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戦略・経営者(自律的経営と外部資源マネジメント)

外部の助言者(メンター)がいて、経営者としての悩みをいつでも相談できる

経営者の心の支えとなるメンター

 1-14(52ページ)では、税理士、経営コンサルタント(中小企業診断士)、公的試験場や研究機関の技術者など、外部の専門家の重要性を説明しました。ここでいう外部の助言者(mentor, メンター)は、こうした専門家とは少しニュアンスの異なる存在です。

 メンターは、辞書では師匠、相談相手、指導者などと翻訳されていますが、米国やカナダなどで中小企業支援を行っている公的機関では、無償または少額の報酬によるボランティアで経営上の悩みの相談に乗る先輩経営者を、メンターとして新しく事業をスタートした経営者(mentee, メンティー)に引き合わせています(下表参照)。会計や法律といった相談もありますが、それよりはむしろ、経営者としての経営判断のストレスを受け止めてもらう存在となっているようです。

 経営者は、自己責任で意思決定をすることが求められる、ある意味、孤独な存在です。いくら信頼できる家族であっても、経営者独特の悩みを聞いてもらうには十分ではないかもしれません。経営上の悩みを率直に相談できるメンターの存在は、経営者の心の支えともなります。特に、新たに事業を始めた人や、後継者として経営者になったばかりの人は、初めて体験するさまざまな問題に直面するため、なおさらです。

経営者自身で異業種などからメンターを探す

 日本では、先輩経営者をメンターとして紹介するような体制はあまり構築されていないため、そうした人は経営者自身が探す必要があります。その場合、むしろ異業種のほうが、利害関係があまりない分、本音で相談に乗ってもらえるかもしれません。信頼できるメンターの存在は、経営者として活躍していくうえでも大きな影響を与えることになるでしょう。

Case Study

普段会わない人に会ってみる

 II社の社長は、営業の時にできるだけ顧客の現場に入って、奥深くまで聞くように心がけている。そのため、取引先企業のカギとなる人物に会うことができるネットワークが重要となる。同社の場合、社長の個人的な関係で先輩に当たる人たちにかわいがられて、それがキーマンとのネットワークにつながった。諸先輩から取引先企業に「後輩がいるよ」と紹介されて人脈をつくり、キーマンと接触して貴重な話を聞くことができている。
(半導体用各種プローブ等製造・40人)

Step Up

(1)異業種の経営者や大企業の役員などに時々相談している

 半導体製造装置のテスター関係のソフト開発を手がけるソフトウエアハウスの経営者は、自分でもベンチャー企業を起業した経験があることに加え、ベンチャー企業の経営に途中から参画して100名規模の企業を3,000名規模にまで成長させた経験のある大企業の会長から月1回のメンタリングを受けています。県庁が間に入って、地域で注目されているベンチャー企業3社の経営者にその会長をメンターとして斡旋してくれたそうです。

 このような成長中の若い企業では特にメンターとなってくれる経営者などの存在は大きいものです。ハイテクベンチャー企業はどちらかといえば技術には自信がありますが、安定的な受注を獲得する方法や市場を開拓する方法などマーケティングに絡んだ相談や、資金繰り、好ましい出資者の見分け方などで相談に乗ってもらえることは力強いでしょう。

(2)現在のビジネスとは利害関係のない相談相手がいる

 IT関連機器の設計開発を行っている機械メーカーは、社長自身が学生起業家だったために、一時、脚光を浴びて、さまざまな会合に呼ばれてプレゼンテーションをする機会に恵まれていたといいます。そこで、異業種の企業経営者と知り合いになることができ、応援してくれる先輩経営者も少なくなかったようです。ビジネス面での重なりはありませんが、法律や資金繰りなど経営者としての悩みを電話で相談できるネットワークができていたといいます。また、同社では経営幹部が視野を広げるために、大学の先生や研究所の研究員など、自社の専門を超えた領域の専門家を呼び話題を提供してもらう勉強会をしていたのですが、そのようなネットワークも利害を超えて応援してもらえる関係が構築でき、その後の同社の成長につながっているといえます。

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