助成金・補助金等、経営力UPの経営情報が満載!
4 運営管理(経営情報システム・IT化)

ITにより、顧客別、品目別など販売状況がすぐに把握・活用できる

きめ細かな管理でリスク軽減

 今日、企業は多様な商品の生産や販売をして、顧客の価値観の多様化に対応しようとしています。ところが好みの変化は早く、製品寿命はどんどん短くなっています。さらに類似の製品が登場してこれに拍車をかけているのが実態です。

 このため企業にはきめの細かな管理が必要になっています。商品は品目別に生産され、店頭にも品目別に陳列されるのが一般的です。このため、品目別の生産や販売状況は把握しやすいものです。販売状況を日常的に把握していれば、需要のない製品の生産・仕入れを行うリスクを避けることができます。余分な物は在庫になるだけでなく、売れ残って廃棄しなければならない可能性が高まっています。また売れない物が存在することは、反対に売れ筋商品の欠品リスクを高めます。

ITによる幅広いデータ利用を

 IT(情報技術)を利用して、出荷や店頭での販売時に販売データを入力して素早く販売状況を把握することを検討しましょう。バーコードが添付されている物についてはスキャナーで読み込むだけですが、付いていなくて販売量の多い商品については社内でバーコードを付けて管理します。

 そして、販売の際にはどのような顧客が購入するのか把握できるように、顧客データも入力します。そうすることで、当該商品がどのような顧客から好まれているのか、好まれていないのかがわかり、販売促進活動や次の商品企画に役立つことになります。

 商工研究所が2016年に実施したアンケート調査では、中小企業のうち「いずれの業務にもITを導入していない」と回答した企業は全体の3.6%であり、いまやほとんどの中小企業が何らかのITを導入していることが明らかになりました。また、「受注、販売」や「顧客管理、アフターサービス」、「購買、調達」といった、販売状況の把握・分析に関係する領域でも、IT導入が一般的なものになっていることがわかります。

Case Study

情報の共有とはベクトルが一つになること

 E社は直接販売に関与しない工場の従業員も含め、全員が販売の計画表を持っているので、企業全体で情報を共有できている。また、生産管理システムを導入しているので、誰もが製品の機種ごとに最新の状況を見られるようになっている。製品を売る時に在庫確認がすぐにできるため、営業がとても売りやすいという。また、同システムにより情報を共有していると、部品が足りないなどの声が担当部署へと自然に集まってくる。さらに在庫状況を見て、残っている物は売らなくてはならないという気持ちにもなる。
 今はスピードの時代であり、お客様はすぐに物ができてくれることを求める。この生産管理システムを使うことで、皆がリアルタイムで最新の情報を見ることができ、それがお客様への素早い対応を可能にしている。
(振動計測装置等製造・23 人)

Step Up

(1)顧客別、品目別など販売動向について定期的に分析し、変化要因に注目して対応している

 販売状況を素早く把握できると商品の仕入れや在庫補充、そして生産手配などに役立ちます。さらに、週次や月次単位で販売動向を分析すると、商品に対する需要の変化や傾向が解明できます。定期的にデータを解析することも重要なのです。

 定期的な分析の際には販売部門だけでなく、仕入れや生産など商品に関連のある担当者が集まって、さまざまな視点からデータを分析し、データの持つ意味を多面的に検討します。いろいろな見方や視点で解明することで、販売情報という過去のデータが生きてくるのです。また、それぞれの関係者が自らの責任を意識してよりよい活動を生むようになります。

(2)販売状況について担当者がコンピュータでいつでも見ることができる

 販売状況については、販売担当者や仕入れや在庫、生産などの関係者がいつでもコンピュータでチェックできることが必要です。それぞれが自らの責任として商品の企画や仕入れ、在庫状況、生産、そして販売活動についていつでも状況を把握し、需要を高めるにはどうするか、さらに仕入れるべきか打ち切るべきか、担当部門で日常的に対策を打つことができます。

 市場変化の激しい今日、毎日状況を把握して何をすべきかを現場が自ら考えて行動することが必要です。上から指示するのではなく、情報をオープンにして現場が対応するのです。コンピュータで担当者別に、製品別、顧客別に販売計画と実績の差異についてもわかりやすく表示するようにすることが大切です。

pagetop