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2 マーケティング(顧客関係性(CRM))

口コミの発生促進やSNSの活用、紹介制度など、客が客を呼ぶ工夫をしている

SNSの時代において、口コミは最良のコミュニケーション手段

 中小企業にとっては、口コミは最高のコミュニケーション手段となります。

 第1の理由は、口コミは、広告に比べ、コストがかからないことです。広告予算やマーケティング予算が、大企業と比較して、相対的に乏しい中小企業にとって、口コミは最良のコミュニケーション手段といえるでしょう。

 第2が、地域市場においては、口コミで評判が伝わりやすいことです。地域密着は、中小企業の武器のひとつです。人は、近くにいるほどよく話をします。物理的な近接性は口コミが広まるうえで重要な要素となります。

 第3は、口コミで獲得した顧客は、リピーターになる可能性が高いことです。いうまでもなく、中小企業にとってはリピーターの確保が不可欠です。紹介(すなわち、口コミ)による顧客は、企業との付き合いが長くなる傾向があります。類は友を呼ぶというように、推薦を受けた顧客も、その企業と相性がよい公算が大きいのです。

 第4に、口コミの発信者は伝える相手を選び、聞き手にあわせた情報を伝えます。例えば、あなたは、パソコンとはまったく無縁の生活を送っている友人に、自分が使っているパソコンの使い勝手のよさを伝えることはないでしょう。口コミは、伝える時点で取捨選択されているので、聞き手もその話を受け入れる可能性が高いのです。

「人がメディア」となる口コミのポイント

 とはいえ、口コミは、広告のようにお金を出せばできるというものではありません。では、口コミは企業にとってコントロール不可能でしょうか。

 たしかに、一旦発生した口コミを統制することは難しいかもしれませんが、口コミの発生を促進することは可能です。

 口コミの発生を促進するためのポイントとなるのは、口コミにおいては“消費者自身(すなわち、人)がメディア”であるということです。従って、口コミの発生と連鎖には、メディアである人間が「記憶しやすく、伝えやすい」ことと、「伝えたくなる」ことがカギとなります。

「口コミの発生」=「伝えやすい」×「伝えたくなる」

資料:岩崎邦彦「スモールビジネス・マーケティング:小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」中央経済社、2004年

 以下、この方程式の“左辺”を大きくするためのポイントをいくつかみてみましょう。

 まず、「伝えやすい」に関しては、以下のような要件が考えられます。

  ①店名や商品名が短く、覚えやすい
  ②特徴が絞り込まれていて、言語化しやすい
  ③語るための材料がある

次に、「伝えたくなる」という観点からは、以下のようなポイントがあげられるでしょう。

  ① 既存顧客の満足度を高めること
  ② オリジナリティのある品揃え
  ③ 顧客の意見を聞く

 中小企業は、上記のようなポイントを考慮して、戦略的によい口コミの発生を促進していくことが重要です。

Case Study

顧客を営業マンにせよ

 T社には営業マンがいない。いわゆる口コミ的に顧客が拡大している。
 プールを所有している施設が脱水機を欲しがっているというよりも、むしろ同社の脱水機を利用した経験のある顧客が当該施設に脱水機がないと騒ぎ出して、施設がそれに応じるというパターンが多いようだ。受注の99.9%がそうしたケースという。
(脱水機等製造・8人)

Step Up

悪い口コミの発生を抑制するための方策がある

 口コミについては、よい口コミだけでなく、悪い口コミがあることも忘れてはいけません。悪い口コミは中小企業に重大なダメージを与えてしまいます。

 では、悪い口コミの発生を抑制するためにはどのようにすればよいのでしょうか。人は苦情の持って行き場がない時に、悪い口コミを行います。ということは、顧客の不満を苦情というかたちで顕在化させ、それを聞くことによって、悪い口コミの発生を最小限に抑えることができるはずです。

 他者に伝えられる情動的な経験の6割ほどは、その日のうちに行われるといいます。従って、不満への対応は早ければ早いほうが効果的です。普段から、顧客満足保証の姿勢や交換、返金、修理などに対する方針を顧客に周知しておき、顧客が不満や苦情をできるだけいいやすくしておきましょう。

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