助成金・補助金等、経営力UPの経営情報が満載!

オンライン経営力自己診断

経営診断・分析事例
会員登録すると、
新規会員登録はこちら
お気に入りに追加 シェアツイートLINEはてぶ

高度な専門技術を効果的にアピールし、販路拡大に成功

企業名:株式会社塩  取材先ご担当者様:代表取締役:駒澤増彦氏、副社長:木下礼一氏

技術開発型企業のマーケティング・ストーリー構築を支援

展示会の助成金を狙って経営診断を申し込むも、診断での相談を通じて、現状のまま助成金を獲得して展示会に出展するだけでは、販路を拡大し売上高を4倍に伸ばすことは難しいことが明らかに…

企業概要

株式会社塩(代表取締役:駒澤増彦氏)は、八王子市で工作機械の性能を向上させる技術や装置を開発・製造する企業である。

当社は、エンジニアであった駒澤社長が、工作機械の精密加工技術を活用し、技術開発型の会社として2008 年8月に設立した。料理で使う塩のように、目立たないがどの料理にも欠かせない隠し味のような存在になりたいとの思いから、会社を命名した。工作機械の性能を徹底的に向上させるため、当社は技術開発を追求し続けている。

当社の技術の中核となる流体せん断装置「SIO」は、ニューマーケット開拓支援事業(東京都中小企業振興公社)の支援商品の認定を獲得している。

企業の悩み

当社は技術開発に特化した企業である。主力製品である流体せん断装置「SIO」は、工作装置に装着するだけで加工時間が短縮され、かつ高精度に加工ができるという効果が得られる製品である。当製品は特殊な内部構造を持つ装置で、加工液をマイクロバブルを使って加工対象物に浸透しやすい状態にする。この現象により加工熱が除去されるため、工作機械の加工性能を引き上げることができるというものだ。駒澤社長は、この製品を主力製品として据え、3年後の売上高を4倍に引き上げたいと考えていたが、その技術が極めて高度であるため、顧客に対して製品の性能を効果的にアピールできずにいた。

販路を拡大するために展示会への出展を考えていた副社長の木下氏は、新・展示会等出展支援助成事業の助成金を申請すべく、八王子商工会議所に相談を持ち掛けた。助成金の申請のためには本プロジェクトの経営診断を受けることが必要と聞き、さっそく中小企業診断士である後藤淳氏の経営診断を受けて、助成金を申請できる見通しが立った。その一方、経営診断での相談を通じて、現状のまま助成金を獲得して展示会に出展するだけでは、販路を拡大し売上高を4倍に伸ばすことは難しいという考えに達した。

導き出された課題

経営診断で導き出された課題は、①事業の方向性の明確化、②強固な組織体制の構築、③事業計画書をもとにした資金の確保、④マーケティングストーリーの整理の4点であった。特に、①の事業の方向性の明確化が最も重要な課題であることが分かった。これまで当社は技術開発に特化してきたため、事業戦略の構築までは手が回っていなかった。しかし、事業戦略が決まらないと顧客を絞り込めず、顧客が持つ課題の特定もできないため、当社が持つ技術や製品がどのように顧客の課題解決に役立つかを効果的に伝えることができな
い。

このように、当初は助成金申請のために受けた経営診断で、当社が漠然と抱えていた悩みが課題として明確になった。そこで、当社の希望により、本プロジェクトの成長アシストコースを活用しながら、これらの課題解決に取り組むことになった。

提案した中小企業支援施策

引き続き後藤氏が成長アシストコースの支援専門家として当社をサポートすることになり、上記4つの課題を解決するために、事業計画書の作成とマーケティング・ストーリーの構築に取りかかった。

まずは、ターゲット市場である工作機械市場の環境分析を行った。分析によって、対象顧客の特定が重要であること、工作機械は種類別・加工材料別に分かれていること、競合製品との違いを表現することが重要であることが明らかになった。次に内部環境分析から、当社の事業コンセプトを「工作機械のスペックアップ屋」と位置づけ、主要顧客を部品メーカー、及び完成品メーカーの加工部門と定義した。そして、コンセプトを実現するための当社の技術を整理し、売上目標達成のための数値計画を練り、事業計画書を作成した。

マーケティング・ストーリーの作成は、Webサイトの改善から着手した。ターゲットである顧客の課題を想定し、当社の製品がどのようにその課題を解決するかを考え抜き、それらをWebサイトに表現した。また、製品の特徴をよりよく表現できる名称に変更する、難解な専門用語をわかりやすい表現に統一する、従来品との違いを動画で説明する等の助言もなされた。

その後の状況

事業の方向性を明確にし、マーケティング・ストーリーを構築したことで、商談へ到達する件数は確実に増加した。展示会では当社のブースに来場者が絶えず集まり、他の企業との差は明らかだ。人材面でも、特許や組織運営の専門家を顧問として迎えることができ、国内外で特許を取得し海外展開に弾みをつけた。こうした取り組みが評価され、2018年には多摩地域の中小企業等が開発した優れた技術や製品に贈られる「多摩ブルー賞」の優秀賞を獲得する等、さらに発展を続けている。

企業様の声

当社は技術開発型企業であり、営業方法がわからずにいました。しかし本プロジェクトで、営業というものは事業戦略から考え抜く必要があることを教えていただき、販路を拡大することができました。今後は特許を活かして海外での商談も増やしていきたいです。
(代表取締役:駒澤増彦氏)

担当された後藤さんは聞き上手であったので、私たちは抱えている悩みを本音で話すことができました。最初は後藤さんから指摘されたことを意識して実行していましたが、ふと振り返ると、いつのまにかそれが普段の行動に自然と落とし込めていることに気づきました。このプロジェクトは大変価値があるものだということを他の企業にも伝えたいです。
(副社長:木下礼一氏)

経営指導員の声

担当の後藤診断士には、毎回きめ細かな資料をご準備いただき、企業様の意見を咀嚼しながら、課題の整理とポイントをわかりやすくご指南いただきました。社長もここまで濃密にアドバイスいただけるとは思っていなかったようで、大変感謝していただけました。今後、海外の販路拡大に伴い、これまでとは違う経営課題にも直面するかと思いますが、他の中小企業施策を組み合わせながら、引き続きお手伝いできればと思っています。
(八王子商工会議所:高橋広昭氏)

企業情報

企業名 株式会社塩
代表者 駒澤増彦
創業年 2008
業種 製造業(工作機械関連)
所在地 東京都八王子市横山町21-12 池田ビル2階
事業PR
URL http://sio-miu.co.jp/


中小企業診断士 大谷周平

一覧ページに戻る

< 経営診断・分析事例TOP

pagetop