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顧客との関係を強化し収益拡大を実現するSFA/CRMとは

収益の拡大と働き方改革の推進を両立させるため、営業活動やマネジメントの効率化、生産性向上への取り組みが不可欠になってきています。このような課題の解決策の切り札としてSFA/CRM導入の機運が急速に高まっています。SFA/CRMとは? そして、導入を成功させるその方法とは・・・

(掲載日 2020/02/21)

SFA/CRM 導入の勧め

1.中小企業の経営課題

中小企業経営者からの相談では「売上を伸ばしたい」という相談を非常によく受けます。

中小企業白書2013の「中小企業の重視する経営課題」調査によると、「営業力・販売力の維持・強化」を重視するとの回答が60%強、「新規顧客の獲得」を重視するとの回答が50%近く(図1)になっています。「営業力・販売力の維持・強化」という中には「新規顧客の獲得」のための営業も含まれていると思われ、経営者からは 「創業以来の顧客はかなりいるが売上は低迷しており新しい顧客を開拓したいがどうしたらよいかわからない」、「営業が既存顧客しか訪問せず新規顧客を獲得して来ないが社員をどう指導し管理していけばよいかわからない」、などとの声がよく聞かれます。新規顧客の獲得はどんな企業にとっても重要で、必ず取り組まなければならない課題であることに間違いはありませんが、それだけが解決策ではないはずです。

図1 中小企業の重視する経営課題
出典:中小企業白書2013(181頁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H25/PDF/0EHakusyo_part2_chap1_web.pdf




2.既存顧客との関係強化

売上拡大対策としては、①新規顧客の獲得、②既存顧客の維持・拡大、の2つに大別されます。

新規顧客の開拓、獲得対策は「積極的」「攻め」のイメージがある一方、既存顧客と関係強化をする対策は「待ち」「守り」のイメージが強いかもしれませんが、本当にそうなのでしょうか。新規顧客獲得コストは既存顧客維持コストの5倍かかり、顧客離れを5%改善すれば利益が少なくとも25%改善されるとの理論(ベイン&カンパニー社)があります。つまり、より効率的で費用対効果の高い方法とは、①既存顧客が他社等に離反する頻度や確率を下げる、②既存顧客からの追加売上を獲得する、の2点に注力することであり、既存顧客に対する最適な営業活動により、既存顧客の維持、取引拡大が鍵となります。

顧客に能動的に働きかけ、長期間購入や利用がなかった顧客との信頼関係を改善すること、すなわち、既存顧客のロイヤルティを高めることで、低コストで売上げを増加させ、収益力を向上させることが可能となります。


3.SFA/CRMとは

最近、注目されているSFA/CRMとは一体どのようなものでしょうか。

SFA (Sales Force Automation)=「営業支援システム」:営業プロセスや情報を可視化、共有化することにより、営業活動の進捗を計るための指標(KPI)及びタイムリーな市場動向の把握、活動の効率化と品質の向上を図り営業力の底上げをするための仕組み。

CRM(Customer Relationship Management)=「顧客関係管理」:顧客との信頼関係構築や顧客ロイヤルティの向上を図る経営戦略の概念であるが、現在では顧客管理システムを指す場合が多い。

SFA、CRM共に1990年代の米国コンサルティング会社により提唱されたのが始まりであり、決して新しい考え方ではありません。SFAとCRMの起源は異なるのですが重複している部分もあり、2000年代に入り次第に融合し両方を統合したシステムが誕生しました。今日に至って、スマートフォン等のデバイスが進化普及したことに加え、クラウド環境が整ったことにより、営業支援システムの導入、活用に大きな広がりが出てきました。当初は営業活動の自動化ツールとの発想であったSFAは、現在では営業プロセスや業務を効率化し、営業力を強化して、収益力を強化する取り組み全体を指しています。

図2 SFA/CRMの目的





4.SFA/CRMを導入・活用して実現できること


SFA/CRMにはどのような機能があるのか、まず見てみましょう。

【SFA/CRM 機能一覧表】

これらの機能を有するSFA/CRMを導入、活用することで何がどのように変わるのでしょうか。

1)営業活動を効率化し強化が図れる
営業にとって、顧客との有効なコミュニケーションを取ることは、極めて重要な役割です。しかしながら、効率よく活動しているつもりでも漏れや重複など活動のムラがあり、実行するのは難しいものです。顧客からの他部署への問い合わせやトラブルを事前に把握し、回答や対応を準備して訪問することで、より有効な営業活動となります。顧客の経営環境の変化に気づかず訪問しないまま放置したために、商談提案のチャンスを逃すことや競合他社に有望な見込み顧客を奪われてしまうことも起こりえます。タイムリーに更新された顧客管理、案件管理、行動管理を結び付けて一元管理し、無駄のない営業活動にブラッシュアップすることで、営業力の強化が図れます。

2)ノウハウの共有が人材の成長を促す
営業のノウハウはどうしても属人性が強く、実績にも大きな個人差があり、営業部門はいつまでも「できるスター営業」に頼る個々人プレーのスタイルから抜け出せていません。できる営業のスタイル、ノウハウ、テクニックをチームメンバーと共有化すれば、「組織のナレッジ」として承継して、限られた人的リソースのパフォーマンス向上と成長を促進し、最善の成果を上げるチームとなることが期待できます。また、行動と成果が可視化され、モチベーションの向上も図れます。

3)コミュニケーション向上によるワークスタイル変革
人材不足の中、営業マネージャーや経営者は以前に増して多忙となっています。個々のメンバーの行動や進捗をリアルタイムで知ることができれば、報告や相談などに対して的確なアドバイスやサポートをタイムリーに行うことができ、マネジメント強化が可能となります。これにより営業メンバーもマネージャーも無駄な会議を減らし、デスクワークに縛られることなく直行直帰できるなど、本来の営業活動に使える時間が増えて「ワークスタイル変革」の推進にもつながります。

4)顧客満足度の向上を実現する改革
営業プロセスをリアルタイムで可視化することにより、顧客の置かれている状況やニーズをより正確に分析でき機会損失を防ぐことが可能となります。これを営業部門だけでなく他部門と連携させることで、製品開発や在庫管理や物流、アフターサービスの最適化、人事、財務など、企業のあらゆる部門で活用して、顧客満足を実現できる効果的な経営判断ができる組織を構築することができます。

5.SFA/CRM導入失敗の要因と活用を成功させる仕組み作り

このように言うと営業改革の救世主のように思えるSFA/CRM導入ですが、ツールを導入したものの十分活用されず導入失敗の事例があることも事実です。導入失敗の原因としては3つあると考えられます。

原因1.ITリテラシーの不足 個人差、年代差が大きいが最低限の知識は必要となる。
原因2.営業情報の入力が煩雑 従来方法とは違う入力作業を業務負担の増大と捉えてしまう。
原因3.SFAの理解不足 導入目的の理解が進まず管理志向と誤解して利用したがらない。

単にツールを導入しただけでは活用などがおぼつかないといった事態を招いてしまいます。どのようにSFAの利用を促進し浸透させればよいのか、しくみ作りが鍵となります。その手順について考えていきましょう。

ステップ1
導入推進チームを結成し、課題、活用目的の明確化
ワークフローを整理し、導入準備
  ↓
ステップ2
使い易く適切な機能を備えているかトライアル版を試用
既存システムとの連携や拡張性、サポート体制の確認
  ↓
ステップ3
先ずはスモールスタート!
導入研修や活用の仕方ワークショップの実施

SFA/CRMは導入するだけで売上が上がる「魔法のツール」ではありません。導入する環境を整えて、その機能を活かした運用ができれば、営業部門だけでなく、「背骨」のように企業全体を支え、大きな貢献をもたらす基幹システムとなりえるでしょう。



※【参考】代表的なSFA/CRMの紹介
① Salesforce Essentials(セールスフォースエッセンシャル)
 SFA/CRMで世界№1 15万社の実績と信頼を誇るセールスフォース・ドットコム社が提供する「中小企業向けカスタマーサクセスプラットフォーム」 価格は1ユーザーあたり月額3,000円(1~10ユーザー、年契約)と他社より多少高額ですが、機能やアカウント数を追加したい場合は上位エディションにアップグレード可能であり、業務の拡大に対応できるカスタマーサービスが強力。無料トライアル有
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著者プロフィール

岡見 育利(有限会社ポラリス 執行役員)

大手建機メーカーの国内外の営業・企画部門での知見、経験を活かして、商品化企画、販路開拓、事業戦略策定などのマーケティング支援の他、経営理念、方針管理と目標管理、経営効率化改善などの支援を行う。また、生産性向上訓練(品質管理、業務改善など)、人材育成研修、働き方改革やダイバーシティ等の人事労務制度改革支援など幅広く活動している。

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