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顧客が本当に望む介護へ、終わらない挑戦

企業名:ケアミックス株式会社  取材先ご担当者様:代表取締役:柴田彰氏

思いを実現するための事業計画策定

「顧客が本当に望むサービスを提供する」、そんな思いを実現するために自社の事業規模を拡大し、業界内での影響力を強くしたいという考えを強く持つようになるが、一方で悩みも…

企業概要

ケアミックス株式会社(代表取締役:柴田彰氏)は、町田市に本社を置く介護施設紹介事業者である。主な事業は、介護施設の入居希望者、その家族等の相談を受け、顧客にあった施設を紹介することである。あわせて、介護施設の管理職に特化した人材紹介、認知症高齢者による徘徊を専門としたGPS位置検索サービス等、介護に関する事業を幅広く手掛けている。

同社はもともと2014年にSHIBATAという社名で創業したが、2016年にケアミックスと改めた。ケア(介護)という単語を社名に入れたのは、介護事業という軸をぶらさない、その強い決意の表れである。創業当初に一人だった会社は、現在20名超の規模へ大きく成長している。

企業の悩み

柴田氏は、大学生時代に一度、介護施設紹介事業を起業している。当時は競合する企業もなく先駆け的な存在であったが、元気なシニアに関する事業をやりたいという思いが強くなり、一旦、介護施設紹介事業からは距離を置いていた。

現在の会社は、柴田氏一人からスタートした。柴田氏自身がコンサルタントとして事業を請け負い、業績は悪くなかったものの、喜びを分かち合う仲間がいないことに不満を感じていた。「人」というものが、自分の人生で重要な軸になることを実感した柴田氏は、従業員を雇い、改めて介護施設紹介事業に取り組むことを決める。

改めて業界へ参入したときに感じたのは、業界内のルールがまだきちんと整備されていないということだった。高齢化が進む中、事業者の数も以前より増えていた。紹介実績が多いほど報酬を高く設定できる環境にあって、業界全体が顧客目線ではなく、数字や利益のみを優先するサービスをしていないだろうかと日々感じていた。「顧客が本当に望むサービスを提供する」、そんな思いを実現するために自社の事業規模を拡大し、業界内での影響力を強くしたいという考えを強く持つようになる。だが、「やみくもに事業を拡大してもうまくいかないだろう」「継続的に安定して事業を成長させるためにはどうしたらいいだろうか」と悩み、専門家の意見を仰ぐために本プロジェクトの経営診断を申し込むに至った。

導き出された課題

経営診断では、以下のような課題が示された。①安定した事業拡大を実現するための事業計画策定、②採用から教育に至るまでのスキーム構築、③柴田氏が業務を委譲し、経営に注力するための環境構築の3 点である。

特に①の事業計画策定については、改めてその重要性を認識した。創業時から目の前の仕事に追われ、中長期的な計画策定に手を付けることができていなかった。診断結果のフィードバックを受けて、そろそろきちんと取り組むべきタイミングだと考えた。「やると決めたからには、実効性のある計画を策定したい」という柴田氏の意向を受けて、経営指導員の日下氏は経営革新計画の承認申請を勧めた。

当時、経営革新計画についての知識のなかった柴田氏も、経営革新計画承認の仕組みやメリットについて説明を受ける中で、事業計画を目に見える形にする絶好の機会と思い、この制度を利用することになった。

提案した中小企業支援施策

当社からの要望により、成長アシストコースを利用して、専門家から具体的なアドバイスを受けながら、事業計画策定に取り組んでいった。点在していた資料を整理しながら、徹底的に議論を行った。幾度にもわたる打ち合わせを通して、事業計画の策定を進め、経営革新計画の承認申請書の形に整理していった。

柴田氏自身もその中で、明確に自社の強み・弱みや今後の自分がすべきこと等に気づくことができた。特に一番成果として大きかったのは、「暗黙知」を「形式知」化できたことだという。

紹介事業において、たとえば施設従業員の「人となり」等、各介護施設の定性的な情報は一番大切なノウハウである。当時は、その情報が属人化しており、相談員によってサービスの質にばらつきが出ていた。そこで顧客管理システムを構築し、相談員の通常業務のなかで、各自が知りえた定性情報をシステムへ簡単に蓄積することができるような仕組み作りを行った。これにより、ベテランも新人も分け隔てなく必要な情報にアクセスできるようになった。今では新人教育のスピードも向上し、サービスも一定の品質を確保できるようになっている。

その後の状況

申請した経営革新計画は、無事に東京都の承認を受けることができた。また、今では2020年までの中期計画を全社員に説明し、皆で経営理念や数値目標、業務への意識を共有できている。社員全員で自社の強みを洗い出すワークを行う等の取組みも行っている。全社一丸となれるのは、ひとえに「実効性のある事業計画」という拠り所ができたためである。

こういった取り組みが功を奏した結果、事業規模は順調に拡大し続けており、今期も10名の採用を目指している。

企業様の声

このプロジェクトによる支援を利用して本当によかったと思います。自社の業務を客観的に診てもらえる機会は、企業の健康診断のようなもので、貴重な経験です。

支援の期間が長いことも効果的でした。10回近く訪問していただいて、毎回、次の打ち合わせまでにすべきことがみつかるため、継続的に向き合うことができました。日々の業務に追われる中、自分で事業計画を策定できたのは、このプロジェクトを通した専門家の支援があったからだと実感しています。

また、町田商工会議所の日下様には、このプロジェクトでの支援が終了した後も、東京商工会議所に同行していただく等、アフターケアもしていただき、非常に感謝しています。今後も引き続き、ご指導をお願いしたいと考えています。

経営指導員の声

最初の訪問時から、介護事業への熱い思いをお聞きしていました。当初は、業界での地位を高めるために、事業規模の拡大を急速に進めようという思いが強く伝わり、サービス品質を維持できるのかという懸念がありました。しかし、「形式知」化やコア事業への注
力といった提案を素直に受け入れていただいたおかげで、経営革新の承認等、一定の成果を出すことができたと感じています。引き続き、町田市の企業として、安定した成長を願っています。
(町田商工会議所:日下啓太氏)

企業情報

企業名 ケアミックス株式会社
代表者 柴田彰
創業年 2014
業種 サービス業(介護施設紹介事業)
所在地 東京都町田市中町1-4-2
町田新産業創造センター2F 
事業PR
URL http://www.care-mix.co.jp/


中小企業診断士 木村祐介

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