助成金・補助金等、経営力UPの経営情報が満載!

オンライン経営力自己診断

経営診断・分析事例
会員登録すると、
新規会員登録はこちら
お気に入りに追加 シェアツイートLINEはてぶ

成り行き経営から科学的経営に ~チェックの仕組み化でPDCAが回り始める~

企業名:花市場 evergreen  取材先ご担当者様:中島 幸子 様

成り行き経営から科学的経営に ~チェックの仕組み化でPDCAが回り始める~

地域住民は高齢化し、客数が伸び悩み売上も頭打ちの状態となった。従来のやり方のままでは立ち行かなくなっている。売上が伸びて、人材を効率的に回せて、代表者が経営に専念するにはどうしたらよいか?

企業概要

 花市場 evergreen(代表:中島 幸子 氏)は、2005年に現代表が創業した地域の生花店である。代表の中島氏は花が大好きで、学校卒業と同時に大手生花店に就職、3Kといわれる厳しい労働環境の元で経験を積み、20代後半で車による引き売り商売をはじめる。その後、都合により一時的に花の業界を離れるものの、やはり好きな花の仕事をしていきたいと、資金を貯め、徹底的な通行量調査もおこない、現店舗で商機ありと判断し、2005年に独立を果たした。


 花は、買う人も貰う人もみんな笑顔になる。当社は「花で世界を笑顔にしたい」という経営理念のもと、花は特別な存在ではなく日常的に飾って欲しいと願い、地域密着型でリーズナブルな価格設定で提供している。

企業の悩み

 創業後10年が経つと、市場環境も変化している。地域住民は高齢化し、客数が伸び悩み売上も頭打ちの状態となった。

 従来のやり方のままでは立ち行かなくなっている。売上が伸びて、人材を効率的に回せて、代表者が経営に専念するにはどうしたらよいか。

 接客は誰にでもできるが、経営は代表者にしか出来ない。なんとか現状を打破したく、日頃より会計の相談を受けていた商工会議所に相談をしたところ、当事業の紹介を受けた。

導き出された課題

 中小企業診断士による企業診断の結果、いくつかの課題が浮き彫りとなった。

 たとえば、当社では経営理念はあるものの、それが従業員にいき渡っていない。理念の共有化が図れず、従業員のモチベーション向上策の実施や教育・育成といった面でも大きな課題を抱えていた。

 マーケティング面では新規顧客の獲得が求められ、そのためには店内演出の見直しが課題とされた。業務運営面でも時間や在庫ロスが多く、損益を圧迫する要因にもなっていることが明らかになった。

提案した中小企業支援施策

上記の課題を解決するにあたり活用できる中小企業支援施策として、以下が提案された。



エキスパートバンク(専門家派遣) 青梅商工会議所


 課題解決策を実行するために、自社内だけでは対応が困難である場合、その課題に関する専門性を持ったエキスパート(専門家)を3回まで無料で派遣できる制度である。今回は社内で対応したため当制度は利用しなかった。



若者チャレンジ奨励金 厚生労働省


 35歳未満の非正規雇用の若者を、自社の正社員として雇用することを前提に、自社内での実習(OJT)と座学(OFF-JT)を組み合わせた訓練(若者チャレンジ訓練)を実施する事業主に、訓練奨励金として訓練受講者1人につき月額15万円を支給し、当該事業主が訓練終了後、訓練修了者を正社員として雇用した場合に、正社員雇用奨励金として1人当たり1年経過時に50万円、2年経過時に50万円(計100万円)を支給する制度。

 この奨励金を取得するにあたって、各種申請書の書き方等の相談や、取り扱い窓口等との折衝で、商工会議所の経営指導員による手厚いサポートを受けることが出来た。

その後の状況

 運用面の課題解決として、中小企業診断士のアドバイスのもと、毎日の作業に関するチェックシートを作成した。このチェックシート通りに業務をこなせば、新人であっても日々の作業が定着されることが期待できる。また、業務日報も新たにつけるように仕組み化し、目標、実施、反省、改善のプロセスを実施するようにした。これは計画、実行、確認、改善のPDCAサイクルと同意で、チェックシートと日報の習慣化で運営面でのPDCAサイクルの実施を実現することができた。

 さらに、従業員には自己評価表を付けてもらい、それを月末に総評をすることで、アルバイト自らが気づき、納得できる仕組みが構築できた。これにより、口で言っているだけでは良くはならないことも、紙で見せることによって説得力が飛躍的に向上した。

 従業員の効率化については、作業時においては必ずキッチンタイマーで時間を計測し、目標時間内に終えることを義務付けた。時間に関する意識が芽生え、作業時間が少しずつ短縮されてきた。

 店舗演出についても、店頭にテーブルを出して可愛い演出を施し、若者へ訴求するようにした。その結果、衝動買いや一見客の来店が増えたと感じている。

 ロスの減少では、予約の強化を図るために、予約特典を記載したチラシを作成し、手配りするようにした。目に見える特典を加えたところ予約が増えた。予約がとれれば店側は、段取り良く作業ができ、仕入量の見込みが立ち、結果としてロスを減少させることができる。

 また、折れた商品をミニブーケやミニ仏花にまとめたことで、廃棄する商品の原価回収にも成功した。

企業様の声

 日々の業務で忙しかったが、今回、経営力向上チェックシートを、経営指導員の方が読みあげてくれてチェック出来たことで、多くの気づきを得ることができた。特に当社は人材関係面での問題が顕著であることがあらためてわかった。日々の業務に追われ、経営についてほとんど考えていなかったが、チェックシートの項目を意識する中で、経営ということを考える良いきっかけになった。

 また、中小企業診断士の先生から、第3者の専門家の目として、客観的に見てもらえたことは非常にありがたかった。日々の業務に慣れてしまうと、惰性で仕事をする傾向になり、また現状に満足してしまっていた。第3者の目で指摘されることで、新たな気づきが生まれたことは本当に良かった。例えば、スタッフ育成は口で言うだけではダメで、自己評価を双方で見て、褒めたり、指摘したりすることで公平感の醸成とモチベーションのアップに繋げることが出来たことは大きな成果であった。

 その他、国や都、商工会議所への要望として、まず商工会議所にはおいては、確定申告の時から常にお世話になっており、地域の身近な頼れる存在として非常に助かっている。一方で、時間帯などにもう少し融通が効くともっと良いと感じている。

 また、国や都に対しては、最低時給の面で考えていただきたい。特に、青梅市の場合、最低賃金は東京都で決められているが、東京といっても都心と青梅のような郊外地域では状況が異なる。青梅は隣の埼玉や山梨と地域性に近いものがあるため、最低賃金も埼玉や山梨の水準でないとかなり厳しい。都心のアルバイトと同じ時給を払うのはキツイものがあるのが現状である。当社では入社後1~2ヶ月で日々の業務に関するテストを行い、それに合格すると時給が上がる仕組みをとっている。最低賃金が高ければ、上げるに上げられず、そこがネックとなっている。最低賃金を変えられないのなら、不利な地域への資金的な助成等をおこなっていただけると非常に助かる。

 ただし、助成金はあってもそれが存在することもわからないし、調べても受付が終わってしまっていることもある。助成金情報の周知徹底は是非期待したいところである。

企業情報

企業名 花市場 evergreen
代表者 中島 幸子
創業年 平成17年
業種 生花店
所在地 東京都青梅市千ケ瀬町3-403-3
事業PR
URL http://evergreen-shop.com/

平成26年1月22日
山口 亨

一覧ページに戻る

< 経営診断・分析事例TOP

pagetop