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展示会を活用してますか?

「展示会」はとても効果の高い営業ツールです。しかし、やり方を間違えてしまうと、全く成果が上がらないということにもなりかねません。展示会を上手に活用して、業績につなげるその方法とは・・・

(掲載日 2018/12/21)

成果を導き出す「展示会出展」の上手な活用

 中小企業でも自社の営業活動の一環として展示会を利用している事業者の数は年々増加傾向にあると言われています。その一方で、「出展したが意味がなかった」「展示会は金がかかるばかりで効果がない」といった残念なお話もよく聞かれます。そこで、BtoBで事業を営んでいる中小企業が、展示会の出展を上手に営業活動の一環に組み込み、業績につなげる基本的なコツを6つのポイントに絞ってお伝えします。


ポイント1 展示会出展企画書を作成する


 まず初めに、必ず企画書を作成しておきましょう。企画書の中でターゲットや目標とする成果などを明確化することで、上司への理解や決裁を得ることができ、参加メンバーの目的意識を高めるといった効果も期待できます。記載する項目は次のような内容が考えられます。

1、展示会の概要
展示会の内容、開催場所・期間、来場者の属性、推定来場者数などを記載します。

2、当社の目的
既存顧客への新製品案内、見込顧客の個人情報の獲得、知名度の向上、など。
その時々で必要な目的を設定します。

3、目標とする成果
名刺交換〇〇枚、出展後の商談獲得件数〇〇件、サンプル送付依頼〇〇件、など。
目的に合った成果を設定します。

4、費用
概算の総額費用を提示。
また、その費用を回収するためにはどれくらいの売り上げに結び付けるべきか、他の媒体に広告出稿した場合の費用との比較など。
費用対効果を説明します。

5、参加メンバー・役割分担表、実施スケジュール
展示会出展前の準備、当日の運営、出展後のアプローチなど、やるべきことを明確化します。


ポイント2 出展前の見込顧客へのアプローチ


 展示会の出展前には必ず招待状を送りましょう。すでに取引のある既存顧客だけではなく、まだ取引には至っていないがニーズがあると思われる見込顧客にも送ります。過去に展示会に出展経験のある企業であれば、商談はしたが成約に至らなかった顧客情報もリストに加えましょう。見込顧客リストの作成のコツでは次のことが挙げられます。

1、以前の展示会で得た顧客情報

2、自社ホームページに問い合わせのあった顧客情報

3、資料請求のあった顧客情報

4、メールマガジンの登録情報 など


 上記の顧客情報を得るためには、もちろん自社のホームページなどの再検討も必要かもしれません。次のような工夫も参考になります。

 ・ノウハウ本を作成し資料をダウンロードできるようにする

 ・ターゲットとする顧客層に有益な情報をメールマガジンで配信する


 また、このような顧客情報も、既存顧客・見込顧客・同業者などといった属性を整理しておくことも必要です。展示会出展を成功させるためにも顧客管理は重要です。


 また、招待状には必ず商談申込書を同封し、問い合わせのためのメールアドレスなど連絡先を明示します。必要に応じて電話での案内なども併用して展示会当日の商談予定を獲得します。商談を行っているブースは自然と活気づきます。ぜひ商談に結び付けましょう。



ポイント3 来場者の興味を引くフック(引っかかり)を用意する


 展示会ではターゲットに注目してもらうためにも話題性が必要です。

 出展前のアプローチに際しても、既存顧客や見込顧客にとって商談が有益であるという理由が必要になります。例えば、新製品・サービスの発表、製品・サービスのリニューアルの紹介などといった商材そのものの新規性をアピールすることや来場者へのプレゼントなどを刺激剤にすることも考えられます。

 中には展示会出展を新製品開発のタイミングとしてあらかじめ設定している企業もあります。会社の年間のスケジュールを展示会に合わせて製品開発を行うことで開発メンバーの焦点も合いやすくなるといった効果もあります。



ポイント4 展示会ブースの工夫


 自社がターゲットとする来場者の目を引く工夫が必要です。まずは見つけてもらうために、そのターゲットが探しているものは「ココにありますよ」とアピールする仕掛けが必要です。キャッチコピーが書かれたのぼりやタペストリー、説明用動画、製品説明のデモンストレーション、などといったことが挙げられます。

 また、このブースは何を提供しているのかを明確にすることも重要です。製品やサービスの認知度を上げるためには、あえて社名よりも製品・サービス名を大きく掲示することも工夫の一つです。さらには、製品・サービス名よりも顧客が得られる便益や品質を大きく訴える手法もあります。
■訴える優先順位の例
会社名 < 製品・サービス名 < 機能・品質 ≦ 便益・顧客が選ぶポイント

 色使いなども重要です。ブースの壁を同じ色で統一したり、ポイントでコーポレートカラーや製品・サービスで使用している色を使用したりすることで、受ける印象も違ってきます。



ポイント5 ツールの整備と上手な活用


 展示会当日に使用するパネルやチラシなどのツールも準備します。

 説明用のパネルも視認性よくブースにレイアウトし、来場者のブース内での動線を描くようにします。

 チラシなどは、認知度向上を目指す場合、とにかく配布することが重要でしょう。しかし、商談を作り出すことを重視する場合は、より詳しい情報を商談で用意することも必要です。事例集などをブースの商談スペースに用意したり、説明用のPCを用意したりするなどといった工夫を施しましょう。

 近年では動画によって来場者の足を止める工夫なども良く見受けられます。説明の難しいものに用いたり、ブランディングのためのイメージ動画などを流したりすることも有効な活用方法でしょう。

 また、顧客情報を後々整理しやすいようにあらかじめ顧客管理カードを用意しておくことも重要です。名刺を貼り付けられるようにしておき、顧客属性や見込度などが簡単に記入できるようにしておくと良いでしょう。簡単なアンケートなども一緒に行うと、顧客の抱えている課題などの情報も収集できます。

ポイント6 展示会後の営業活動


 当日獲得した名刺を整理します。その際、すぐに商談につながる見込顧客の情報はそのまま営業担当者がアプローチすることとします。

 重要なのはそれ以外の見込顧客の情報です。

 獲得した名刺情報を細分化して見込ランクを付けます。そのランクが上位にある見込顧客から順に今後のアプローチ方法を決めます。お礼状、メルマガ、ダイレクトメールなど定期的なアプローチをすることで自社を記憶にとどめてもらいます。中には急に商談アポイントメントにつながることもあります。見込顧客の課題もいつ変化が起こるかわかりません。

 そして、それら見込顧客を既存顧客と合わせて次回の展示会の招待状を送るリストにします。顧客管理は営業担当の個人任せにせず、会社の財産として一元管理することが大事です。既存顧客、見込顧客をリスト化して、いつどのようにアプローチしたか、その反応、顧客が持つ課題などを整理しておくといいでしょう。


 一度だけの出展では展示会はあまり効果を高めることができません。複数回出展することで、見込顧客のリストも増えていき、その精度も高まります。また、準備や運営なども上手になっていくものです。そのためにも目的意識を持ち、成果を明確化してその後の活動につなげていくことが重要です。

 展示会を上手に活用して業績アップにつなげましょう。

著者プロフィール

田中 研二(たなか けんじ)(田中デザイン&コンサルタンツ)

出版社・デザイン制作会社にて営業・営業企画を経験。制作物の受注件数は1000件を超える。それらの経験を活かし、販促・広報ツールの開発支援や展示会出展支援などを行っている。中小企業在籍時に得た経営計画の策定経験も踏まえて、中小事業者の各種事業計画策定の支援、創業者の事業計画策定の支援も行っている。

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