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釣り客からビジネス客にシフトし、経営の安定化に成功

企業名:共栄荘  取材先ご担当者様:代表:山田初男氏、中川和実氏

姪を後継者として迎え、次世代を切り拓く三宅島の民宿

近年は釣り人口の減少、周辺の海水温上昇による大型魚の減少、天気予報の精度向上によるキャンセルの増加等により、釣り人の需要に頼れなくなった。代表も体調不良で、週3回長時間の通院が必要になった…

企業概要

共栄荘(代表:山田初男氏)は、島に3つある港の中で西側に位置する錆ヶ浜港からほど近い、港と背後に広がる青い海を見下ろせる場所にある。

「共栄丸」という船を所有する漁師であった父親の「自分たちも宿をやろう」という提案に応え、都内で建築関係の仕事に就いていた山田氏が島に帰り、2級建築士の資格を活かして家族とともに造りあげたのが、この「共栄荘」である。

好立地、手作り感、居心地のよさにより、多くの釣り客に愛されてきた共栄荘は、2000年9月から約4年半に渡った火山ガスの影響による全島避難という苦難の時期を乗り越えて、現在に至る。

企業の悩み

釣り客を主要顧客として繁盛してきた共栄荘であるが、近年は釣り人口の減少、周辺の海水温上昇による大型魚の減少、天気予報の精度向上によるキャンセルの増加等により、釣り人の需要に頼れなくなった。

さらに、山田氏が体調不良に見舞われ、週3回長時間の通院が必要になったため、事情をわかってもらえる常連客のみを相手に細々と営業を続けてきた。当然、売上は以前に比べて大幅に減少してしまった。

このような状況を打開すべく、山田氏は2つの対策を考えた。1つめは、ビジネス客へのシフトである。ビジネス客には、釣りと異なり季節の偏りが少ない、長期滞在するケースが多い等のメリットがある。まず客室の一部を1室1名、デスク完備のビジネスルームに改装したところ、公共事業関係者から予約が入るようになった。

2つめは、姪にあたる中川和実さんの招聘である。和実さんは都内で生まれ育ち、和菓子店に就職した後、IT企業でプログラマーとして働いていた。健康面の不安を抱え、身内の若い人に事業を承継したいと考えた山田氏は、2年前に和実さんに声をかけた。和実さんは話を聞いてしばらく悩んだが、やりがいのありそうなこの仕事に賭けてみようと覚悟を決め、伯父である山田氏のオファーを受けることにした。

これらの取り組みが軌道に乗るまでサポートを得たいと考えた山田氏は、以前から経営面で様々な支援を受けていた三宅村商工会に相談したところ、本プロジェクトを紹介され、利用するに至った。

導き出された課題

経営診断では、主に以下のような課題が挙げられた。

①ビジネス客の開拓促進
ビジネスルームを増やすことに加えて、Web ページやSNS 等を有効活用し、ターゲットであるビジネスパーソンに情報を届けることも重要である。

②和実さんとの共同作業への備え
和実さんに仕事を効率的に覚えてもらい、一緒に経営していくという観点に立つと、経営上の数字や業務マニュアル等を可視化することが求められる。

③和実さんの持ち味を活かした運営
若い女性ならではの視点、菓子作りの経験、ITの知識等、和実さんの長所をサービス向上や販売促進に活かすことが必要である。

診断結果のフィードバックを受け、これらの課題を解決すべく、引き続き成長アシストコースを活用して、具体的な取り組みを始めることになった。

提案した中小企業支援施策

成長アシストコースでは、ある回に取り組む内容を決め、次の回に進捗を確認しブラッシュアップするという流れで、改善を積み重ねた。途中からは島に移ってきた和実さんも同席し、一緒に話し合いながら課題解決に取り組んだ。

ビジネス客の開拓促進については、小規模事業者持続化補助金を活用してWebページを新たに作成し、「三宅島での釣り・観光・ビジネスの活動拠点」というキャッチコピーを入れて、ビジネスルームプランの訴求を強めた。あわせて、Facebook ページを開設し、折々の情報を写真入りで紹介するようにした。これらの取り組みが功を奏して、新しいWebページを見たという新規客から「ビジネスルーム指定」で予約が入るようになった。

経営上の数字や業務マニュアルの可視化については、支援期間内に完了するまでには至らなかったが、専門家の支援により、業務のリストや分担を一覧にして共有することまではできた。この点は現在も進行中である。

和実さんの持ち味を活かす点については、女性の視点を活かした館内の片付けや調度品の設え、山田氏一人では手が回らなかった水回りを含めた隅々までの清掃、朝食について和食・洋食を選べるようにする等、顧客視点に立ってサービスを充実させ、リピート客の増加につながっている。

その後の状況

今ではビジネスルームを3室まで増やし、高い稼働率をキープしている。ビジネス客にフォーカスしてから経営が安定し、台風続きで他の民宿が不振であった今年度も、ほぼ前年並みの売上を維持している。和実さんが加入し、山田氏が通院する日もフル回転できるようになったことも相まって、売上はそれ以前の2 倍になった。

お手製のデザートの提供等、和実さんらしい切り口で工夫したサービスにより、女性客に与える満足度や安心感が増して、トレッキングや自然を満喫したい女性旅行客の利用も増え始めている。

山田氏は今後、顧客層の変化に合わせて建物や設備のリニューアルを行うことと、和実さんにより多くの権限を委譲し、資産承継を含めた本格的な事業承継に取り組むことを考えている。

企業様の声

開業当初より、三宅村商工会には様々な局面でご支援いただき、感謝しています。今回は、長期間に渡って継続的に専門家の先生に訪問していただけたため、前回やったことを忘れず、一緒に確認しながら改善に取り組める点がよかったです。今後は、老朽化している建物や設備をリニューアルし、計画的に事業承継を進めることにより、次世代の安定的な経営基盤を確立していきたいです。
(代表:山田初男氏)

伯父から話をもらった時には迷いもありましたが、覚悟を決めて島に来てから1年余りが過ぎ、お客様が増えて充実した日々を過ごしています。今後は、例えば明日葉風味のお菓子を開発・販売する等によって宿の知名度を上げ、もっと若い方にも利用してもらえるようにしたいです。伯父と協力しながら、私らしさも出していき、お客様にとってより快適な宿にすることを目指していきます。
(中川和実さん)

経営指導員の声

三宅村商工会では、長年に渡って共栄荘様をサポートさせていただいており、多摩・島しょ経営支援拠点事業に続いて、本プロジェクトを活用してご支援しました。釣り客の減少に山田様の持病も重なって苦しい時期が続きましたが、ビジネス客が増えて売上が安定し、よい方向に向かっているのは喜ばしいです。

これからは、せっかく和実さんに来ていただいたのですから、山田様は監督役に徹して、任せるものは任せることで、和実さんのモチベーションを高めていってほしいです。今後も、さらなる発展に向けて、本格的な事業承継計画の策定、補助金等の各種支援施策の活用等、様々な場面でサポートさせていただきます。
(三宅村商工会:菊地隆三氏)

企業情報

企業名 共栄荘
代表者 山田初男
創業年 1994
業種 サービス業(宿泊業)
所在地 東京都三宅村阿古1819-1
事業PR
URL http://miyake-kyouei.com/


中小企業診断士 松林栄一

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