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今、そしてこれからのニーズに応える サスティナブルな民宿へ

企業名:民宿船見荘  取材先ご担当者様:淺沼隆章氏

専門家が新たな視点でバリアフリー化とコロナ対策を支援

バリアフリーの対応が不十分で、顧客の要望に十分に応えられない。団体利用が軒並みキャンセルとなった今、そこに依存しすぎず、多様な魅力をわかりやすく発信して、幅広い顧客を獲得する必要もあるが…

企業概要

船見荘は、八丈島空港から車で約5分の好立地に位置し、八丈島で最も古くからある民宿である。淺沼家は8代続く農家であるが、昭和40年代に「東洋のハワイ」として観光産業が興隆する中、現代表の先代がビジネス機会を捉えて民宿を創始した。近年は現代表の淺沼好氏が主に農業部門を、後継者の隆章氏夫妻が主に民宿部門を担うという家族経営で、事業を営んできた。2018年に隆章氏が町議会議員に就任後は、配偶者である知美さんが主となって民宿を運営している。
隆章氏夫妻が民宿経営に携わるようになって以降、ダイバー専用の洗い場の設置、島の石と木材(八丈杉)を使ったバーベキューハウスの整備、新鮮な地魚や自家製野菜を使った旬の食など、様々な創意工夫で魅力を高めてきた。2018年には、老朽化していた体育館を改修し、フットサルやゲートボールなどを楽しめる全天候型コートを備えた。スポーツ団体客のニーズに応えることで、2019年には船見荘始まって以来の宿泊客数を得るに至った。

企業の悩み

「体育館のある民宿」として、部活動などのスポーツ団体客が増加した船見荘ではあるが、バリアフリーの面に課題を抱えており、高齢客からは「浴槽上面が高いために転んでしまった」との意見も寄せられている。ゲートボールやハイキングに訪れる年配者やパラスポーツの団体からお問合せをいただくことが多いが、バリアフリーの対応が不十分な現状では、要望に十分に応えられない。
さらには、コロナ禍により、サッカー・野球など数十名レベルの団体利用が軒並みキャンセルとなった。スポーツの団体客は大きな売上に繋がることは確かだが、そこに依存しすぎず、船見荘の多様な魅力をわかりやすく発信して、幅広い顧客を獲得する必要性もありそうだった。
2018年「アシストプログラム」、2019年「多摩・島しょ経営支援拠点事業」によりアドバイスを受けてきた流れから、今年度は当事業のアシストコースによる支援を視野に入れ、まずは経営診断を利用することとなった。

導き出された課題

過年度から支援してきた島の事情にも明るい専門家が選定され、経営診断を行った。特に浴室のバリアフリー化は喫緊の課題であり、宿泊客の安全面から、浴槽上面を床面と同じ高さにした埋め込み式浴槽の導入の案が出た。これに合わせて洗い場や脱衣場も新たなものとすることで、宿泊客の利便性を大幅に向上させることができる。ただし、老朽化した建物をベースにバリアフリー化する困難さを抱えており、多額の費用を要するため、バリアフリー化を後押しする支援施策を活用することを勧められた。
また、コロナ禍への対応として、着実に感染拡大防止策を講じて安心・安全の確保に努めるとともに、WebサイトやSNSを通じて積極的に情報発信していくことも重要であるとされた。発展的な取り組みとして、スポーツ関連顧客のニーズに対応するため、体育館に撮影機器を備えて練習中の様子を録画し、ダイニングルームでのミーティング中に投影して振り返りができるようにするなどの提案もなされた。

提案された解決策

引き続き、アシストコースを活用して、同じ専門家が実行支援を担当することになった。浴室のバリアフリー化については、東京都「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」の活用が最適ということになり、この補助金の採択を受けた他事業者へのヒアリング、工事に係る計画策定など、取り組みの進捗に必要な支援を行うこととなった。
感染拡大防止と情報発信の強化に必要な資金としては、「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」を活用することになった。体育館は公募要領の「屋内運動施設」に当たるため、特例事業者として上限額の引き上げを希望し、大型の空気清浄機を新たに導入することにした。
情報発信の強化策としては、船見荘の様々な魅力をわかりやすく発信するため、自社Webサイトをリニューアルするとともに、リピートや口コミを促進するためのコンパクトなリーフレットや、季節ごとに採れる農産物を記した「船見農園野菜&フルーツカレンダー」を制作することにした。

提案した中小企業支援施策

その後の状況

概ね月1回のペースでアシストコースの支援が続けられ、「宿泊施設バリアフリー化支援補助金」を活用した浴室のバリアフリー化が進捗中である。「小規模事業者持続化補助金(コロナ特別対応型)」の申請も無事採択され、同補助金を活用して行う予定であった上記の各取り組みが順次実施されている。
コロナ禍のダメージはしばらく続いたが、緊急事態宣言解除後は個人需要から徐々に回復した。自社Webサイトのリニューアルが功を奏し、「船見荘さんのホームページで見ました」と直接問合せや予約をする顧客が増加して、OTA(オンラインの旅行会社)に依存しない集客が増えた分、利益率の向上に繋がった。東京都も「GoToトラベルキャンペーン」の対象となった10月以降は、OTA経由の利用も回復に向かった。
今後は、バリアフリー化を進めて幅広い客層の獲得を図るとともに、動画撮影用カメラなどAV機器の導入も予定している。さらには、自社農園で栽培している八丈島特産品のストレチアをWebサイトで直販するなど、収益の多角化にもチャレンジする予定である。

企業様の声

専門家の先生には、単に質問に答えていただくのみならず、自分たちだけでは気付かない別の観点からもアドバイスをいただけて、ありがたいと感じています。「大きくなっても八丈島で暮らしたい」と言う子どもたちのためにも、これから事業を30年50年と続けていける土台を調えたいと考えています。当面の課題として、サービス充実に必要な人材採用がありますが、島で人材を集めることは難しく、今後はそちらの方面でも支援をお願いしていきたいです。将来は、空き家を活用した一軒家での島体験、自然エネルギーの活用など、新たなビジネスモデルにも挑戦し、島の経済の存続・発展に貢献したいと思います。
(民宿船見荘:淺沼隆章氏)

支援者の声

八丈町商工会では、様々なスキームを活用しながら、民宿船見荘様をご支援させていただいています。隆章様は、現在の町議会議員以外にも、商工会理事、観光協会副会長、地元小学校PTA 会長・中学校PTA副会長などを歴任され、島の発展に長年貢献して来られました。島の民宿の中でも先進的な取り組みにチャレンジされており、ぜひ成功していただきたいです。これからも、将来の大規模な改修に向けた資金調達、事業承継など、その時々に必要とされるご支援ができればと考えております。
(八丈町商工会:高野哲也氏)

企業情報

企業名 民宿船見荘
代表者 淺沼隆章氏
創業年 1967年頃
業種 サービス業(宿泊業)
所在地 東京都八丈島八丈町三根1754
事業PR
URL https://funamisou.com/


中小企業診断士 松林栄一

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