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地域に根差した「町のくるま屋さん」

企業名:有限会社平野オートボディー  取材先ご担当者様:代表取締役:平野智巳氏

現状把握で経営を立て直し、新たな事業にチャレンジ

新型コロナの影響で売上が下がり続ける中、経営の立て直しが必要だと感じていたものの、相談する相手もいなかったところに…

企業概要

有限会社平野オートボディー(代表取締役:平野智巳氏)は八王子市の高倉町と元八王子町に2店舗を展開する地域密着型の自動車整備・販売店である。運輸局指定工場の高倉店と認証工場の元八王子店において、車検をはじめとする自動車整備や板金塗装を手掛けるとともに、新車・中古車や車用品の販売、保険代理店業務を行っている。
もともと板金塗装の職人として勤めていた平野氏は、10年修行したら独立すると決めていた。2000年5月に「自分が修理した車に喜んで乗っていただける幸せをさらに広げよう」との思いで創業し、子供の頃からの夢だった「社長」となった。以来、信用を裏切らない正直な仕事を信条に、周辺の保険会社や同業他社と良好な関係を築き、地域に根差した「町のくるま屋さん」として、自動車に関する様々なサービスを一貫して提供している。

企業の悩み

ちょうどコロナ禍が始まったころ、売上に大きく影響する問題が発生したり、新しく人員を増強して収益向上を狙ってもなかなか期待通りの成果につながらなかったりと、思うに任せないことが重なり、企業運営について悩みを抱えていた。さらに新型コロナの影響で売上が下がり続ける中、経営の立て直しが必要だと感じていたものの、相談する相手もいなかった。2020年の秋に偶然インターネットで「中小企業活力向上プロジェクトネクスト」(本プロジェクトの前身事業)の存在を知り、同年11月に経営診断を、2021年にはアシストコース、フォローアップコースを利用して事業計画策定及び実行の支援を受けた。2022年は引き続き本プロジェクトのアドバンスコースを利用することとなった。

導き出された課題

経営診断からアドバンスコースまでを通して導き出された課題は、①経営の見える化推進、②事業計画の策定、③営業活動改善による収益性向上、④人事評価・人材育成の仕組み構築、⑤第二の事業の柱構築による中長期的な成長性確保、の5点である。
具体的には、①まずは財務・運営等、事業の根幹に関わる現状を速やかにかつ正確に行うこと、②把握した現状をもとに事業計画を立案すること、③営業活動の戦略的な増強により売上伸長と収益性の改善を図ること、④人事評価制度の設定やコミュニケーション向上により組織の活性化と人事労務管理の改善を推進すること、そして、⑤市場や社会の動向を鑑みて中長期的な収益の柱となる新規事業を計画的に立ち上げること、である。

提案された解決策

専門家から最初に受けたのは、「新型コロナの先行きが見通せない中、まずは早急に借り入れを行って運転資金を確保したほうがよい」とのアドバイスだった。社長自身が考えていたより状況は深刻で、専門家から見ると急いで対策すべき状態ということだった。
そのうえで具体的な助言を受けながら、上記の課題の解決に取り組んだ。最も重視されたのは現状把握だった。資金繰り表を作り、月次試算表の数字とその示す意味を確認して、資金繰りで問題が生じない運用を行うよう指導を受けた。在庫管理や業務進捗計画等の運営管理の面でも現状を正しく把握するようにというアドバイスがあり、改善を進めた。
また、新型コロナの影響で社員全員が集まる機会が無くなっていたため、社内のコミュニケーション向上策として、週に1度、2店をZoomでつないで幹部会議を行うことにした。運営方法については、PDCAを回す会議の進め方等の助言を受けながら改善を重ねた。
これらと並行して、3年間の事業計画書の作成を進めた。相談に行くたびに宿題をもらいながら時間をかけて検討を続け、3年後のビジョンを定めた。売上・収益の向上、業界変化への対応、人材育成、財務体質改善の観点で定量的な目標を設定するとともに、取り組むべき具体的施策をまとめ、実効性の高い計画書を作り上げていった。
さらに自動車関連事業の市場動向について検討を行い、ウィズコロナ・アフターコロナの社会環境のなか、今後の成長が見込めるキャンピングカーの製作販売事業を第二の事業の柱として掲げて取り組むこととし、事業計画書に数値目標と実行計画を盛り込んだ。
人事評価制度の設定については、社会保険労務士に相談し、現在、制度策定の作業を進めている。

提案した中小企業支援施策

その後の状況

事業計画が完成した2021年9月以降、社長からリーダーへ権限委譲を進め、リーダーを中心に数値目標の共有と施策のアイデア出し及びその実践を行っている。具体的な取り組みは車検の紹介制度、口コミ依頼、SNS活用等による販売強化であるが、これに加え、社内の整理・整頓・清掃等の5S活動も行っている。加盟しているチェーンの同業他社へ社員同行で視察に行き、事業運営の良い例を学び、社内で自社の改善についてディスカッションすることも行った。これらの取り組みにより社内のコミュニケーションが活性化されて生産性が向上し、メイン事業である整備・車検事業は好調で売上が大きく伸びている。
また、成果報酬につながる人事評価制度を作ろうとしていることは社員全員に伝えてあるため、会社が変わるのではないかという期待感が社員のなかに生まれ、モチベーション向上につながっている。この機運に乗るためにも、制度は2023年4月からの早期運用を予定している。
新規事業のキャンピングカーは、YouTubeでの紹介や展示会出展を活用した営業を行っている。また、キャンピングカー業界に参入するためには、業界団体や部品メーカーといった社外との関係構築が重要であることも見えてきたため、社長自ら事業環境整備と営業を推進している。初年度の売上台数は目標に届いていないものの、お客様からの問い合わせは着実に増加しており、良い方向に向かっていることを実感している。

企業様の声

商工会議所では、誰にも話せなかった様々な問題を具体的に相談でき、気持ちがとても楽になりました。当初強く言われた現状把握ができるようになったことも大きいです。そのあと事業計画を立てましたが、「ここは少し攻めましょう」等と背中を押され、前へ進む勇気が生まれました。相談の最後には当社のリーダーも参加させていただいたことで社内の意識も変わりました。様々なサポートに感謝しています。
修理とは違い、キャンピングカー事業では、商談に来られるお客様が皆さん笑顔でこちらも嬉しくなります。今後この柱を大きく育て、経営を安定成長させていきたいと思っています。
(代表取締役:平野智巳氏)

支援者の声

自動車業界は100年に1度の大変革期を迎えています。これまでと同じやり方では事業の継続が難しい中、本プロジェクトを活用いただいた平野社長とともに、経営課題の洗い出しから事業計画書の作成と実行支援までを行い、短期的課題の「経営体質の改善」と中長期的課題の「経営環境変化への対応」に取り組んできました。
コロナ禍における新しいライフスタイルに対応すべく、キャンピングカーの製作・販売に取り組む等、新たな事業にチャレンジする平野社長の前向きな姿は印象的でした。引き続き、地域の総合経済団体として精一杯サポートさせていただきたいと思います。
(八王子商工会議所:泉慶佑氏)

企業情報

企業名 有限会社平野オートボディー
代表者 代表取締役:平野智巳氏
創業年 2000
業種 サービス業(自動車整備、車検、販売、保険等)
所在地 東京都八王子市下恩方町742-10
事業PR
URL https://hiranoauto.co.jp/


中小企業診断士 栗山 敦

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