばすためには必要不可欠です。しかし、これら売上債権はその金額の分だけ資金が固定化し、売上債権の回収が滞るとその分だけ資金繰りを圧迫します。回収の遅れが焦げつきや貸し倒れの発生を招き、損失の増加へとつながります。従って、まず、売上債権の得意先別明細表とその経過日数表を定期的に作成します。そして、得意先に対して定期的に売上債権の確認を行う体制づくりも必要です。そして、得意先別に過去の実績と将来の事業展開をふまえて、貸倒引当金の設定を行うことも忘れてはいけません。

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