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見えれば動く、動けば変わる ~商工会の親身な支援で、収益改善に動き出す~

企業名:かねやま  取材先ご担当者様:山本功二

見えれば動く、動けば変わる?

提案された解決策に早速取り組み、一括販売の比率を下げたが、観光客を十分に取り組むことができ、稼働率も高い水準を確保できた。

企業概要

かねやま(代表:山本功二 氏)は、1965年に式根島で現代表の母が創業した宿泊施設である。現代表は漁師業を営みながら、約30年前に宿の代表にも就任した。
現代表の時代になり、先代の民家に泊まるスタイルから、本格的な宿にリニューアルし、営業してきた。三宅山の噴火の影響で、建物の一部が損傷したことを機に、新たに借り入れを行い、大規模なリフォームをした結果、来客数が増え、売上高は1.5倍にも増加した。漁師である代表が、その日の漁で釣りあげた新鮮な魚を、直接宿で提供できるため、鮮度が良く質の高い魚料理が自慢だ。

企業の悩み

代表は漁師と宿の二つの事業を手掛けているため、収益は合算でみると問題ないように見えていたが、宿泊事業の損益だけを切り取れば必ずしも順調とはいえなかった。リフォーム後は、売上も伸びて忙しくなったと実感しているものの、宿泊事業の決算書を見ると何故か利益が出ていない。漁師ではない娘に、事業承継するには宿泊事業での利益確保が欠かせない。採算性を考えながら経営しなければいけないことはわかっているが、何をどうすればよいのか、具体策がわからないでいた。そこで日頃より、記帳をはじめ様々な経営相談にのってもらっていた、身近な商工会の経営指導員に相談をし、当事業を利用することになった。

導き出された課題

島の事情に精通している中小企業診断士による企業診断の結果、宿泊事業における数値面での実態が明らかになった。原価管理や経費構造について、具体的な問題個所を絞り込み、収益改善に向けていくつかの課題が浮き彫りとなった。
例えば、輸送コストの影響で島の物価は高く、材料費の圧縮自体はなかなか厳しいものの、盛り付け量の見直しでもコスト削減は可能であることをアドバイスされた。また、具体的に経費の利用状況を掘り下げて見ていくことで、電気代のウェイトが大きいことも明らかとなった。その結果、全照明のLED化にも着手した。
売上面にも課題があった。従来は空室リスクを避けるために、旅行代理店への一括販売の比率を高く設定していたが、漁師の宿という民宿を超えた品質面の強みを活かして、直接販売の比率を上げて「リスクを取りながら攻めるスタイル」へと転換する必要性も説かれた。

提案した中小企業支援施策

上記の課題を解決するにあたり活用できる中小企業支援施策として、以下の施策が提案された。

専門家派遣(エキスパートバンク) 商工会・商工会議所
課題解決策を実行するために、自社内だけでは対応が困難である場合、その課題に関する専門性を持ったエキスパート(専門家)を3回まで無料で派遣できる制度。

電気代の削減を図るために、エキスパートバンクを活用して、節電等の環境経営に強い中小企業診断士に支援をお願いした。電力の使用状況や契約状況を詳細に分析し、東京電力との契約形態を見直すことができた。また、エネルギー自給型施設への取り組みをめざし、ソーラーパネルの導入による電気代の削減と、導入に際する補助金獲得の提案も受けた。実際に補助金の申請にもつながっている。

その後の状況

提案された解決策に早速取り組み、一括販売の比率を下げたが、観光客を十分に取り組むことができ、稼働率も高い水準を確保できた。特に今年(平成27年)は、商工会がTVやCM、映画の撮影誘致を仕掛けたことで、観光以外での宿泊需要も伸びた。
さらに、原価と経費を徹底して見直したことで、対売上比率で材料費に関しては前年比5%、経費に関しては2%の削減ができた。
一番の成果は、経営者・従業員の意識が変化したことだという。決算を詳細に分析することで問題点が明らかになり、日々の業務の中でも、売上や経費について考えるようになった。採算性を意識して日々の業務に取り組むことで、経費削減の意識が自然と生まれ、決算書の詳細な数値まで気にして追及するようになった。販売促進では、商工会の具体的支援のもと、少しの工夫と手間をかければ、お金をかけずにできる方法があることがわかり、多大な設備投資をしなくても収益改善に取り組むことができた。

企業様の声

 今回の企業診断の制度は非常に良かったと感じている。漠然とわかってはいるものの、第三者の専門家から客観的な視点で指摘をされることが良かった。時として厳しいことも言われるが、それは自身のために、自らが取り組んでいかなければならないことである。頭にきてはダメである。
島は物流にコストが掛かるため、仕入原価を構成する生鮮品の価格が高い。光ケーブルも敷設されていないため、インターネット環境も良くない。こうした島の事情を知らない机上の計算だけをしているようなコンサルタントでは、支援は難しい。今回は、企業再生やマーケティングに高い専門性を持ちながら、島の事情にも精通した中小企業診断士を商工会が選定してくれた。困ったときの身近な相談相手である商工会の経営指導員により、適切な専門家へと橋渡しをしてくれた。実行支援の時には経営指導員自らがホームページの立ち上げを手伝ってくれるなど、我々と一緒になって取り組んでくれて、非常に助かっている。

企業情報

企業名 かねやま
代表者 山本功二
創業年 1965年
業種 宿泊業
所在地 東京都新島村式根島22-2
事業PR 親切丁寧をモットーにお客様をお迎えしています。
団体でのご利用も歓迎しますのでご相談ください。
オーナーは現役の漁師智佳丸で水揚げした新鮮な
魚が食卓に上がります。
島の中心に位置しているのでどこに行くのも便利です。
URL http://shikinejima.net/kaneyama/

平成27年11月12日
山口 亨

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