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組織体制の整備で見えてきた、新たな可能性

企業名:キーナスデザイン株式会社  取材先ご担当者様:代表取締役:橘純一氏

主体的に行動できる社員を育てる

問題が発生したときも、「社長が何とかしてくれる、誰かが何とかしてくれる」という意識の従業員が多く、主体的に行動できる人材がいなかったが…

企業概要

キーナスデザイン株式会社(代表取締役:橘純一氏)は、半導体等の電子部品の設計・製造向けに、精密な温度制御ができる独自開発の無風恒温槽の設計・製造・販売と計測用治具製作事業を行っている。
当社は2006年の創業である。
社長の橘氏は、長らくエンジニアとしてのキャリアを歩んできた。もともと起業志向で、「いつかは起業したい」という思いがあったが、30代のときに、自身が所属していた企業の事業部門が閉鎖されることになり、それを機に起業した。以来、得意である熱設計の技術を活かしながら、順調に事業を拡大し続けている。

企業の悩み

当社の悩みは、いわゆる中間管理職・リーダー層と呼べる人材が育っていないことだった。橘氏は2006年に当社を一人で立ち上げ、自身の持つ技術や顧客への提案力を強みとして、事業の拡大を図ってきた。言うなれば、当社は橘氏が一から十まで一人で運営してきた会社であり、社長の強いリーダーシップのもとで事業の拡大を図ってきたといえる。しかし逆に言えば、社長以外にマネジメントができる人材がおらず、会社の強みが社長個人の手腕に大きく依存している状況であった。
また従業員の意識についても、他者への依存度が高い状態であった。問題が発生したときも、「社長が何とかしてくれる、誰かが何とかしてくれる」という意識の従業員が多く、主体的に行動できる人材がいなかった。
さらに、こうしたことが原因と思われる、現場での手戻りや品質問題が発生していた。例えば、工程全体を管理できる人材がいなかったため、部品を発注する際に発注数量を間違えて、後の組立作業の際に部品が足りなくなる、といった問題が起きていた。現場でのトラブルに対応するために、従業員の残業も常態化しており、「忙しいのに生産性が低い状態」であったという。
橘氏自身もこうした課題があることを認識しており、これまでに様々な取り組みを行ってきたが、思ったように進んでいない状況であった。

導き出された課題

専門家の経営診断により導き出された課題は、すでに橘氏自身も認識していたように、組織や人材といった側面に集中していた。具体的には、①組織の階層化、②リーダー層の育成、③指揮命令系統や役割分担の明確化、④業務の標準化や手順の明確化等の課題があがった。
これまでの事業拡大の原動力は、橘氏個人の手腕に大きく依存している部分が多かった。今後さらに事業を拡大していくためには、従業員一人ひとりが主体的に貢献できる仕組み作りを進めていく必要があった。
こうした課題に対応するため、当社からの希望により本プロジェクトのアシストコースを利用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、上記の課題解決に向けて取り組んでいくことになった。

提案された解決策

実行支援で中心となったのは、組織の階層化やリーダー層の育成である。当社のこれまでの組織は、階層が明確になっていない、いわゆるフラットな組織構造であった。これを今回の支援で、マネージャー、リーダー、一般職という3階層に分けた組織に変更した。
当社では過去にもリーダーを設置したことがあるが、準備不足だったこともあり、うまくいかなかった。そのときは、リーダーを設置して裁量を持たせたのはよかったが、他の従業員があらゆる面でリーダーに頼るようになってしまい、リーダーの業務負荷が大きくなりすぎてしまった。結果的にリーダーが会社を辞めてしまったという。
そこで今回は、周到に準備をしながら組織の階層化を進めた。具体的には、リーダー候補である3名の従業員を社外の研修に参加させて教育を行った。また社内に対しても、組織の階層化の目的や意義を十分に説明した。
こうして半年程度の時間をかけて準備を進め、最終的に2020年2月に組織の階層化が実現した。

提案した中小企業支援施策

その後の状況

大きく改善したのは納期管理である。組織の階層化により、リーダーが工程全体を俯瞰しながら管理するようになった。これにより、部品の発注ミス等による手戻りや品質問題が大幅に減少した。以前は納期の前日でも組立てが終わらず、徹夜して作業を行うこともあった。それが現在では、余裕をもって1週間前には組立作業が終わるようになった。
また常態化していた残業もほとんどなくなり、従業員が定時ぴったりで帰宅できるようになった。さらに社長が一から十まで管理しなくても、リーダーが主体的に動いてくれることから、橘氏自身も難しい営業案件に対応できる時間が増えたという。

企業様の声

会社の現状を全体的に第三者の専門家に見ていただき、課題の抽出をしていただきました。自分自身も課題だと認識していたこと以外にも検討すべき課題があることがわかりました。
ご支援いただいてまとめた改革プログラムは多岐に渡りますが、何より不足していたのは実行する人材の教育だったということを痛感しています。このため、プログラム通りに進んでいない取り組みも多くありますが、課題の裏に潜んでいた人材育成という課題に向き合うことができました。組織の再設計については、的確な提案のもと計画通りに実施できた結果、意識の高い社員が取組みを先導する動きが出始めたことが最大の成果で、これからが楽しみです。
(代表取締役:橘純一氏)

支援者の声

貴社は他社では難しい精密な温度制御ができる製品の設計・製造技術により、順調に業績を伸ばしておりますが、橘様の手腕によるところが多くありました。
今回の支援で組織の階層化を実施したことにより、社員の自発的な取り組みが増え、橘様の右腕となる社員が出てきたことで、今後より一層成長していく企業になると確信しております。
今後も商工会として微力ではありますが、お手伝いさせていただければと思います。
(東大和市商工会:比留間武氏)

企業情報

企業名 キーナスデザイン株式会社
代表者 代表取締役:橘純一氏
創業年 2006年
業種 製造業
所在地 東京都東大和市立野3-1344-12
事業PR
URL https://keenus.jp/


中小企業診断士 石川朋弥

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